
「新規事業の戦略をどう考えればいいのか…」
「そもそも、優れた戦略とは何なのか?」
こうした悩みを抱えていませんか?
新規事業を成功させるには、 「売上ゼロの状態から、どのように競争を避けながら利益を生み出すか」 を考える必要があります。
しかし、多くの企業は 「フレームワークを使えば戦略が作れる」 という誤解に陥り、
本来考えるべき『戦略』とは別のものを作ってしまっている のが現状です。
本記事では、 フレームワークやマニュアルでは決して作れない『本物の戦略』 について解説します。
さらに、 新規事業を成功させるための具体的な事例 も紹介。
あなたのビジネスが 「生き残り、勝ち続ける」ための戦略 を手に入れてください。
具体的に『新規事業の戦略』とは何か?
単に計画を立てることではなく、競争の中で生き残り、利益を生むために必要な「行動」こそが戦略です。
ここから、 本物の戦略とは何か、そして実際にどう実行すべきかを詳しく解説 していきます。
新規事業の戦略とは「我々のビジネスが生き残るために役立つ行動を競合に行わせるために、自分たちが何を行うか」を考えて結論を出し、売上を立てるために「次の一時間に実行する具体的な行動を決める」ことです。
新規事業では、初めは売上が0円なので、とにかく売上を立てる必要があるからです。
競合の存在しないビジネスはあり得ません。競合が存在しないと主張する人は、そもそも競合との競争を恐れ、相手を見ないように目を閉じてしまっています。怖いからといって目を閉じても何も解決しないように、相手を直視できない人にはビジネスは向きません。
重要なことは、競合を認めたうえで、競合でさえも自分のビジネスの生存=キャッシュフローに都合のよい行動を取らせるようなポジション取りや自社の行動を考え、実行することです。
競合と直接ぶつかることなく、補完する関係となってでも稼ぐ。これを考えることが、とても大事になります。もしも競合とぶつかることをあえて選択するのなら、相手を潰す以外の選択肢はありません。さて、あなたは、競合を潰すことが目的でビジネスを検討しているのでしょうか?違いますよね。
SAMSUNGがスマートフォンGALAXYのブランド戦略で行ったことですら競合と補完する関係を築いています。最強の競合Apple社のiPhoneが売れれば売れるほど、iPhoneとは違う唯一の選択肢として名前が売れるようにポジションを取りました。
戦略を考えるとは、「我々のビジネスが生き残るために役立つ行動を競合に行わせるために、自分たちが何を行うか」を考えることです。しかし、「これをやれば絶対に成功する」や「このマニュアル通りにやれば戦略が立てられる」のようなものはありません。「4P、3Cといったフレームワークを使って考えれば・・・」というのは、間違っています。戦略について正しい知識を身につけて前に進むことが必須です。
しかし実際には、戦略について、また同時に、新規事業の戦略について正しく伝えている情報はほとんどありません。
そこで本記事では、新規事業の専門家で、Beth合同会社代表の私、河上が発案した実際の戦略を記載しています。本物をぜひ学んでください。
この記事でわかること |
・新規事業を成功させるための戦略とは ・「戦略」を正しく理解しないと新規事業は失敗する ・優れた戦略で新規事業を成功させた事例 ・【新規事業推進室向け】他部署に潰されないような生存戦略をとるべき ・【絶対に押さえるべき】新規事業の戦略を成功させるための注意点 |
この記事を最後まで読めば、新規事業の戦略について、概要が理解でき、成功するためにはどうすればよいかわかります。
1.【新規事業の戦略】成功するための考え方とは?
1-1.戦略とは
戦略とは「自組織が生き残るために、競合や他組織に自組織にとって都合のよい行動を取らせるために、自社が何を行うか」です。
少し難しい文章ですよね。理由は、目的が2重になっていて、かつ手段も2つあるからです。
「自組織が生き残るために」これが、最上位の目的です。
「競合や他組織に自組織にとって都合のよい行動を取らせるために」これは、最上位の目的を達成するための手段であり、同時に短期的に自組織が行う具体的な行動の目的(指針)となります。つまり、2つ目の目的です。
「自社が何を行うか」これは、2つめの目的(最上位の目的を達成するための手段でもある)を達成するための手段です。短期的に自組織が行う具体的な行動を意味します。
この2重の目的を扱えるようになることが、戦略を理解し、戦略を検討するためには必要なことです。
また、戦略の検討と、戦略の実行は全く話が違います。
戦略の検討は、誰でもできます。居酒屋で酔っ払っていてもできますし、本記事執筆者の河上は顧客からの相談を聞きながら5〜35分で組み上げます。本記事でご紹介する、学習塾Aの戦略は三分ほど、世界企業の製造装置メーカーの戦略は役員の説明を聞き河上から数問の質問をして25分程度で組み上げました。本記事最後に記載した最大手自動車会社から与えられた「クイズ」は、河上も回答するのに8ヶ月かかりました。検討とは、所詮このようなものです。
しかし、実行には権限が伴います。組織を動かさないことには戦略は実行されないからです。さて、組織を動かすためには、単純明快なひと言で「我々は何を目指して行動するのか」を伝える必要があります。数百枚のレポートなど論外です。誰も読みませんし、暗記すらできません。
実行されない戦略には、存在価値はありません。そのため、実行される優秀な戦略とは一息で説明できる程度、数十文字で表現できます。具体的には15〜50文字です。補足説明を含めても数百文字、願わくは原稿用紙1枚400文字程度です。
数十文字にまとめ、説明を含めても400文字以内であれば多くの人が理解し、記憶できます。つまり実行される可能性があがるということです。これが、「優れた戦略」です。長いものは、ただの情報です。
なお、ここまでの話をはじめて聞いた方は多くいると思います。理由は、今ご説明したとおり、ややこしいからです。そして、ビジネスにおける「戦略」は大量に売り捌くために、誰にでもわかるようにする必要があったからです。
1-2.「商品としての戦略」とは
ビジネスでの戦略は主に2つあります。
1つは、先に書いたとおり「自組織が生き残るために、競合や他組織に自組織にとって都合のよい行動を取らせるために、自社が何を行うか」を検討することです。そもそも戦略とは、国家が生存するためのものであり、その考え方を企業間の競争に持ち込んだものです。これを純戦略と呼ぶこともあります。(本記事では、戦略とだけ記載していますが)
優れた戦略は、検討には熟練した思考技術と情報、考える時間が必要です。しかし説明は一呼吸で終わります。つまり、優れた戦略は15〜50文字程度、ということです。長くても200文字、補足情報をいれて400文字程度です。短ければ多くの社員が暗記でき、実行につながります。長い戦略は読まれもせず、当然実行もされません。資料庫行きになります。
2つ目は、「商品としての戦略」です。戦略と書くと、なんでもカッコよく見えて高値で売れます。そのためとりあえず「戦略」と書くことが定番となっています。まぁ・・・あの・・・割引シールを貼るとよく物が売れるのと同じノリで、「戦略」と書いただけで中身のない物です。本当に中身がないとまずいので、「商品としての戦略」は、分厚い資料になります。
フレームワークは、もともと戦略をより多くの企業に売るために考案されました。つまり、戦略をインスタント食品にしたようなものです。お湯を注ぐだけの簡単手軽なものにしたわけです。そのための重要なポイントは、2つ。1.検討し提供する戦略立案者の人数を増やすことできること、2.顧客が満足すること。つまり顧客が生き残るかどうかではありません。売れたらそれで良いから、です。
この2つを満たすためには、「穴埋め式が最も効率が良かったので、フレームワークを穴埋めするかたちに落ち着いている」ので、世間の多くはよくわからないフレームワークを大量に作り出し、整合性のない内容で納品をしています。顧客は穴埋めさえされていてば満足するから、です。(酷い話ですが)
本記事では、フレームワークは扱いません。それは、この記事を読むあなたと、あなたのビジネスが生存することに、何も役に立たないからです。本記事の戦略とは常に「自組織が生き残るために、競合や他組織に自組織にとって都合のよい行動を取らせるために、自社が何を行うか」です。
1-3.戦略を考えるとは、どういうことか
物事を考えるときには、検討する対象(何を考えるか)と、検討方法(どう考えるか)の2つを整理する必要があります。
何を考えるかと、どう考えるか。この2つは、家の掃除に例えるとわかりやすいと思います。
戦略の場合 | 家の掃除の場合 | |||
対象(何を考えるか) | 自組織が生き残るために、競合や他組織に自組織にとって都合のよい行動を取らせるために、自社が何を行うか | 床掃除(ほこり) | 水回りの掃除(水垢やうろことり) | コンロ掃除(油汚れ) |
方法(どう考えるか) | 他社の置かれた環境を変える、他社が継続し続けることが自社にとって都合の良いように自社のポジションを変える、勝つつもりはなく足を引っ張るだけなど様々ある。明確な手順がないことだけが、明らかに決まっている | 掃除機、ロボット掃除機、ほうきとちりとりでの埃の除去 | クエン酸など酸性の薬品での拭き取りと、すりでの研磨 | アルカリ性の薬品での拭き取りと、焦げを削る |
掃除をみていただくと、どこを掃除するのか、掃除する対象によって、掃除の方法が異なることがわかります。
同様に戦略を検討する際には、何を検討するのか(検討対象)と、どう検討するのか(検討方法)は全く別のことです。
本記事では、検討対象は戦略の定義の通り「自組織が生き残るために、競合や他組織に自組織にとって都合のよい行動を取らせるために、自社が何を行うか」です。これをどう検討するのか。皆さんが知りたいのはそこだと思いますが、残念なことに検討方法には決まった手順、必ずこれをこの順番に検討していけば戦略が出てくると言うものはありません。繰り返しますが、公式や計算手順は存在しません。
理由は、戦略とはイタチごっこだからです。
もしも手順通りに進めれば戦略が自動生成される「魔法のマニュアル」が存在したとして、自社がその手順に従って自動生成した戦略を実行するのなら、競合他社は我々の会社を都合よく食い散らかす方法を検討するからです。このように常にイタチごっこになるため、決まりきった手順が存在しないことだけは明白です。
本記事では、筆者の河上が検討した優れた戦略の例を記載します。ぜひ参考になさってください。
2.新規事業を成功させるための戦略とは
冒頭でもお伝えしましたが、新規事業の戦略とは「我々のビジネスが生き残るために役立つ行動を競合に行わせるために、自分たちが何を行うか」を考えて結論を出し、売上を立てるために次の1時間に実行する具体的な行動を決めることです。
事業とはキャッシュフローです。事業立案をする人の人件費が発生する以上は、最低でもその人件費を賄うための利益が必要となります。そう、当たり前ですが新規事業は、初めは売上が0円なので、とにかく売上を立てる必要があるのです。
ここで説明する具体例では、売上を立てるために、競合の顧客ではない人をどうやって取りに行くかについて考えます。
例えば、出店しようとしているエリアの飲食店がすべて月曜から金曜までしか営業していなくて、土日に空いている飲食店がなかったら、土日に食べたい人が困るので、土日に食べたい人を取りにいきます。(土日は安易だろ、と思う方は「4.優れた戦略の実例」をお読みください)
【競合の顧客ではない人を取りに行くイメージ】
競合からお客を奪おうとするとぶつかることになります。「自社が生存するために競合他社を潰すために、あえて戦いを挑む」。さて、あらゆる選択肢が選べる状況で、なぜあえて戦うのでしょうか。しかもこれから事業を立ち上げる、脆弱なタイミングで。
そんな負けそうなことをわざわざしても仕方がありません。事業は、お金がないと、正しくはキャッシュフローがないと継続できません。他社を潰すことがそのビジネスをやる目的ならあえてぶつかっても良いですが、そうではないのなら、他社が狙っていない顧客を狙えばよいのです。
競合と直接ぶつかることなく、補完する関係でいかに稼げるかを考えることが、新規事業の戦略ではとても大事になります。
3.「戦略」を正しく理解しないと新規事業は失敗する
新規事業の成功に欠かせない戦略ですが、「戦略」について正しく語られているWeb記事はほとんどありません。それどころか、書籍も数が限られます。この章を通じて、「戦略」についての理解を深めましょう。
・戦略の間違った理解とは ・戦略の正しい理解とは |
新規事業を成功させるために、正しい知識を身につけてください。
3-1.戦略の間違った理解とは
まずはよく見られる戦略の間違った理解について正していきます。
世の中やWeb上には間違った情報が多々見られ、例えば以下のようなものがあります。
戦略の間違った理解 |
・戦略とは複数枚にわたって書かれた分厚い書類 ・複雑なものを複雑に大量の文字で書いてあるもの ・戦略を考える手順やフレームワークがある ・IT戦略、人事戦略、技術戦略などの◯◯戦略 |
これらは全て間違った知識です。
戦略というのはたった一言で言えることが多いので、複雑なものを複雑なこととして大量の文字で書いてあるものは、そもそも戦略ではありません。戦略コンサルが分厚い書類を出してきて「これが御社の戦略です。」と言ったところで、たった一言で書いていなかったら、付き合いをやめた方がよいでしょう。1-2でご説明した2つ目の「商品としての戦略」であって、あなたの事業が生き残るために、実行できるものではないからです。数万文字の内容は暗記できません。つまり「長文の戦略レポート」とは、「実行できない戦略」を意味します。戦略とは、実行できてはじめて意味があります。読まれもしないものに、残念ながら意味はありません。
繰り返しますが、戦略について、分厚い資料を作る、フレームワークを使う、どういう手順でやったら戦略が出るのか、ということに囚われている間は、新規事業を成功させられる戦略は出ません。
また、間違えている顕著な例として、IT戦略、人事戦略、技術戦略などがあります。◯◯戦略は、大抵の場合、かっこよく聞こえて高く売れるから「戦略」とつけているだけで、戦略ではありません。
正しく理解して、前に進んでください。
3-2.戦略の正しい理解とは
戦略について、以下の考え方が正しい理解です。
戦略の正しい理解 |
・戦略の考え方なんてない ・「これをやったら必ず成功する」はない ・戦略は複雑なものを複雑なまま扱わない ・優れた戦略は、15〜50文字程度。長くても200文字。補足説明をいれても400文字程度。 |
戦略について正しく理解するためには、まず、戦略の考え方、「これをやったら必ず成功する」という方法論はないことについて知ることが重要です。
また、「戦略というのは、複雑なことを複雑なまま扱わない」ということについて、なぜかというと、相手が強固に作り上げたものでも、意外ともろくて崩れやすいからです。
例えば、複雑な橋も、ネジを何本か抜いたら壊れます。なので、わざわざ大手メーカーや大手企業を倒すためのやり方などという複雑なことを考える必要はなくて、全ての仕組みを理解した上で、単純で、かつ自分たちが実行できることが戦略です。
それが目安は、「一息で説明できるもの。15〜50文字。長くても200文字。補足説明を含めて400文字程度」です。なお、資料は何枚あっても構いませんが、それらを読まずとも理解し実行できることが重要です。
4.優れた戦略の実例
新規事業を成功させるための戦略について、事例を3例紹介します。
・学習塾の事例 ・製造装置のクラウドサービスの事例 ・PayPayの事例 |
新規事業の戦略について具体的にイメージしていきましょう。
4-1.学習塾の事例
新規で、いわゆる落ちこぼれを対象とした学習塾を始めようとしているA塾の戦略をご紹介します。
A塾の戦略は、以下のようなものです。
・大手学習塾が対象としていないような落ちこぼれの生徒を対象とした ・大手学習塾にも必ず落ちこぼれがいて、手を焼いているので、その生徒を引き取る営業代行を頼む |
学習塾というと、有名校への進学率が高い大手学習塾を競合と考えがちですが、そのような大手学習塾と同じことをやっても、個人塾が勝てるわけがありません。
また、大手学習塾は、有名な学校に進学できるような、ある程度勉強ができる人を対象としていて、落ちこぼれの生徒は対象としていませんが、必ず勉強ができない落ちこぼれがいます。しかも、そのような生徒に手を焼いていて、どうにかしたいと思っているはずです。
そこで河上は戦略として「大手学習塾にいる落ちこぼれを紹介してもらう」を提案しました。仲介手数料を払うから、落ちこぼれにA塾を紹介して送り込んでもらう営業代行をお願いしようと考えたのです。
そのような契約を結ぶために、自分たちはなにをするのか。お互い直接ぶつからず、お互い補完する関係といったところでぶつからずにいかに稼げるか。これこそがA塾の戦略です。
さてこの戦略「大手学習塾にいる落ちこぼれを紹介してもらう」は、21文字。これが優れた戦略です。
戦略とは実行しなければ意味がありません。実行するためには、記憶できて部下にも伝えやすいものである必要があります。数百枚のレポートは、この結論21文字に至るための分析であり、計算過程のようなものです。結論は、このようにシンプルであるべきであり、これこそが「戦略」です。
【この事例の戦略が優れているポイント】 ・学習者の主語を細かく再定義しなおし、競合が通常業務を行う過程で必ず発生する問題を収益源に据えた |
4-2.製造装置のクラウドサービス化の事例
工場の中の製造装置を作る企業が、販売する形で提供していたビジネスが行き詰まり新規事業としてメンテナンスサービス程度しかでない、となった時の事例です。
この企業は、従来、顧客が作った工場に製造装置を納品していましたが、顧客が求めることの1つとして、生産性を上げることがあり、稼働率を上げることを目指して技術開発していました。
しかし、稼働率100%を求められたところで、メンテナンスなど物理的に稼働できない期間があり、行き詰まりを感じていました。
物理的な上限に来てしまったら、競合に勝つことを考えた時に値段を下げるしかありません。しかし、値下げしたからといって、メンテナンスで生産が落ちることは避けられないので、根本的な顧客の問題解決には至りません。
では、どうすればよいかと考えた結果河上が提案したのは、「製造装置のクラウドサービス化」です。今度は14文字です。
製造装置のクラウドサービスとは、顧客が製造装置を自社で持つことなく、使いたい分だけ生産することを可能にしたサービスです。言うならば、Gmailなどのサービスを利用することでサーバーを持つことなくメールサービスを利用できるのと同じです。
複数の工場を作ってクラウドサービスを提供すれば、メンテナンスのタイミングを調整して稼働率を100%にできるので、稼働率の問題もクリアできます。
また顧客は自社で工場作る必要なくなるため、初期投資や運用コストを削減できるし、生産が落ちることもなくなります。
「稼働率は上限の100%、工場や働く人の管理は我々がやります」といえばと、アジアの有名企業が興味を示すだろう。
このように、製造装置のクラウドサービスは、物売りでは物理的に稼働率100%にならない中で、売上を立てるためには何をすれば良いか考えた事例です。おそらく結果は数年以内に皆さんに伝わると思います。
【この事例の戦略が優れているポイント】 ・顧客にとってのペインはキャッシュフローであると看破し、物理的な制約を逆手にとった。なお、この戦略の実行として最初の一時間に実行することは全顧客に対して「勉強会開催のご相談」をメールするだけです。詳細はお問い合わせください |
4-3.PayPay
PayPayの戦略は、他社が追従を諦めない程度のポイントばら撒きを行うことで、各社乱立する状況をあえてつくり、QRコード決済という概念の普及に他社をも利用する、というものです。
戦場(意図して設定した戦う側面)は、利用金額(決済金額、利用者が支払いに使った金額)と、paypayアカウント内の残高で、戦術としておこなったポイントのばら撒きは、以下の3つの利点をもたらしました。
・利用金額向上 ・paypayアカウント内の残高の維持(1万円支払って10%バックなら1,000円残高に残る) ・他社の広告宣伝費をQRコード決済や電子決済の喧伝に使わせる |
ポイントばら撒きは、この3つに効きました。
また、利用可能店舗開拓と利用者拡大のために、利用者数と、利用者がPayPayに入金している金額のトータルと、実際の利用額を店舗意思決定者にみせることで、「ほら、みんなお金を使ってくれそうですよ」と見せて、店舗を開拓しました。
【この事例の戦略が優れているポイント】 ・自社に都合がよいように他社を行動させた |
【事例の背景:日本企業の大半は戦略を理解していない】 日本企業の大半は、戦略を理解していません。 そのため、技術的に容易で儲かりそうな匂いがすれば勝手に乗ってくれます。 勝手に乗る上に、戦い方としても「現金をばら撒く」という戦い方は極めて単純明快で、戦略を知らずとも理解できる戦い方、かつ「弊社はお金だけはある」と勘違いする状況にあるので、大量のQRコード決済が乱立しました。 しかし、ほぼ全社ソフトバンクの資金力には勝てないので、その後、勝手に自滅しました。 勝敗は予算上限という単純なゲームだったのに、「戦略の定義を知らなかった」というだけで、ほぼ全滅したのです。 そして残ったのは、QRコード決済を理解できた消費者で、ソフトバンクからすると「ありがとう!みんな宣伝してくれて!」状態だったのです。 |
5.【新規事業推進室向け】他部署に潰されないような生存戦略をとるべき
※この章は新規事業推進室の方向けの内容です。関係ない方は6章に進んでください。
新規事業を成功させるためには、そもそも、新規事業を進める取り組みそのものを存続させなければいけません。
なぜなら、そう簡単に新しいビジネスなんてできないからです。
しかし、このことを理解していない人がたくさんいて、社内に敵を作ってしまうことが多々あるのが新規事業推進室です。そのため、営業部や法務部など、競合といえる他の部署から人員を引き抜かれたり、予算の取り合いになったり、結果が出なければ取り潰しになったりします。
なので、以下のような戦略をとって、新規事業推進室をとにかく存続させることが大事です。
戦略 | 解説 |
優秀な人材を取ろうとしない | 部署としては優秀な人材が欲しいと考えがちですが、優秀な人材は今やっている業務の中で優秀なのであって、新規事業を作る上で優秀なわけではありません。 なので、「今の仕事は嫌だから、新規事業でもやるか!」となるような、今の業務で輝かなかった人たちを取ってくると、新規事業推進室の中ではある程度動いてくれます。尚且つ、他の組織から引き抜かれる心配もありません。 |
予算をそもそも使わない | 大前提、予算を使わなければ、新規事業推進室の予算を削ろうなんてことにはなりません。にもかかわらず、変なコンサルに外注して新規事業をしたりすると、「無駄金使いやがって」と他部署から予算を奪う対象として認定されてあらゆる工作を仕掛けられるので、やってはいけません。自滅ルートです。 |
基本的に、新規事業などやらない方が会社の利益率は高くなります。理由は、既存事業とは儲かることがある程度読める状況でお金を使いますが、新規事業は儲かるかどうか全くわからないことにお金を使うからです。これが新規事業は金食い虫だ、と言われる理由です。
つまり新規事業推進室は他部署から狙われる運命にあります。さて、戦略の定義を思い出しましょう。戦略とは、「自組織が生き残るために、競合や他組織に自組織にとって都合のよい行動を取らせるために、自社が何を行うか」でした。
新規事業推進室に当てはめるとこうなります。
「新規事業推進室が生き残るために、他部署に新規事業推進室にとって都合のよい行動を取らせるために、新規事業推進室が何を行うか」
何を行うか。
優秀な人を多く集めると、他部署は優秀な人材を奪いにきます。当たり前です。さて、優秀な人材を奪うという行動とは、新規事業推進室にとって都合のよい行動なのでしょうか?いいえ、違いますよね。
多くの予算を使えば、他部署は優秀な予算を奪いにきます。当たり前です。さて、予算を奪うという行動とは、新規事業推進室にとって都合のよい行動なのでしょうか?いいえ、違いますよね。
これは、「何を行うか」を間違えている典型例です。では、先ほどの戦略を当てはめてみましょう。
他部署ではうまく働けなかった人を集めると、他部署は人材を奪いはきません。当たり前です、そもそもうまく働けなかった人なのですから不要です。さて、人が奪ばわれないというのは、新規事業推進室にとって都合のよい行動なのでしょうか?はい、都合がよいです。チームが安定するから。
少額しか予算を取らなければ、他部署は予算を奪いはきません。当たり前です、得られる金額が少ないのなら費用対効果が悪いからです。さて、予算が取られないというのは、新規事業推進室にとって都合のよい行動なのでしょうか?はい、都合がよいです。予算確保のための社内政治に社員と部長の時間を使わずに、事業開発に専念できるから。
上記のような戦略をとって、「人材が余っていて優秀で欲しいから取ってしまおう」と思われないような人の集め方や、「あそこの金が余ってるから取ってしまおう」と思われないようなやり方をしていくことで、新規事業推進室を存続させて、新規事業を進めていく必要があります。
【新規事業推進室にとって重要なのはプロセス】 お金もないし、人もいない、というときに、新規事業推進室にとって重要なのはプロセスです。いつでもご相談ください。 プロセスがあれば、どんな人がやろうと、同じ結果を導き出せます。 マクドナルドが世界中で同じ味のポテトを提供できるのと同じです。 なので、新規事業推進室としては、こうやってやればうまく行くといえるようなプロセスを作ることが重要で、プロセスがあった上で、そのプロセスに則って新規事業アイデアを作り、アイデアがよくなければプロセスを見直すことを繰り返します。プロセスを徹底的に見直し続けることが、新規事業推進室のやるべきことです。 このようなプロセスや先ほどお伝えした戦略を通して、新規事業推進室が他の人に狙われたり潰されたりしなないようにして、新規事業推進室を存続させなければいけません。なぜなら、そうそう簡単に新しいビジネスなんてできないからです。 常に弱い立場で居続けるのが新規事業推進室なので、なるべく戦わない状況を作ってください。 Beth社、および人材育成専門のe-Beth社はお金をかけないで戦うための専門の支援企業です。いつでもご相談ください。 |
6.【絶対に押さえるべき】新規事業の戦略を成功させるための注意点
最後に、戦略で新規事業を成功させるための注意点をお伝えします。注意点は2つです。
・マーケティングとしての戦略にお金を払ってはいけない ・戦略を立てる人と実行する人の両方が必要 |
新規事業の戦略で失敗しないために、絶対に押さえておきたい内容です。
6-1.「商品としての戦略」にお金を払ってはいけない
1-2で書いたように、戦略には2種類あります。その中でも「商品としての戦略」は、本当に世の中に溢れています。これに引っかかると新規事業は失敗します。
戦略と書いてあればかっこいい感じがして、なんでも高い値段で売れるから戦略とついているだけであって、新規事業を成功させるための戦略とは異なる場合がほとんどだからです。
「商品としての戦略」には、以下のようなものがあります。
・IT戦略 ・人事戦略 ・技術戦略 ・戦略コンサル ・戦略のフレームワーク ・新規事業のフレームワーク |
戦略とつけると、馬鹿みたいに売れる世の中なので、売るために戦略と付けているだけの場合がほとんどです。
特に、戦略でフレームワークなど使う必要はありません。
フレームワークを使い穴埋めをすると、やった感が出るだけです。賢いことを言っている人の賢い内容を、万人が理解できるわけではないので、難しい話は万人受けしません。穴埋めされているかどうかだけはみんなが見たらわかるので、フレームワークを使いましょうと言っているだけです。もしも筆者に「フレームワークの穴埋め」を営業したひとがいたら、私をバカにしているのかな?と不思議な気持ちになります。
戦略のフレームワークなどと言っている時点で話にならないので、もし新規事業の戦略について相談した先からフレームワークの話が出たら、商売されてしまっている(お財布扱い)と思ってください。
6-2.戦略を立てる人と実行する人の両方が必要
戦略を考えるのと実行するのはまったく別の話です。
実行するためには、社内的な政治権力が伴っていないと、実行できません。一方、戦略を立てるのに権力は不要です。何を考えればいいか観点さえ知っていて頭を使うことがどういうことかわかっていれば、早ければ15分程度あれば立てられる、そんなものです。
でも、それを実行しようと思ったときに、戦略を理解できる人がいないと、「戦略が書かれた分厚い紙をもってこい」となります。要するに、戦略を理解している部長級と、それに基づいて動く課長級が必要です。部長課長級に戦略が何かわかっている人がいないと実行できないのです。ぜひ、本ページの第1章を印刷して、皆さんへお配りください。そのための無料公開です。(ただし、合法の範囲内での引用にしてくださいね)
なので、戦略を立てて新規事業を成功させたいと考えているなら、まず戦略を立てられる人材を育てる、もしくは戦略を立ててもらうことが必要です。次に、戦略を実行できる人材を育てなければいけません。
つまり、戦略を立てる人材を実行できる人材の両方がいないと、戦略を立てて新規事業を成功させることは難しいということです。
7.新規事業の戦略に関するあらゆるご相談はBeth合同会社まで
Beth合同会社は、新規事業の専門家であり、戦略の専門家です。中小企業から上場企業、世界的自動車メーカー、行政まで、幅広く伴走支援してきた実績があります。
「戦略を考えられるようになりたい」
「戦略が欲しいし実行したい」
このような場合は、ご相談ください。Beth合同会社が伴走支援します。実行するときに間違えそうになったら指摘するし、部長課長も育てるので、最終的に自社で新規事業の戦略を考えて実行できるようになります。
ご相談は こちら
【河上からのチャレンジ問題】 この記事の筆者である私、河上からの問題です! 日本国内で数兆円くらいのビジネスを立ち上げようとしたときに、押さえるべきは日本中の個人の家の駐車場である。 この戦略で勝てるビジネスとはなんでしょうか? 答えが分かった方は、こちらに答えを送ってください。正解なら正解と返します。 |
8.まとめ
本記事では、新規事業の戦略について詳しくお伝えしました。
戦略について振り返りましょう。
・新規事業の成功に欠かせないもの ・戦略とは、売上を立てるために我々は何をやるべきか ・立てることと実行することは別のこと |
自社でできない場合は、一度Beth合同会社にご相談ください。戦略の専門家、新規事業の専門家がご相談に乗ります。