
「DXを推進する上で、AIはどのように考えれば良いのか?」
「DXを推進する上でAIを活用したいのだが、良い事例はないだろうか?」
このようなお話はよくお聞きする内容ですが、DXとAIの関係性を適切に把握できていないと、得たい結果が得ることができない意思決定に終始してしまうこともあります。
DXとは、デジタル技術の導入によってビジネスモデルを変革し、ビジネス上の優位性を確立することです。
一方でAI(Artificial Intelligence)は人工知能のことで、「大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行うことを目指したもの」(一般社団法人 人工知能学会設立趣意書からの抜粋)」とも言われている(諸説あります)デジタル技術のひとつです。
DXとAIの関係性は、「AI技術はDX推進のための手段のひとつ」と言えます。
DX推進の目的は「競争優位を確立すること」で、「競争優位を確立する」ためににAIが必要であれば、積極的に活用を検討する、といった具合です。もちろん、DX推を進する手段としてはAI以外にもIotやブロックチェーン、5Gなど様々なデジタル技術が考えられます。
ちなみに、DXに注目が集まっているのは、経済産業省によって「DXを実現できなかった場合、最大12兆円(年間)の経済損失が生じる可能性」があると発表されたことが関係していると考えられます。
アメリカの「GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)」のように、これからの時代は、AI技術などのデジタル技術を活用しながら、今のビジネスモデルを大きく変革させていかなければ、会社が生き残ることは難しくなっています。
本記事では、
- DXとAIの関係性
- AIを活用してDXを推進するメリット
- AIを活用してDXを推進した具体的事例
- DXを推進でAI活用をする際のよくある課題2つ
- DX推進で効果的にAI活用をするためのコツ3つ
- DX推進でAI活用をする際の注意点
について、丁寧に解説していきます。
本記事を読むことで、AIとDXの関係性について理解し、DXを推進した場合の会社の未来をイメージしながら、自社にどのようにAI技術を取り入れていくかの検討材料としていただけたなら幸いです。
1.DXとAIの関係性
この章では、DXとAIの関係性について解説します。ここではDX、AIを以下の意味として解説していきます。
DX | 競争上の優位性を確立するために、デジタル技術の導入を前提としてビジネスモデルを変革すること |
---|---|
AI | 「大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行うことを目指したもの」(一般社団法人 人工知能学会設立趣意書からの抜粋) |
1-1.AIは、DX推進の手段のひとつ
結論を述べると、「AIは、DX推進の手段のひとつ」と言えます。
例えば、馬車を使ったタクシー会社を運営していた時に、エンジンを搭載した自動車が発売されたとしましょう。このエンジンがAIのようなものです。AI、つまりエンジン単体ではどうしようもないですが、それが組み込まれた車両にまで統合されれば利用できますよね。ただし、エンジン搭載の自動車を導入するとなると、馬のメンテナンスとエンジンのメンテナンスは全く違うので社員のリスキリングが必要になりますし、1日の走行可能距離も大幅に増えるので会社を拡大でき、長距離を短時間に移動できるので相手をする顧客層も変化します。なので、会社がかわっていく、つまりトランスフォーメーションするというわけです。
この変化が、馬車を使ったタクシー会社の強力なライバルになる、つまり競争優位性が高まるのであればそのように変化することを目指していけばいいわけです。
こういうふうに捉えていただくと、DXとAIの関係性がわかりやすくなると思います。
重要なので繰り返しますが、DXの目的は競争上の優位性を確立することです。そのため、競争優位性を高めることを目的として、今のビジネスモデルをデジタル技術の活用を前提として変革していくことがDXであり、競争優位性が高まることにつながることを行えていれば、それはDXが前進しているといえます。
たとえば、AIを活用すること自体が「競争優位性を確立することができる(またはつながる)」のであればDX推進の具体的手法の1つとしてAIの活用をしていく、ということにはなり得ます。
一方で、企業によってはAIを活用すること自体が「競争優位性の確立につながるわけではない」ケースもあります。その場合、DX推進の手段としてAIの活用が成立することはありません。経済産業省がDXではないと明言した競争優位性の確立、確立に寄与しない単なる「業務のデジタル化」や「業務効率化」などはDXではありません。
同じように、DX推進の過程ではAI以外のロボティクス・RPA・5G・ブロックチェーンなどのデジタル技術を複合的に導入することも検討します。冒頭にお伝えした、エンジンだけでは意味がないが、車両にまで統合されれば意味が出てくる、という話です。AI単体でポツンといても意味はありませんが、あらゆる技術を組み合わせて新たな価値をだす*ことを目指します。(*組み合わせて新たな価値を出すことを、英語圏では「システムを作る」といいます)。
つまり、(AIだけではありませんが)会社の業務プロセスにAIを取り入れること自体がDX推進になる訳ではない、ということです。
1-2.AIの活用がDX推進の一環であるかは「目的が一致するか」
AIの活用がDX推進の一環であるかどうかは、目的が一致するかどうかで決まります。
DXの目的は先に述べた通り、「競争優位性の確立」です。
AIの活用目的が「競争優位性の確立」でなければ、それはDX推進の一環であるとは言えません。
AIの導入がDX推進の一環である場合 | |
---|---|
DX推進の目的 | 競争優位性の確立 |
AI活用の目的 | 競争優位性の確立 (具体例) 他社がサービス提供にAIを活用していないが、AIを活用することで明らかに自社サービスのユーザー体験をよりよくすることができ、それにより業界内でも突出した競争優位を確立できる |
たとえば、以下のように目的が違っていれば、全く別の取り組みということになります。AI導入AI導入
AIの導入がDX推進とは関係がない場合 | |
---|---|
DX推進の目的 | 競争優位性の確立 |
AI活用の目的 | 業務効率化 (具体例) 現状、顧客に提供するレポートは、多量な情報の中から最も熟練し担当者が経験値による基準で判断しながら分析し、レポートにまとめ提供している。しかし、担当者が育たないため業務拡大が進行しない。ここにAIを導入することで全てコンピュータから弾き出され、業務拡大に対応していく。 |
検索エンジンやweb広告上では、上記のような「AIの導入がDX推進とは関係がない場合」のケースだったとしても「AIを導入することでDXを実現しましょう!」というような表現がされていることがあります。
しかし、厳密には、AIの導入によってそれがDXの実現につながるかといえば、目的が一致していなければ(=AI導入の目的が競争優位性を確立することでなければ)、DXの実現につながるとは言えないということです。DXの実現とは競合他社を圧倒することであり、会社が倒産しないことであり、担当者のあなたの仕事が続くことを意味します。他社も導入したから我が社も、という思考は、ベンダーのお財布に成り下がるだけです。
これを踏まえた上で、次章では、AIを導入してDXを推進していくメリットについて見ていきましょう。
2.AIを活用してDXを推進するメリットの例
2章では、AIを活用してDXを推進するメリットの例について解説していきます。AIを活用してDX推進を行うメリットは、ケースによってさまざまで、無数に存在しますが、ここではわかりやすい2つの例を取り上げて解説していきます。
- 業務効率化によって他社が実現できないコスト構造にできる
- 他社が実現できてない新たな事業の創設につながる
それでは解説していきます。
4-1.業務効率化によって他社が実現できないコスト構造にできる
AI活用によるDX推進をするメリットとして挙げられるのが、業務コスト30%減、60%減などの圧倒的な業務効率化を達成し、他社が実現できないコスト構造にすることです。これにより、利益の絶対額が増えるため場合によっては競合を直接買収するようなことさえも選択肢に入れることができます。競争優位性を確立するとは、こういうことです。
たとえば、製造業や建設業を例にあげてみると分かりやすいです。
製造業 | AIの活用により、作業の自動化が可能に。在庫管理や仕分け作業、不良品選別などを機械が行うことで、人件費の大幅な削減や作業の効率化につながる。AIのベースとなっている判断基準は自社の熟練した担当者独自によるもので、他社には門外不出のノウハウによるものであることで、人によるエラーがなくなる上に今までの質を維持しながら製造量(販売エリア)を拡大することができる。 |
---|---|
建設業 | デザイン設計や建築計画の立案などでAIの活用が可能。建設現場における進捗管理などでAIの画像認識技術が役立つ。これにより、自社独自の視点が盛り込まれたベテラン仕様のアウトプットを自動で作ることができ、人材不足の解消・生産性の向上を達成しつつ、競合他社に比べ明らかに受注可能量を増やすことができる。 |
上記の通り、AI活用によるDX推進の過程で、大幅な業務効率化を達成することが期待でき、社員の働き方改革にも良い影響をもたらします。
冒頭のたとえ話の、馬車と自動車を思い出してみてください。部品で見ると、馬とエンジンの違いです。どちらも人力を使うことなく、車両を移動させることに役立ちますが効率が全く違います。同じように、人間が車両をひく人力車を思い浮かべてみてください。あなたは、自分が走る人力車と、エンジンで動く車を運転するのと、どちらが1日でより多くの顧客を運べるでしょうか。よくあるデジタル導入の反対論として「人でも同じことができる」という言葉の無意味さはこの例でお分かりでしょう。
4-2.新たな事業の創設につながる
AIを導入したDX推進の中で、新しい事業を創り出すことにつながるケースが多くあります。
AI導入によって、これまでできなかったことができるようになり、新たなサービスや商品を創り出すことにつながるのです。これは、競争優位を確立する上でも重要な点です。
特に、AI導入によってDXを促進する場合には、これまでのビジネスモデルを大きく変えることが前提にあるため、思いもよらないビジネスチャンスに遭遇しやすくなります。ChatGPTというサービスが登場しましたが、AIを研究し続けた結果質的転換を果たして、あのGoogleを脅かしています。
また、DX推進の過程で人間が行なっていたことを機械に任せれば、その分、新たな分野の開拓へリソース(人員・資金・時間)を回すことも可能になります。彼らを遊ばせておいては意味がありませんが、それらの人材を玉突き的に、別の仕事に当てて、事業創出に優れた人員を事業開発に投入すれば、当然ながら新規事業は創出できます。
以上、AI導入によるDX推進のメリットについて解説しました。
会社が生き残るためにDX推進が必須なのはもちろんですが、AI導入によってメリットを享受できることを理解していただけたなら幸いです。
次章では、AIを導入したDX推進の具体的な事例について紹介していきます。
3.AIを活用してDXを推進した具体的事例を紹介
AI導入によるDX推進の具体的な事例を紹介します。経済産業省が発表している「DX銘柄2021」の中からピックアップしました。
経済産業省によると、これらの企業は「単にAI導入をしただけにとどまらず、ビジネスモデルそのものの変革や経営の変革に果敢にチャレンジし続けている」とのことです。
これまで「AI導入がすぐにDX推進につながる」という訳ではないとお伝えしました。
そのため、「AIをどのように導入したか」という点ではなく、その他のデジタルツールの導入やビジョン策定も含め、全体としてどのように進めようとしているのかをぜひ参考にしてください。
3-1.株式会社セブン&アイ・ホールディングス
株式会社セブン&アイ・ホールディングスでは、物流を推進していくため、配送効率の最適化が不可欠だと考え、グループ共通の「ラストワンマイルDXプラットフォーム」を構築。
DX戦略を、「新たなお客様体験価値の創造」をテーマとした“攻めのDX”と、「セキュリティと効率化」をテーマとした“守りのDX”の2つに大別し、AI利用と内製化により各施策を推進。
引用:「DX銘柄2021」に初の選定|株式会社セブン&アイ・ホールディングス
DXを実現するための大きなビジョンが描かれており、その中の重要な要素としてAIの活用を展開していくという流れで進んでいます。
AI技術を導入し「(1)車両・ドライバー (2)配送料(3)配送ルート(4)受取場所」の最適化を実施。
この技術を導入し、セブン‐イレブンの商品配送サービス「セブン‐イレブンネットコンビニ」を提供しています。
また、セブン&アイ・ホールディングスでは、「グループDX戦略本部」を2020年4月に発足し、エンジニアの採用・育成など、グループ全体でDX推進を行なっています。
グループを横断してのDX推進に取り組んでおり、「グループDX戦略マップ」では、「新たなお客様体験価値の創造」をテーマとした“攻めのDX”と、「セキュリティと効率化」をテーマとした“守りのDX”という視点で、AI導入による各施策を推進中です。
セブン&アイ・ホールディングスでは、成功だけではなく、苦い失敗もメディアに抜かれています。会社が変わるというのは簡単なことではなく、血を流しながらでも前進し続ける姿をぜひ参考にしていただきたく、一番に紹介させていただきました。
参考:「DX銘柄2021」に初の選定|株式会社セブン&アイ・ホールディングス、セブン&アイ「DX崩壊」が内部資料で判明、創業家・ITベンダー・コンサル…乱心の大抗争|ダイヤモンドオンライン
3-2.旭化成株式会社
旭化成株式会社では、AIを導入した製品検査自動化・ 設備異常の予兆検知によって、業務効率化・生産性の向上という成果を出しています。
DXが1つの重要な取り組みとして存在し、そのための具体策としてAIの活用を実践していることが紹介されています。
旭化成株式会社は、IoT技術を導入して新工場の立ち上げや運転支援を実施したり、ブロックチェーンの導入によって、取引のデジタル化やデータベース共有を行い、医薬品や生鮮食品の物流の高度化を測ったりなど、会社全体でDX推進を行なっています。
参考:旭化成、「DX銘柄2021」に選定|旭化成株式会社
3-3.株式会社資生堂
株式会社資生堂では、コロナの流行による対面販売の困難を解消すべく、顔認証と高度なAI技術によって「バーチャルメイクアップ」を可能にし、国内初のオンラインウェブカウンセリング等の取り組みを強化しました。
さらに、会社全体で、「デジタルを導入した事業モデルへの転換・組織構築」を掲げています。
デジタル領域で多くの実績を持つ企業とパートナーシップを結び、デジタル・IT専門分野での高度なスキルを持つ人材の育成・採用をより強化するなど、DX推進に力を入れています。
参考:資生堂「デジタルトランスフォーメーション銘柄2021」「コロナ対応部門(カスタマーケア部門)」に選定|株式会社資生堂
3-4.SREホールディングス
「DX銘柄2021」のグランプリを受賞したSREホールディングスは不動産業からスタートした会社です。
AI技術を導入したスマート化ツールを使うなど、積極的にデジタル技術を導入し、不動産売買仲介業務の生産性向上を実現してきました。
そして、自社で開発したスマート化ツールを不動産や金融などの業界各社に提供するという新たな事業につなげています。
今後も自社の不動産業だけでなく、SaaSプロバイダーとして、不動産や金融をはじめとした多様な業界のDXや事業拡大を推進していくとのことです。
参考:「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2021」および「DXグランプリ2021」に選定
|SREホールディングス
4.DX推進でAI活用をする際のよくある課題2つ
AI導入によるDX推進のメリットや具体的な事例を見ながら、会社の未来のイメージが広がってきた人も多いでしょう。ただ、AI導入によるDX推進において、課題になりやすい事柄があるので、必ず、事前に確認しておきましょう。
- 既存システムをどうするか?
- 現場サイドの抵抗
4-1.既存システムをどうするか?
DX推進でAIを活用する場合、既存システムをどうするか?という問題が生じやすいです。
新しくAIを活用する際に、「これまでのシステムを全て無くすか、連携させるか、どのように位置付けるか」という点に結論が出せなければ、DX推進を妨げてしまうのです。
既存システムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化する中、新しいシステムを導入してもデータの利活用・連携が限定的になり、中途半端な結果になってしまうことが懸念されています。
既存システムの維持や管理に人員や費用が割かれ、新たなシステム構築の方に手が回らないといった問題も指摘されています。
AI導入によるDX推進のためには、「既存システムをどう廃止するか?」「既存システムと新たなシステムをどのように適合させていくのか?」について考える必要があるのです。
極端なことをいえば、過去のデータは会計処理が終わっていればもはや不要と捉えても良いケースが散見されます。2010年代に「ビッグデータ」をキーワードにさんざんデータ分析を行った会社も多々あると思いますが、そもそも論として、データは目的があって収集しているものです。その目的を逸脱するような結果をデータから得ることは難しいため、役割を終えたデータは不要だと割り切ることも重要です。
例えば、小売店だとしましょう。データ分析として「レシート情報から、購入者の体重を推察しよう」としても高い精度がでるとは思えません。この例え話が意味不明なように、データは目的があって使われています。この例では、顧客への販売データとしてレシートがあるわけです。そこでこのデータの役目は終わっています。そこから「体重を導く」という目的外のことをやろうとしているからうまくいかないのです。
であれば、過去のデータを整理(クレンジング)して、新しいサーバーに移すことに、ITベンダーの売り上げに貢献する以外なんの意味があるのでしょうか。取っておいたら、役にたつかもという不安の解消にいくら払うのか。その見極めと、割り切りは極めて重要です。
4-2.現場サイドの抵抗
DXを推進していく中では、今までの経営体制の見直しと既存システムの変革が求められるため、現場サイドの抵抗が予測できます。
しかし、DXを実行しなければ、既存システムの管理維持費は確実に増大し、会社の競争力は低下します。馬車を扱うタクシー会社が減れば、馬車向けの部品供給が減り、1つあたりのコストが上がることは想像できるはずです。古いシステムも同じことです。コストは増加しますし、そのうち保守メンテナンスができなくなり壊れた瞬間に全てが崩壊します。そこから慌てても遅いのです。
会社を存続させるために必要な改革であるということを現場サイドに丁寧に説明し、一丸となってDXを推進していくことを目指しましょう。
AIの活用の際ではなく、新たなデジタル技術を導入・活用する際にはついてまわる課題ですが、この課題をクリアしないわけにはDXの推進はスムーズには進みません。
もし現場を説得したり指揮命令ができないのだとしたら、その法人のトランスフォーメーションは中止して資本関係を結んだ全くの別会社を作るか、社員ごと事業売却をして新しい人員で会社を作り直す方法も選択肢の1つです。
参考事例:ビジョンも目的もない「逆張り」マネジメント TIME IS VALUE ― 寺田倉庫
https://workmill.jp/jp/webzine/20200000_issue03warehouseterrada/
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00065/042200027/
ここまでシビアに行うことが、単なる業務改善ではなくトランスフォーメーションということであり、これを判断することが経営の難しさと孤独さです。
5.DX推進で効果的にAI活用をするためのコツ3つ
上述した課題を念頭に置いた上で、「DX推進でのAI活用を効果的にするためのコツ」を解説します。
- DXのビジョンを明確に定める
- 経営者のコミットメントと体制づくりを進める
- AI人材の確保・育成を進める
5-1.DXのビジョンを明確に定める
DXのビジョンを明確に定めることが大切です。ビジョンを明確に定めるとは、競合他社に圧倒的に勝つためのシナリオであり、たった一言で語れるような核となる戦略です。ふわふわしたさまざまな解釈ができてしまう標語ではありません。
つまりDXを推進することで、現在のビジネスモデルを最終的にどうするのか、何が他社との差別化になるのかが描かれていなければなりません。
繰り返しになりますが、「とりあえずAIの導入をした」というだけではDX推進には当たりません。あくまでAI導入は手段であり、ビジネスモデルを変革し、会社に利益をもたらすことが重要なのです。
特に、
- 経営陣のビジョンが定まらぬまま「とにかくAIで何かをやりたい」と丸投げをする
- AI導入が目的になってしまい本来の経営ビジョンと乖離する
といった失敗が多いので、注意が必要です。
5-2.経営者のコミットメントと体制づくりを進める
DXを推進していくためには、経営者の命とクビをかけた約束(コミットメント)と体制作りが不可欠です。
DX推進は、ビジネスモデルや組織の変革を伴うため、経営者の命とクビをかけた約束(コミットメント)が必要になります。新しい技術や今までの成功体験から脱却することに対し、当然ながら現場サイドの抵抗があるはずです。
強い信念とリーダーシップを発揮しなければ、「仕事を作り直す」ことにはつながりません。
各部門でDX推進責任者を選出したり、チームを作ったりなど、DXを推進するための体制を整え、社員が当事者意識を持つように導くことも忘れてはなりません。
DXを推進する上でどのように組織を作っていけば良いか、に関してもっと詳しく知りたい場合は、こちらもご覧ください。
DX成功には組織作りが重要|代表的な4つの体制と組織作りのポイント
5-3.AI人材の確保・育成を進める
AI導入によってDXを推進していくためには、AI人材の確保・育成を進めていくことが非常に重要です。
AIの人材不足は、DX推進における大きな壁と言われており、上述した通り、2025年にITの人材不足は約43万人までに拡大すると言われています。
そのため、迅速にAI人材の確保を進めていく必要があります。ただし、AI人材とはAIを0から開発できる必要は必ずしもありません。GAFAMを主要競合と捉えるのでれば、3000万円〜数億円の年収で人を採用しても良いのですが、GAMAFが競合になることはあまりないと思います。
そのため、どちらかといえばAIが搭載されたシステムを利用できるぐらいの人員で まずは十分です。これは、自動車のタクシー運転手がエンジンの分解清掃や、そもそもエンジンを開発できるわけではないのと同じです。
Google検索ができたり、ChatGPTをつかえたりするだけでもまずは良いです。逆にいうと、Google検索すら満足にできないような社員は早急にリスキリングが必要です。
またAIの企画や開発を外注するという方法もありますが、外注する場合でも、ある程度のAI知識を持った社員は必要不可欠と言えます。そうでなければ、言い値で買わされて大したものができないということになりかねません。
社員にAI教育を施し、外注先と対等に対話できる人材を育てることも検討しましょう。
6.DX推進でAI活用をする際の注意点
DXの推進でAIを活用する際、注意しなければならないのは、AIの活用が競争優位性の確立に本当に貢献するのかを考え抜く必要がある、ということです。
DXの目的は、「競争優位性の確立」です。
- なぜ、他のデジタル技術ではなくあえて、AIなのか?
- AIの活用が競争優位性を確立する決定打となる理由は何か?
- ところでAIってなんなのか?
この点を考え抜いた上でAIの活用の結論を出さなければ、そもそもAIというデジタル技術を活用する意味がないですし、競争優位性を確立する結果にはつながりません。
そのため、DX推進でAIを活用する際には、「本当にAIか?」について考え抜く必要があります。RPAでも十分だよね、ということは多々あります。(ただしお金を払う顧客が「絶対にAIだ!」という場合は、無駄だと思いつつも高い値段で売れるのでITベンダーとしてはいい商売になります。変な買い物を避けるためにも、AIってなんだということを整理する必要があります。)。
当然、AI導入に向いていない分野や業務もあるので、慎重に見極める必要があります。
言うまでもないですが、AIを使えば必ず競争優位性が生まれる訳ではありません。
9.まとめ
本記事では、
- DXとAIの関係性
- AIを活用してDXを推進するメリット
- AIを活用してDXを推進した具体的事例
- DXを推進でAI活用をする際のよくある課題2つ
- DX推進で効果的にAI活用をするためのコツ3つ
- DX推進でAI活用をする際の注意点
について解説しました。
まず、押さえるべきは、AIを導入しただけでDX推進にはつながらないという点です。DXはビジネスモデルや組織の変革を伴って、会社の優位性を確保するという概念であり、AIはDXを達成するために導入されるひとつの技術でしかありません。
ただ、AI導入によってDXを推進することで、業務効率化や新規事業の創出などのメリットがあり、会社に大きな利益をもたらす可能性を秘めているのです。それゆえ、多くの日本企業ではAI導入によるDX推進に力を入れはじめています。
とはいえ、AI導入によるDX推進には、簡単に進められるものではないという事情もあります。
AI導入によるDXのためには、AI人材の確保や経営者の強いコミットメントが必須になるでしょう。
本記事を読み、AIとDXの関係性について理解し、DXを推進した場合の未来やメリットをイメージし、自社にどう取り入れるべきかなどを判断いただければ幸いです。
コメント