
「社内で新規事業を検討しているが、アイディアが見つからない」
「儲かる新規事業アイディアってどうやったら生み出せるの?」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
価値があると確信できるような新規事業アイディアをどうしたら生み出すことができるのか、悩んでいる人は多いと思います。
新規事業アイディアは、以下の3ステップで生み出すことができます。
ステップ1.新規事業アイディア創出に挑戦する意味を定義する |
また、価値がある新規事業アイディアを創出するためには、以下の3つの観点が重要です。
・「顧客にとって価値があること」を徹底的に探す
・「儲かるか」について検討する・「実現できるか」について考える
ただし、価値がある新規事業アイディアは、表面的なことを少し学んだ程度で誰でも創出できる程、簡単なものではありません。まずはこの記事でお伝えするような「本当に価値がある新規事業アイディアの基本的な知識」を学び、ポイントを押さえながら、最終的に価値がある新規事業を立ち上げる、もしくは立ち上げさせることを目指していきましょう。
本記事では「価値がある新規事業アイディアの創出」について、以下のことをお伝えしていきます。
本記事でわかること |
・新規事業アイディアの出し方3ステップ ・新規事業アイディアを考える上で重要な3つの観点 ・新規事業アイディアを出すことは簡単だけど成功するのは難しい ・近年生まれた興味深い新規事業アイディア事例 ・新規事業アイディアを考える際の注意点 ・新規事業アイディアで難しいのは「売れると確信できるアイディアを出すこと」と「それを信じ抜くこと」 |
事例を踏まえつつ、価値がある新規事業アイディア創出を具体的にイメージできる内容になっています。
1.新規事業アイディアの出し方3ステップ
まず、新規事業アイディアを生み出す具体的な進め方をご紹介します。新規事業アイディアは、以下の3ステップのプロセスで進めていきます。
ステップ1.新規事業アイディア創出に挑戦する意味を定義する
ステップ2.テーマを検討する
ステップ3.事業案を検討する
この方法を実践すれば、価値がある=お金になる新規事業アイディアを生み出すことができます。
1-1.ステップ1「新規事業アイディア創出に挑戦する意味を定義する」
はじめに、なぜ自社が、新規事業アイディア創出に挑戦しなければいけないのか、その意味を定義します。
これはすごく重要なことなので、明確に定めてください。(定めるのは上位者の仕事です。)
なぜかというと、新規事業アイディアの創出から実現までは、さまざまなハードルがあり、挑戦する意味を明確に定めておくことで、ハードルを越える際にモチベーションを保ちやすくなるからです。また、実現したい未来や方向性がぶれないようにするためにも、この工程はとても意味があります。
よくある間違った例として、「中期経営計画書に書いてあって、社長がやれと言っているため、新規事業アイディア創出に挑戦します。」のような答えがありますが、これでは意味を定義したことになりません。
そうではなくて、「人口減少とともに既存事業の売り上げが下がる一方なので、将来人員を削減することなく、生き残るため。」のように、自社がどうして新規事業を始めるのか、どうしてアイディアを出さなければならないのかについて、真剣に定めていきましょう。
1-2.ステップ2「テーマを検討する」
続いて、新規事業アイディアのテーマを検討します。
なぜテーマの検討が必要かというと、新規事業アイディアには、お金になるものとそうではないものがあり、お金になりそうな新規事業アイディアを出したいのならば、お金になりそうな領域を冷静に考えることが重要になるからです。
領域とは例えば、以下のようなものがあります。
・産業を新たに創出する
・今ある産業を他の方法・形に置き換える・個別製品を生み出す
この3つでは、上に記載されている領域ほど、生み出される金額が大きくなります。
「産業を新たに創出する」の具体例としては、新たなエンターテイメント「Vtuber(バーチャルユーチューバー)」があげられます。2DCGや3DCGで描写されたキャラクターを用いた動画投稿・生配信による新興の表現方法は、2016年に誕生して以来、瞬く間に市場を拡大し、2023年は売上高800億円が見込まれています。
「今ある産業を他の方法・形に置き換える」の具体例としては、3Dプリンターによる培養肉の自動生成があります。これまで食肉といえば畜産によるものでしたが、細胞を培養して肉を作り出すという、新たな方法が生み出されていて、世界から注目を浴びています。
「個別製品を生み出す」は、その名の通り、一商品を生み出すことです。家電でいうと、バルミューダやヘルシオホットクックなど、ある商品を生み出すことを指します。
新規事業アイディアを検討する領域を特定したら、特定した領域の中で、どんな人たちがどんなことを課題と思っていそうなのか。その領域において具体的な登場人物とシーンを設定し、テーマを検討していきましょう。
1-3.ステップ3「事業案を検討する」
テーマを検討した上で、事業案を検討していきますが、テーマの検討と事業案の検討は、行ったり来たりしながら進めていきます。
事業案の検討では、デザイン思考とロジカルシンキングでお金が入る仕組みを検討していきます。
お金が入る仕組みは、2つの構造で成り立っていて、
・顧客の問題解決・業務(実現するための方法)
この2点について検討していくことが事業案の検討になります。
思考と検証を繰り返しながら、お金を払ってくれる顧客と、実際に使うユーザーの両方を満足させる以下の点について確定させましょう。
・今後提供する体験・体験の実現方法
思考と検証を繰り返し、商品を作っていくことになりますが、具体的に投資する前に、必ず顧客候補に話を聞いてください。話を聞いた結果、再検討が必要だと感じた場合は、もう一度プロセスを繰り返しましょう。
デザイン思考についてもっと詳しく知りた方は、こちらの記事をご覧ください。
【人気講師が解説!】デザイン思考とは?考え方、活用方法、ポイントなど
2.新規事業アイディアを考える上で重要な3つの観点
新規事業アイディアを考える上で重要な観点は、3つあります。
・「顧客にとって価値があること」を徹底的に探す
・「儲かるか」について検討する・「実現できるか」について検討する
この3つの観点が重なったところに新規事業アイディアが入っていると、事業は成功します。
重要なのは考える順番で、「顧客にとって価値がある」ことを探すところから始めてください。「顧客にとって価値がある」の検討を後回しにして、「儲かる」や「実現できるか」から考え始めると、失敗します。
それでは、それぞれの観点について、詳しくみていきましょう。
2-1.「顧客にとって価値があること」を徹底的に探す
まず検討するべきなのが、「顧客にとって価値があることは何か」です。
顧客にとって価値があることを徹底的に探すとは、具体的に以下のようなことを指します。
・毎日でも顧客候補と会話する
・自社の都合は無視・顧客が喜ぶなら、自分の価値観は無視
「顧客に価値があることを徹底的に探す」と言われると、会議室に集まってみんなで話し合うことをイメージする人もいるかもしれませんが、それは間違いです。
そうではなくて、顧客の価値観を探したいなら、外に出て顧客と会い、話を聞くことが重要になります。
また、「自社の都合・自分の価値観は無視」とありますが、これはアイディアをジャッジする上位者は自分や会社の価値を無視して、「お客さんが喜ぶかどうか」で判断しなければいけないことを意味しています。
顧客にとって価値があるという目線でアイディアを出されても、判断する側がその目線を持っていないと、意味がない点に注意しましょう。
2-2.「儲かるか」について検討する
続いて「儲かるか」について検討します。
「儲かるか」について検討する際に大事なことは、以下の3つのことです。
・下請けから脱却する
・完成品を想像する
・市場を全て取る「戦略」を考える
儲かるためには、下請けとして入れそうなところをいかに探すかではなくて、下請けからの脱却を考えることが重要です。下請けとして生き残るのではなくて、自社で1つの製品を完成させて、顧客に提供することを考えていきましょう。
また、日本の企業が苦手とする分野ではありますが、市場を全て取ることを考えるのは、重要なことです。
例えば、水素市場が12兆円と言われる中で、水素を運ぶことで得られる5千億円を狙おうとするのは、この考えに反しています。そうではなくて、12兆円の市場が見えているなら、そちらを狙うべきです。
どんなに顧客にとって価値があるものでも、儲からなければ意味がありませんので、「顧客にとって価値がある」ことを前提に、「儲かるか」についても検討していきましょう。
2-3.「実現できるか」について検討する
もう1つ、「実現できるか」も重要な観点です。
「実現できるか」について検討するとは、以下について検討することを指しています。
・新規に能力を手に入れ組織として成長するにはどうしたらいいか
・体験を実現できる、1円でも安い方法は何か
「実現できるか」とは、新しいサービスを提供するときに、誰を雇ってくれば、何の特許を買い取れば、顧客にとって価値があることが実現できるのかについて考えることです。
決して、「今、我々の会社に何ができるか」について考えることではないので、注意しましょう。
また、実現する際のコストについて検討することも重要で、「顧客にとって価値があるもの」を1円でも安く提供できる方法は何か、考えていきましょう。
3.新規事業アイディアを出すことは簡単だけど成功するのは難しい
価値がある新規事業アイディアを創出するためには、単に新規事業アイディアを出すことと、それが成功するかどうかは別であることを理解することが重要です。ここでは、以下のことについてお伝えしていきます。
・単に新規事業アイディアを出すことは極めて簡単
・新規事業アイディアは売れると確信できるかどうかが重要
簡単なようで難しい、新規事業アイディアの創出について、もう少し深掘りしていきましょう。
3-1.単に新規事業アイディアを出すことは極めて簡単
単に新規事業アイディアを創出することは、実は極めて簡単です。
そもそも新規事業は利益が出れば何でもいいわけですから、街中で売れている商品を、特許や著作権に触れないようにコピーすれば、それが新規事業アイディアになります。
実際にそのような光景はよく見られることで、例えばバルミューダが高級トースターを発売してヒットした後、高級トースターと呼ばれるものが次々と発売され、家電量販店には高級トースターコーナーができました。
このように、他者がやっていることをカスタマイズして新規事業アイディアとするのは、ありです。
ただし、顧客がその商品を購入する理由を理解せぬままに表面的にみえることをコピーしても、そのアイディアは事業としてうまくいきません。誰もが表面的な部分を全て見ることができるUSJやディズニーランドを模倣できないのがいい例です。
要するに何が言いたいかというと、ヒットしているものをコピーすれば、新規事業アイディアは簡単に出せるけれど、それが成功するかどうかというのはまた別の話ということです。
3-2.新規事業アイディアは売れると確信できるかどうかが重要
新規事業のアイディア創出で重要なことは、自分の身銭を切ったり、キャリアをかけてでも成功するだろうという確信を持てるかどうかです。
そのくらいの確信を持てるアイディアでなければ、失敗します。
では、何を基準に売れると確信を持てばいいかというと、それは「顧客がお金を払ってでも欲しいものかどうか」という点に他なりません。
結局のところ、お金を払うのは消費者です。B2Bだろうと、B2Cだろうと関係なく、買うかどうか、売れるかどうかは、お金を払う人が全てを決めることになります。
お金を払う人からすると、何であろうと、その人にとっての現状と理想の差を埋められることが一番重要なことで、差を埋めるために製品やサービスを購入します。
顧客がお金を払ってでも欲しいかどうか、その答えを知る方法は簡単です。対象となりそうな人に「こんな商品があるけど欲しい?」と聞いてまわればそれでいいのです。Twitter(現X)やハリウッド映画など、この方法で作られたヒット商品はたくさんあります。
繰り返しになりますが、新規事業アイディアは、売れると確信できることが重要です。確信できるようなアイディアを創出するために、1章、2章でお伝えしたプロセスを経て、顧客に見えている現状と価値観を知り、理想を定義して、問題解決と業務の両面から仕組みを検討していきましょう。
4.近年生まれた興味深い新規事業アイディア事例
実際に成功を収めている新規事業アイディアにはどのようなものがあるのか、気になるところではないでしょうか?
この章では、近年生まれた以下の3つの新規事業アイディアについて、ご紹介します。
・旅行者向けキャンセル保険
・高速宅配サービス
・ゴーストキッチン
それぞれみていきましょう。
4-1.旅行者向けキャンセル保険
コロナ禍で注目され人気を集めているのが、旅行者向けキャンセル保険です。
旅行者向けキャンセル保険は、旅行のキャンセル料を保証してくれる保険で、顧客の以下のような不安を解消します。
・コロナなどウィルスに感染して旅行に行けなくなったらどうしよう
・直前でイベントが中止になったらどうしよう
・旅行が中止になってキャンセル料を払うのがもったいない
このような不安を解消することで、予期せぬ出来事が起こりうる現代社会においても、顧客は旅行を予約しやすくなりました。またキャンセル料を払わなければいけない精神的な不安や負担から解放されました。
旅行者向けキャンセル保険は、当初コロナウィルスの感染を対象としたものが主流でしたが、今では以下のようにサービスを拡大しています。
・突然の妊娠発覚でのキャンセル
・交通機関の遅延によるキャンセル
・身内に不幸があった場合のキャンセル
・友人など同行者のトラブルによるキャンセル
・インフルエンザや胃腸炎など、様々な感染症によるキャンセル
旅行者向けキャンセル保険は、旅行予約に対する顧客の不安を解消し、不安定な現代でも安心して旅行を予約できるサービスで、今後ますます需要が高まることが予測されています。
4-2.即時配達サービス
即時配達サービスは、「急ぎの荷物を代わりに運ぶ」ことをテーマにしたサービスです。
幅広い顧客のニーズに応えてくれて、例えば以下のような価値を顧客に提供しています。
<個人の例>
・使わなくなったものを友人宅に運ぶ
・フリマサイトで売れた大型商品を運ぶ
・空港からホテルまで荷物を運ぶ
・レストランに忘れたものを代わりに取りにいく
<企業の例>
・メールでは送れない大量のデータやサンプルを運ぶ
・配送スタッフを雇わずに即時配達サービスを始めることを実現する
・在庫切れの商品を店舗間でその日のうちに移動する
即時配達サービスは、通常1日から数日かかる配達を、最短30分で配達可能にしたことで、「代わりに荷物を運ぶ」という作業を手軽に実現しました。
また、多少手数料がかかっても、安全に素早く商品を届けてもらえることから、自社で配送スタッフを雇うよりもあらゆるコストがカットできると考えられ、企業での需要は今後さらに拡大していきそうです。
4-3.ゴーストキッチン
ゴーストキッチンは、コロナ禍でフードデリバリーの需要が拡大したことから生まれた、新しい飲食店の形態です。顧客が来店することはないので、客席や内装の装飾もなく、キッチンのみで運営されています。
ゴーストキッチンは、新規事業アイディアで重要な3つの観点、「顧客にとって価値がある」「稼げる」「実現できる」のバランスがとてもいいサービスです。
自宅で美味しいものを食べたいと望む顧客の願望を叶えつつ、店舗費用や内装費、人件費などを極限まで抑えられるので、利益率を上げることができるし、低コストで開業することが可能です。
また、通常の店舗で必要となる接客に関するあらゆる業務を削減できる点も魅力で、その分メニュー開発など、顧客にとって価値があるものを提供することに注力しやすい点も、売り上げ続けられる要素の1つと言えるでしょう。
フードデリバリーはコロナ禍を経て売り上げが2倍に増加し、現在日本の市場は400億円に上ると言われています。今後テイクアウトの50%をゴーストキッチンが代替すると言われているほどで、今後も売り上げが伸び続けることが期待されます。
5.新規事業アイディアを考える際の注意点
新規事業アイディアを考える際には、以下の2点について注意すると、より価値がある新規事業アイディアを生み出せます。
・新規事業アイディアを考える際は仮説検証を何度も繰り返す
・できるかぎりコストをかけずに検証する
注意点を把握して、売り上げ続けられる価値があるアイディアを生み出しましょう。
5-1.新規事業アイディアを考える際は仮説検証を何度も繰り返す
新規事業アイディアを創出する際は、何度も何度も仮説検証を繰り返すことが重要です。
新規事業アイディア創出は、1回で完成品ができるほど甘いものではないからです。
例えば、新規事業を生み出す際によく使われるデザイン思考には、「共感・問題定義・アイディア発想・試作・テスト」というプロセスがありますが、デザイン思考ではこの5つのプロセスを何十周も繰り返すことが重要で、顧客の意見を聞きながら、何度も試作とテストを繰り返します。そうすることで、「顧客にとって本当に価値があるもの」を提供できるのです。
もし、仮説検証を繰り返さず、「これなら売れそう!」と、仮説を立てていきなり借金をして大量に材料を仕入れ、アクセサリーを作り、お店を開いたとします。この場合、売り出した時が1回目の検証ということになるため、開店後に顧客の声や売れ行きなどを通して、さまざまな問題点が出てくることとなりますが、借金があるため、それを反映して仕入れをし直したり、アクセサリーを作り直したりする余裕はもうありません。つまり、会社やキャリアをドブに捨てることになってしまうのです。
この例は極端な例ですが、世に出してみたらやっぱり失敗だったということにならないために、新規事業アイディアを創出する際は、仮説検証を何度も繰り返しましょう。
5-2.できる限りコストをかけずに検証する
仮説検証を何度も繰り返すことが重要だとお伝えしましたが、仮説検証はできる限りコストをかけずに行うことを真剣に考えて実行してください。
コストがかさむと、繰り返し検証することが難しくなるからです。
具体的には、1万円程度で検証できないかを真剣に考えてみるイメージです。
成功するような価値ある新規事業アイディアを手に入れたいのなら、硬く固く検証を行なっていくことが重要なので、1回あたりの検証にお金をかけてより精度が高い試作品を作るよりも、いかにコストを抑えながら検証を繰り返していくかが、本当に重要であると覚えておきましょう。
6.新規事業アイディアで難しいのは「売れると確信できるアイディアを出すこと」と「それを信じ抜くこと」
新規事業アイディアは、誰でも出せます。すでに売れているものを真似ればそれでいいのです。
しかし、「売れると確信できるアイディアを出すこと」と、「絶対に売れると信じ抜くこと」は、簡単ではありません。
実際のところ、知識がないメンバーで集まってアイディアを探し続けても、「本当に価値がある新規事業アイディア」を生み出すのはかなり難しいと言っていいでしょう。
Beth合同会社では、本当に価値がある新規事業アイディアを生み出すお手伝い、伴走をしています。
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7.まとめ
本記事では、新規事業アイディアについてお伝えしてきました。
最後に、新規事業アイディアで重要な3つの観点について、おさらいしておきましょう。
最も重要なのは、「お金を払うから欲しい!」と思ってくれるようなアイディアを生み出すことです。そのために、「顧客にとって価値があることは何か?」という観点から検討を始めてください。
価値ある新規事業アイディアが創出されることを願っています!
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