「デザイン思考って古い思考法なの?」
「デザイン思考は本当に問題解決にベストな思考法なの?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
「古い」や「終わっている」などのワードを目にすると、信じていいのか不安になりますよね。
デザイン思考は、古くから進化してきた思考法で、現在でも非常に使える思考法 です。
デザイン思考は現代においても「問題解決といえばデザイン思考」と断言できます。「古い思考法だから使えない」や「終わったアプローチ」という考えは誤りです。また、使うこと自体が失敗ということは絶対にありません。
ただ、確かに古くからある思考法なので、「古い」と発言すること自体は間違ってはいません。デザイン思考は1919年ごろ誕生した歴史ある思考法で、古くからある思考法です。
でも、古いからといって、役に立たないわけではありません。むしろ、足し算や引き算と同様に「使えて当たり前の思考法になった」というだけのことです。そんな中において、「デザイン思考は古くて使えない」と発言する人の声を聞くことは有害でしかなくて、その人たちは「デザイン思考に変わる新しい商材」を売りたいだけなので、気をつけてください。
本記事では、あなたがデザイン思考の位置付けを正しく理解できるように、以下のことについてお伝えしていきます。
この記事でわかること |
・デザイン思考は確かに古いが現在も使える思考法 ・デザイン思考は今の時代も問題解決に最適! ・デザイン思考を使った成功事例 |
デザイン思考が今の時代に必要で、絶対に学ぶべき思考法であることを理解して、儲かる商品開発に繋げていきましょう。
1.デザイン思考は確かに古いが現在も使える思考法
冒頭でもお伝えした通り、デザイン思考は確かに古い思考法です。出自は1919年まで遡り、この頃設立されたドイツのバウハウスという教育機関がはじまりと言われています。
この章では、「古いと言われているけど大丈夫?」と悩んでいるあなたの疑問を解決するために、以下のことをお伝えします。
・デザイン思考は確かに古いが現代も使える理由 ・デザイン思考は「古い」「終わっている」という人がいる理由 |
この章を読めば、デザイン思考の位置付けと、「古い」「終わっている」と言われるが、実際には非常に使える理由が理解できます。
1-1.デザイン思考は確かに古いが現在も使える理由
デザイン思考は、古くからある思考法ですが、現在でも使える思考法です。
古くから進化してきて、現在では使えて当たり前の思考法となりました。ここにきてやっと日本の会社員でも使えるレベルに発展したのです。
なので、今やデザイン思考を使えないのは、足し算引き算、ロジカルシンキングができないのと同じくらいのことで、社会人としては致命傷と言ってもいいでしょう。
現に、一般企業より何かと遅れているイメージがある行政でも、デザイン思考を使えるのは当たり前のこととして求められています。東京都中野区では、全行政職員向けにデザイン思考の研修を行なっていて、人材開発という観点でデザイン思考を使えるように育成しています。
もちろん、企業でもデザイン思考は当たり前のように使われていて、その事例は3章で詳しくお伝えしています。
デザイン思考が古いとかいうことではなくて、デザイン思考は昔からあって、ようやく私たちの組織で使えるように進化してきた、というイメージです。
1-2.デザイン思考は「古い」「終わっている」と言う人がいる理由と実際
デザイン思考について、「思考法として今の時代に合わない、使えない」という人がいますが、どんなん人がどんな理由でそのように言っているのかがわかると、「デザイン思考が使えない」や「終わっている」は間違いだということが、さらに腹落ちして理解できます。
「デザイン思考は古い、終わっている」と言っているのは、方法論を売ることを生業にしている人たちです。なぜ「古い」「終わっている」と言っているかというと、方法論を売っている人は、その方法論がいいか悪いかではなくて、新しいものを見つけて売っていかないと、飽きられてしまって売れなくなってしまうからです。
例えば、ダイエット方法は次から次へと新しいものが出てきますが、あれは同じものばかり売っているとだんだん飽きて売れなくなってしまうので、別の何かを探してきて売っているだけです。本当に痩せるかどうかは別として、新しいものを売ることが方法論を売っている人にとっては重要になります。なので、そんな人たちの言葉を信じていると、痩せずに一生ダイエット商品を買い続けることになるのがオチです。実際、次から次へと新しいダイエット商品を買って、痩せていない人は多くいます。
「デザイン思考は古い」とか「終わっている」という人の話を真に受けるのも同じことです。このように言っている人は、あなたのことを考えて発言しているのではありません。本当に使えるかどうかは別として、新しい思考法を売るために、「デザイン思考は古い」や「デザイン思考は終わっている」と言っているだけなので、その言葉を信じて行動すると、残念な人になってしまいます。
「古い」や「終わった」と言っている思考法を売る人たちの声に惑わされて、いろんな本を読んだりセミナーを受講したりするけど、結局は問題解決できない、というような事態にならないようにしてださい。
「デザイン思考は古くから進化してきた思考法で、現在は使えて当たり前の思考法」これが真実です。
【デザイン思考を使うためには「問題解決」への理解が必要】 そもそも、デザイン思考を使うためには、「問題解決」がどういうことなのかを理解している必要があります。これがデザイン思考を使う初歩の段階です。細かいことを言えば、大学で学ぶような、論文を書くことを当たり前にできる人でないと、デザイン思考は使えません。 しかし、大学を出ていない人は、今から大学に行くのは大変です。そこで我々のコンテンツでは今後、問題を解くことについての基礎の部分についてもお伝えしていく予定なので、ぜひブックマークしてチェックしてください。 |
2.デザイン思考は今の時代も問題解決に最適!
今の時代、売れるものを作って利益を上げたいなら、デザイン思考が必須です。デザイン思考がないと、売れるものが作れません。
この章では、このように言い切れる理由がわかるように、以下の通り順を追ってお伝えします。
・今の時代、デザイン思考がないと売れるものが作れない ・ロジカルシンキングとデザイン思考をうまく使い分ることが成功の鍵 |
デザイン思考は、今の時代も問題解決に最適であることがわかります。
2-1.今の時代、デザイン思考がないと売れるものが作れない
現代社会では、デザイン思考がないと売れるものが作れません。
なぜなら、今の時代は高水準の商品が市場に溢れているので、他社と差をつけるためには表面的な問題の解決のみならず、デザイン思考を使ってユーザーの潜在的な問題を発見して解決する必要があるからです。
例えば、今売られている洗濯機は、価格帯ごとに性能に大差はありません。ドラム式ならどれも乾燥機能がついているし、スマホで操作できるのも当たり前です。節電、節水もそんなに差はありません。そんな中において、デザイン思考を使えば、顧客がどんな問題を潜在的に解決したいと思っているかを明確にして、他社と差別化できるような解決方法を見つけられます。
参考:図 Beth社 東京商工会議所講演会資料より 抜粋
上の図は、新規事業検討で重要な3つの観点です。新規事業では、「顧客にとって価値がある」「儲かる」「実現できる」の3つの観点を満たさないと成功しませんが、中でも重要なのが「顧客にとって価値がある」ということで、これを見つけられるのがデザイン思考です。
「顧客にとって価値があるもの」を見つけないと売れる商品が作れなくなった今の時代、顧客がお金を払ってでも欲しいと思うような価値があるものを見つけられるデザイン思考を使わないという選択肢はないと理解してください。
2-2.ロジカルシンキングとデザイン思考をうまく使い分けることが成功の鍵
デザイン思考は、現代に一番向いているというより、現代ではデザイン思考もないと売れるものが作れない、というのが正しい解釈です。
かつては、ロジカルシンキングで問題を解決しました。しかし、ロジカルシンキングに限界が来たので、デザイン思考も使わないと、売れるものが作れなくなりました。
ロジカルシンキングは、仕組みや構造を作り、直すことで問題を解決するために使われるので、仕組みや構造がどうなっているのかを明らかにしながら考えます。橋を作ったり、ダムを作ったり、構造を設計するためにはすごく便利ですが、人間が気に入るかは関係ない世界です。
そこで、人間が気に入るかどうかという人間の問題を解くために、デザイン思考が必要になります。そうじゃないと、売れないものを作ってしまうダメな会社になってしまいます。
売れるものをちゃんと作れる人は、ロジカルシンキングもデザイン思考も、当然両方できます。もしあなたが「売れる商品を作りたい」「新規事業で利益を出したい」と思っているなら、デザイン思考を学んで使ってください。それこそが、成功への道です。
3.デザイン思考を使った問題解決の成功事例
「デザイン思考とロジカルシンキングを使うと売れるものが作れる」という事実についてさらに具体的なイメージを持てるように、この章ではデザイン思考とロジカルシンキングをうまく使って問題解決に成功した事例と、そもそもデザイン思考を使わずに失敗した事例をご紹介します。ここでお伝えする事例は、以下の2つです。
・【成功事例】パナソニック「ラムダッシュ・パームイン」 ・【失敗事例】昆虫食 |
デザイン思考の必要性について、さらに理解を深めていきましょう。
3-1.【成功事例】パナソニック「ラムダッシュ・パームイン」
出典:Panasonic「ラムダッシュ・パームイン」
パナソニックのシェーバー「ラムダッシュ・パームイン」は、デザイン思考とロジカルシンキングを使って人の役に立つ商品を開発して成功した事例です。従来のシェーバーとは違うデザイン、従来品以上の性能を兼ね備えた革命的な商品で大ヒットし、様々な賞を獲得しました。
従来のシェーバーは、どのメーカーの商品も形が決まっていて、型で押したように「シェーバーといえばこの形」と何十年も一緒でしたが、それとは全く違うデザイン、見た目であるこのシェーバーは、ユーザーや社内の声を集めて共感するところから開発が始まりました。
Panasonic社内外で調査をした結果、以下のようなニーズを把握したそうです。
「多様な生活シーンになじむシェーバーが欲しい」
これを受けて、20代から40代のメンバーが集まり、デザイン起点で新しい体験価値を提供するシェーバーを作ろうと開発が始まりました。
開発の過程では、ロジカルシンキングを使い、小さい製品の中に性能面、機能面で必要な構造を詰め込み、製品としてきちんと設計をして製造として流すことも実現しました。従来の製品より小さい製品の中に、従来品以上の性能を搭載することは簡単なことではありませんが、それを可能にしたのです。この努力もまた「ラムダッシュ・パームイン」が売れるためには欠かせない要素でした。
このようように、デザイン思考とロジカルシンキングをうまく使って誕生した「ラムダッシュ・パームイン」は、開発者の思惑通り、シェーバーの体験価値を変えました。
これまで「いかに速く、深く、優しく剃れるか」を競ってきたシェーバーの世界でしたが、「自分のライフスタイルに合っているか」を基準に家電を選ぶ人に目を向けて声を聞き、シェーバーの体験価値を変えたのです。
デザイン思考を使って顧客にとって役に立つものを見つけ、ロジカルシンキングで性能面、機能面を高めると、「ラムダッシュ・パームイン」のような人の役に立つ商品を作り出せます。
3-2.【失敗事例】コオロギの昆虫食
続いて、デザイン思考を使わずに、つまり顧客の声を聞かずに失敗した事例として、SDGsの文脈で「儲かる」と話題になったコオロギの昆虫食をご紹介します。
コオロギの昆虫食は、企業の思惑を満たしていたため様々な企業が注目して開発に乗り出しましたが、失敗しました。企業の思惑とは、以下のようなものです。
・SDGs ・脱炭素に貢献(家畜は大量の炭素を排出するがコオロギはしない) ・育てやすい(衣装ケースで育てられる) ・儲かる!とみんな言っている |
企業にとってはとても都合がいいコオロギの昆虫食ですが、失敗した理由は「企業にとって都合が良かっただけ」で、「顧客(この場合は食べる人)にとっては役に立たなかった」からです。
昆虫食をする人は、美味しいなら買うし、自分のSNSなどで紹介しますが、コオロギの味は決して美味しいわけではなく、昆虫食に詳しい人に言わせると「味ランク中の下」とのことです。
昆虫食をしない人からすると、そもそも昆虫を食べることに抵抗がある中で、たいしておいしくもないものに興味が湧くはずもなく、「いらない」としか思いません。
つまりコオロギの昆虫食は、昆虫食をする人も、しない人も、興味がないのです。
そんな中で事業開発しても、誰も買ってくれないので、失敗するのは当然です。
事業開発をする際、最終的にお金を払ってくれる人の役に立つものを作らないと失敗します。昆虫食事業では、BtoBtoCのCに当たるコンシューマーの声を聞きませんでした。昆虫食の場合、コンシューマーは「食べる人」です。
2章でもお伝えしましたが、新規事業は「顧客にとって価値がある」「儲かる」「実現できる」の3つの観点が満たされないと成功しません。
参考:図 Beth社 東京商工会議所講演会資料より 抜粋
3つの観点の中でも「顧客にとって価値がある」が最も重要ですが、昆虫食事業では、「食べる人にとって価値があるか」を無視して、「儲かる(とみんな言っている)」と「(育てやすいから)実現できる」の2つの観点しか満たしていませんでした。
その結果、給食で出して大炎上したり、思ったほど売れなくて倒産したり、育てたけれどうまくいかない結果になっています。
デザイン思考を使っていれば、このような事態は避けられたはずです。なぜなら、デザイン思考はお金を払ってでも欲しいと思えるものを見つけられる思考法だからです。顧客(お金を払う人)の声を聞きながら進めるのがデザイン思考なので、コオロギの昆虫食のように「昆虫食をする人もしない人も興味がないもの」を開発するような事態にはなりません。
コオロギの昆虫食は、お金を払う人の話を聞かずに失敗したすごくわかりやすい事例なので、「儲かりそうだから」「実現できそうだから」という理由で失敗しないように、教訓にしてください。
4.現場で使えるデザイン思考を学びたいなら「実況解説デザイン思考」講座がおすすめ
出典:「Schoo」
「ぜひデザイン思考を使って商品開発したい」
「デザイン思考が必要だということがわかった」
この記事を読んでこのように感じた人は、今からデザイン思考を学んでください。
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5.まとめ
本記事では、「デザイン思考は古くからある思考法だが、使えない思考法ではない」ということについてお伝えしました。
デザイン思考を「古い」や「終わっている」と言って別の思考法を売ってくる人は、あなたのことを考えて行動している人ではなく、騙される可能性があります。そんな人の言葉を信じるのではなくて、自分の仕事にとって何が必要かを今一度真剣に考えた上で、必要なことを学んで取り入れていってください。