デザイン思考に不可欠なペルソナについて実践派専門家が徹底解説

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私が書きました 河上 泰之

「デザイン思考の中で、ペルソナはどのような位置付けで、どのように定義されているの?」
「そもそもデザイン思考ではペルソナは絶対に作らないといけないものなの?」

このような疑問をお持ちではありませんか?

「ペルソナは製品やサービスの利用者となる具体的な人物像を想定して設定すること」ということは知っていても、デザイン思考においてはどのような役割があるのか?どのように作成するのか?どのように活用すればいいのか?といったことまでは、深く理解できていない方が多いのではないでしょうか。

デザイン思考では、プロセスの初期段階である「共感」フェーズでペルソナを用いることにより、顧客の価値観を深く掘り下げることが可能になります。デザイン思考はペルソナの作成なしには始まらないため、ペルソナ構築は必要不可欠なステップと認識してください

【デザイン思考の5つのプロセス(※ペルソナは共感のフェーズで用いる)】

なぜデザイン思考においてペルソナの設定が不可欠であるか、車の製造を例にしてみましょう。

車を作る時、ファミリー向け、農作業向け、カップル向けなど、対象となる顧客を明確にせずに設計を進めると、スポーツカーと軽トラックが合体したような、意味不明なものが出来上がってしまいます。
このような事態を避けるために、「この製品を使う人はどのような人か」という明確な人物像を、名前をつけたり、性別を決めたりして作ります。これがペルソナです。

ペルソナを通じて、製品やサービスを利用する人々の価値観や使用状況を明確にし、チーム内で共有します。これにより、顧客のニーズや顧客が求める体験を中心に据えた意思決定が行えるようになります

デザイン思考においては、何かを判断する際に、相手の「価値観」と「使い方」はあらゆる判断の基軸となります。このため、ペルソナを極めて重要視するのです。

【デザイン思考のおさらい】

デザイン思考は、顧客が製品やサービスをどのように使いたいのか、何がしたい人なのか(表層的なペルソナ)、かつ、その人が本当に欲しいものは何なのか(インサイト、深い動機)を知るために、相手の価値観を深く探りに行きます。

相手の価値観が分かっていないと、「こういうものです」と製品やサービスを相手に見せた時に、それが「良い」と思われるか、「悪い」と思われるか、はたまた「どうでもいい」と思われるかどうか、正確に判断できないからです。

そのため、デザイン思考においては、相手の価値観を深く理解することで、その人たちにとって本当に役に立つ価値あるものを作ることができるのです。

このようなデザイン思考の基本がまだよく分かっていない方は、以下の記事も併せてご覧ください。
参考記事:「【人気講師が解説!】デザイン思考とは?考え方、活用方法、ポイントなど

本記事では、上記のことを含めて、デザイン思考のペルソナに関して、その重要性や具体的な設定方法について詳細に解説していきます。

この記事でわかること
・デザイン思考におけるペルソナの基本
・デザイン思考のペルソナを作成する方法
・デザイン思考のペルソナは1度作って終わりではなく、仮説検証を経て修正を繰り返すことが重要
・デザイン思考でペルソナを設定する際の2つの注意点
・デザイン思考のプロに寄せられたペルソナに関する質問と回答集
・Beth合同会社のコーチングを受ければ、ペルソナ設定をはじめ、デザイン思考の全体を学びながら成功できる

ぜひこの機会に、デザイン思考において不可欠となるペルソナについての理解を深め、実際に作成し活用する方法をマスターするために、この記事を最後までご覧ください。

【重要】
デザイン思考において、「ペルソナ」と「プロトタイプ」は車の両輪のように互いを補完し合うものであり、両者を理解し活用することで、初めてデザイン思考のプロセスを正しく進められます。

そのため、必ず以下の記事も併せてご覧いただくことを推奨します。
参考記事:「デザイン思考実践のプロトタイプ|早く安い試作品で顧客の声を得よう

1.デザイン思考におけるペルソナの基本

 

まずは、デザイン思考におけるペルソナの基本を理解しましょう。

ここで解説するのは、デザイン思考を活用する上で欠かせないペルソナの2つの要素です。

・デザイン思考におけるペルソナ作成の目的:自社製品やサービスを検討していくときのターゲット像についてチーム内で認識を合わせること
デザイン思考におけるペルソナ設定の重要性:ここで間違えると全てが狂い失敗する

これらの基本をおさえておくことで、ペルソナの作成や活用法をより深く、かつ正確に理解することができるようになります。

1-1.デザイン思考におけるペルソナ作成の目的:自社製品やサービスのターゲット像についてチーム内で認識を合わせること

デザイン思考においてペルソナを作る目的は、自社製品やサービスを検討していく時のターゲット像がどのような価値観の人物で、どのような使い方をするのかについて、チーム内で認識を合わせるためです。

「価値観」と「使い方」は、デザイン思考におけるあらゆる判断の基準になるため、ペルソナ設定は極めて重要です。

判断基準としてペルソナを利用する典型的な例を以下に示します。

<ペルソナを判断基準として用いる例>
・相手に「こういうものはどうですか」と見せたときに、「良い」と思われるか、「悪い」と思われるか、「どうでもいい」と思われるかを見極める判断
・複数のアイデアをどうするか検討する際、アイデアAなのかBなのか、どれを選ぶかの判断
・大阪弁を使うか、NHKのような言葉を使うか、のようなコミュニケーションの判断
・(特に海外では)相手の宗教観として何だったら受け入れられるのか、という受容性の判断

デザイン思考では、こうした判断を通じて、顧客がお金を払ってでも欲しいと思うものを生み出します。そのために、検討チーム内で認識を合わせる必要があるため、チーム内で共有するペルソナが必須です。

このペルソナの間違った使い方としてよくあるのが、「自分たちの検討に都合の良い完全に架空の人物を作り上げる」ことです。

自分たちの都合に合わせたペルソナを設定してチーム内で認識を合わせても、相手の価値観や使い方を知ることができないので、顧客がお金を払ってでも欲しいと思うものにたどり着くことができず、失敗します。

正しいペルソナは、現実世界に実在する人物をもとに、価値観やキャラクターの似ている人たちを複数人にまとめた、1つの人物像です。例えば、サッカー部の中でもゴールキーパーとフォワードではキャラクターが違うように、ゴールキーパーのペルソナを作るのなら、現実に存在するゴールキーパー数人をまとめて、ゴールキーパーというキャラクターを代表する人物像を作ります。

このようにして作られたものが正しいペルソナで、だからこそチーム内で認識を合わせるために適切に機能してくれます。

1-2.デザイン思考におけるペルソナ設定の重要性:ここで間違うと全てが狂い失敗する

ペルソナ設定は、デザイン思考で成功するかしないかを左右すると言っていいほど、非常に重要です。

ペルソナ設定で知った相手の価値観や使い方は、後のプロセスである「問題定義」や「アイデア」を選定する際の判断基準になるからです。そのためペルソナが間違っていると全てが狂ってしまい、結果として顧客がお金を払ってでも欲しいと思えるものに辿りつけなくなります。

例えば、どの年代をペルソナに設定するのかで、価値観や使い方は大きく異なります。ライフイベントで考えてみても、各年代では大きな違いがありますよね。

20代では社会人生活がスタートして、仕事に悩みを持つ人が多いのではないでしょうか。同時に恋愛を楽しんだり、時には悩みを抱えたりする人も多いことかと思います。30代では、結婚や出産というライフイベントを経験する人が多くいます。そんな中で、仕事との両立に悩む人もいるかもしれません。40代では、子供の進学の心配や、自身の体調の変化に悩む人が多いことでしょう。更年期障害が始まったり、20代や30代とは違うステージに進んだりしていく頃でもあります。

このように、年代によってライフイベントや抱える悩みが異なるため、ペルソナの年代をどの年代にするかで、解決するべき課題が大きく変わってしまうのです。

ここを間違えると正しく「問題定義」できず、その後全てが間違った方向に進んでいき、結果的に顧客の問題を解決する製品やサービスを生み出せなくなるのです。

ペルソナ設定を軽視せず、想像を膨らませながらしっかり作成していきましょう。

2.デザイン思考のペルソナを作成する方法

デザイン思考のペルソナは、実際にどのように作成していくのか詳しく解説します。

ペルソナを作成する際は、まず、デモグラフィック情報を決めて、「この辺りに行けば会えそう」というあたりを決めていきます。そして、実際に出会えたら、インタビューを行なって価値観を把握していきましょう。

例えば、ワンオペ育児をしている人のベビーカーに関する悩みを聞きたいなら、ちょっと大きめの駅に行って、階段のそばで待機していると、その階段でべビーカーを運ぼうとしている人に出会えます。その人の手助けをしたら、直接的に少し話を聞くことができるでしょう。

また、SDGsで虫を食べるプロジェクトに関心があるなら、昆虫食が食べられる飲食店を直接訪れて、店主に話を聞くといいでしょう。「他に話を聞かせてくれるお客さんはいませんか?」と尋ねると、詳しい人を紹介してくれることもあります。席に座って隣の人に「これどうやったら楽しめるんですか?」と聞いてみるのも得策です。

このように、実際に会って話を聞き、価値観について理解を深めるために、デモグラフィック情報を決めて、分かる範囲でやってみて実際に行ってみることを繰り返します。

もし決めたデモグラフィックの範囲に求めている人がいなかったら、情報を更新しましょう。

さらに余裕がある場合は、自分も同じ環境に置いてみることで、ターゲットとなる人々の中に入って話を直接聞くことができれば、価値観によって感情がどう反応するのかまで理解できますよ。

例えば、ゲームで課金する人の気持ちが知りたい場合は、実際にゲームに課金してみて、課金上位になっている人たちのオフ会に行って話を聞くと、価値観を理解できる上に、その価値観によって感情がどう反応するかまで理解できます。

このように、インタビューなどを通じて理解を深めながら、1つの人物像を作っていくのが、デザイン思考におけるペルソナの作成方法です。

【デザイン思考のペルソナと、広告のペルソナはアプローチが全く異なる】

デザイン思考のペルソナは、性別や年齢、住んでいるところなど、外観的な特徴だけでは作りきれません。デザイン思考で価値観を知りたい相手は、必ずしもデモグラフィック情報でカテゴライズできないからです。

【デザイン思考のペルソナ】
例えば、推し活している人はいっぱいいますが、推し活している人がどこか特定の場所に住んでいて、特定の仕事をしていて、特定の年齢というわけではありません。
でも、推し活しているので、「推し活している人たち」という価値観を知るためにペルソナを作れますよね。
そういうところが、デモグラフィック情報では区切れない特別なアプローチになります。

【広告のペルソナ】
一方、広告用のペルソナは、売りたい商品があるので、買って欲しい人が既に決まっています。人物像が既に決まっているので、あとはどこで、何を聞くのかを把握すると、広告の枠を抑えられます。

例えば、農作業用のトラクターの場合は、売る相手は農作業をする人と決まっているので、農協などにチラシを貼れば見てもらえるし、ラジオを聞いている人が多いならラジオの広告枠をおさえればいいだけです。

つまり、デザイン思考のペルソナはかなり深いところ(インサイト)まで知る必要があるのに対し、広告のペルソナは人物像が決まっているので、デザイン思考のペルソナと比較して浅いところを取るだけで大丈夫ということになります。

3.デザイン思考のペルソナは1度作って終わりではなく、仮説検証を経て修正を繰り返すことが重要

デザイン思考のペルソナ設定で重要なことは、ペルソナは1度作ったらそれで完成ではないということです。デザイン思考のサイクルを回していくと、ペルソナの価値観への理解が深まっていくので、適宜修正が必要になります。

特にサイクルを回し始めて5周目くらいまでは、「修正を行わない」ということはあり得ません。

なぜ修正を繰り返すことが重要かというと、人間は多面的な生き物で、少なくとも表と裏があるからです。はじめは表が見えて、徐々に裏は見えてくるものなので、新たに見えてきたもの、把握できたことを反映させて適宜修正を繰り返すことで、正しく価値観を捉えることができます。

仮説検証で得たフィードバックをもとに、デザイン思考を何十周も回してブラッシュアップしていってください。

ペルソナ設定では偏見はだめ。本質を探ろう!
ペルソナを作る際は、偏見ではなく本質を探ることが重要です。本心に近いところがわかるとすごくいいと言えます。

例えば、フランスの人類学者メラニー・グラニエ氏がナンパ師について調査した結果を見ると、偏見と本質についてよく理解できます。

ナンパする男の人に対して、一般的には「女の子が好きな人」「遊ぶのが好きな人」というイメージが持たれていますが、調査結果によると、ナンパは「男たちの中で一目おいてもらうための手段」であり、ナンパする男の人は、「他の男性から評価されたり、男社会のヒエラルキーで上位に立てたりすると、自尊心が満たされる人たち」でした。

もし、ナンパする人のことをイメージから、「女の子が好きな人」や「遊ぶのが好きな人」という偏見で捉えてペルソナを作ると、何も正しく捉えられていないので、全然話になりません。
その設定でアイデアを出してぶつけても、誰にも刺さらず滑ります。

しかし、間違えたと気づいて方向転換し、本質に気づけると、正しい方向に進んでいきます。重要なのは、「自分たちが立てた仮説は本当なんだろうか?」と疑えるかどうかです。

一般的には、「ナンパしている人といえば女好きで遊び人に決まっているよね。」という感じで誰も疑いませんが、そうではなくて、何かうまくいかなかったとき、「じゃあこれは違うんだな」「パッと見える偏見でペルソナの価値観を想定していたな」と判断できると、本質に気づき、正しいペルソナを作ることができます。

4.デザイン思考でペルソナを設定する際の2つの注意点

事前に注意点を把握することで、失敗を防げます。準備を整えてからペルソナ設定に入りましょう。

ここでお伝えする注意点は、以下の通りです。

・デザイン思考でペルソナを活用した経験がないと決められないことがある
・自分たちの検討に都合が良い完全に架空の人物像をでっち上げるのはNG

よく確認して、ペルソナ設定を実施する際の参考にしてください。

4-1.デザイン思考でペルソナを活用した経験がないと決められないことがある

ペルソナは、インタビューをして話を聞き、理解を深めていくことで価値観を知り、人物像を明確にしていきますが、以下のことについては経験がないと決められません。

ペルソナ設定で経験がないと決められないこと
・項目の粒度
・修正方法

そもそも情報は、項目と粒度で決まります。

例えば、ペルソナの「住所」という情報の項目を決めるとき、

・東京都在住
・東京都港区在住
・東京都港区六本木在住
・東京都港区六本木6丁目在住

のような粒度が選べますが、どこまで細かく決めるのか、その粒度を判断することはデザイン思考を学んだだけではできません。どれくらいの細かさで議論するかの粒度については、マニュアルやガイドラインがないからです。

ベビーカーを作るために設定する「住所」という項目は、都道府県だけでいいのか、番地まで必要なのか、これは経験したことがないのでほとんどの人が判断できません。

粒度は何を議論するのか目的によって決まるため、「この場合はこの粒度」というような整理ができないので、マニュアル化できないのです。

ではどうすれば判断できるかというと、それは経験に頼るしかありません。ペルソナの各項目の粒度を決めるためには、経験が必要不可欠です。

例えば、郵便を送るためには詳細な住所が必要ということは、私たちが日常生活で経験しているので知っていますよね。一方、ベビーカーを作るために設定する「住所」という項目は、経験がないからわからないのです。

粒度の話もそうですが、体の動かし方や思考法はネットや教科書、研修で伝えられているような言語化されたことだけで成果を上げるのが難しいものです。言語化されたものだけで理解してもらえるのなら、自動車免許も座学だけで良いですし、ロジカルシンキングも読めばできるようになります。でも、現実はそうではありません。

デザイン思考において、ペルソナは特に重要です。現場に経験者がいないけど成功したいと考えているなら、専門家の力を借りることを検討してください。

4-2.自分たちの検討に都合の良い完全に架空の人物像をでっち上げるのはNG

自分たちの検討に都合がいい完全に架空の人物像をペルソナとして作っても、絶対にうまくいきません。

自社製品やサービスを検討していく時のターゲット像がどのような価値観の人物で、どのような使い方をするのか理解できないからです。

例えば、自分たちのアイデアを正当化するためにでっちあげたペルソナを「ゴムみたいなペルソナ」と言いますが、本来の目的を果たすことなく、都合の良い形に調整されてしまうゴムみたいなペルソナを作るのは話になりません。自分たちが言っていることを正当化することは、顧客の価値観を知ろうとすることと反するので、絶対にやめてください。

また、偏見でペルソナを作るのも絶対にダメです。偏見は、調べるまでもなく、その場で合意できるものです。確かなデータや調査に基づかなくても合意できるのであれば、アイデアを出したら100発100中売れるはずですが、偏見はそのような類のものにはなりません。

「ゴムのようなペルソナ」と「偏見で作ったペルソナ」は作る意味がありません。繰り返しますが、絶対にやめてください。

5.ペルソナについてデザイン思考のプロに寄せられた質問と回答集

ここからは、デザイン思考の専門家である私、河上が、さまざまな講義や研修の場で受けた実際の質問に対して回答していきます。

現場の具体的な悩みや疑問に対し、私の経験と知見から得た回答を共有します。以下のような実践的なアドバイスを通じて、デザイン思考におけるペルソナの理解を一層深めていただければ幸いです。

【著者プロフィール】

河上泰之

デザイン思考の専門家。
経産省・特許庁 I-OPEN SUPPORTER、長野県官民連携共創推進パートナー、三重県伊賀市DXアドバイザー(非常勤特別職)、愛知県南知多町 町長相談役 兼 行財政マネジメント総合政策アドバイザーの現職として活躍する(2024年3月29日現在)。

主な実績としてトヨタ自動車、金融庁、特許庁などへの次世代事業創出支援、ビジネスモデル転換支援や大阪万博のビジョン検討を支援。また東京商工会議所でDX・デザイン思考の講師を務める。

考えるとは何か?を考える、思考マニア。

5-1.ペルソナを1人に絞るべきか、それとも絞った上で複数人にするべきか迷う時があります。どのように判断すればよいでしょうか?

売らなければならないので、売るための接点が取りやすい人にしましょう。

単なる問題解決なら、複数を見て関係性を理解してと進めていきます。ですが、最後売るとなると、出会えなければ意味がありません。広告で何とか…という妄想は広告屋のお財布になるだけですので、接点が取れるかどうかが重要です。

ところで皆さんは、ラーメン屋が売り出す電気自動車に200万円はらって買いたいでしょうか?餅は餅屋という言葉があるとおり、物理的に接点が取れたとしても、買い手側が聞く耳を持つかどうかは話が別です。

そのため、いくら接点が取りやすいとはいえ、既存の顧客に全く新しい物を売ろうとしても話すら聞いてもらえないことは当たり前に起きます。

この辺りを勘案して、ペルソナは絞ってみてください。

そしてペルソナが決まればあとは、そのペルソナがお金を払いたがるような案を自由奔放に出してください。金を出したがるアイディアができたら、必要なら会社を作ってください。10万円もせずに登記できます。法人の名前が足枷になって稼げない、そんな馬鹿げたことはいくらでも避けられます。

ぜひ接点を重視して、選んでみてください。

5-2.ペルソナを過剰に作り込んでしまいます。どの程度まで追求するのが適切でしょうか?

事業開発プロジェクトマネージャーの腕の見せ所です。どのような案を解くのかによって、実はペルソナの作り込みの深さが変わります。

雑に言えば3段階あります。

1つ目が、どんな行動をしているのか特定の行動を見つけるレベル。なぜその行動をとるのか本人の意思を知る必要がないものです。

2つ目が、ペルソナの置かれた状況と、ある程度の合理的な判断基準がわかればいい、という物です。これは比較的b2bでありがちです。
もちろん購買決定をする担当者も人間ですので、何が欲しいのかは知れるのなら深く知れるにこうした事はありませんが、そこまで深い必要はありません。イメージでいうと上司から振られた仕事へ対応するようなものです。
意図を理解する必要はありますが、コンプレックスや後悔などホンネも本音、深いところまではいらないというのと同じです。

3つ目が、人間の負の気持ちにまで踏み込むような深いインサイトをとりにいくものです。素人相手に煙に巻き、専門家へ発注させようとするとこの辺りがよく話にでます。

河上がよく伝える深さは、喜び側なら涎を垂らすほどの愉悦や、よくない気持ちなら怠惰さや傲慢さ、自分より下の人間がいる事を知れる事での安心感といったところまで取りに行きます。単なる便利、安い、安全、嬉しいというのはあまりにも人間の表層すぎます。

例えば安全を感じられてホッとするから買ってくれるのであれば、買う手前は不安で仕方がないわけです。例えば自宅警備用のサービスがありますが、夜寝る前にボタンを押すと安心して寝られるということは、押す前は不安を感じているはずです。
またボタンを押すたびに安心する=朝設定を解除して日が暮れてくると不安になる、というように不安を感じさせるからこそ長く購買され続ける商材となるわけです。
これは悪いわけではなく、実際に安心できるサービスなので何も悪い話ではありません。

重要な事は、安心を売る!という浅瀬を楽しむのではなく、浅瀬を深く掘ってお宝を見つけてくることが必要だという事です。

さて、いま日本では地元を出て東京や大阪など大都市圏で働く人が多いわけですが、彼らはなぜ街から出るのでしょうか?東京にはなんでもある、オシャレ、仕事がある。これらは極めて表面的な話です。東京に出てきた人に話を聞くと、実家にすら何年も帰っていない人がたくさんいます。彼らが口が裂けても言えないし、自覚すらしたくないので言語化してない本音とは何なのでしょうか。
それを探さずに問題解決をしようとして滑るのが自治体です。本質がわかっていないので、子育て支援と称して現金を配ります。それじゃない感を感じて人は、2度とその自治体の話を聞こうだなんて思わない事でしょう。(皆さんはそんなことにならないでください)

それを変えるために、三重県伊賀市、長野県、東京都中野区でデザイン思考や問題の解き方を教えていますが、時にはこういった深い本音をとりにいく必要があります。

この3つのどの深さまでが必要なのかを見極めてプロジェクト運営ができると、極めて優秀です。

ここまでの話でお気づきのとおり、性別年齢住所や住まい仕事学歴宗教といったデモグラフィック情報ではありません。ペルソナを作る際にそれらはあった方がいいけれど、なくても構わない情報です。名前や顔写真も、問題解決のためには要らない、どうでもいい情報です。問題を解く側のチームで認識を合わせるためには履歴書情報ぐらいあった方がいいですが、そんな程度の話であって、デモグラ情報があれば問題が解けるわけではありません。

この辺り、広告系とはペルソナの作り方が違うため、注意してください。顔写真を生成系aiに作らせてみよう!とかいう話をしていたら、そのプロジェクトは破綻寸前です。

5-3.良いペルソナを設定できたかどうか、どのように判断すればいいのでしょうか?

話を聞くときに、どんな反応を示しそうか事前に予測してください。

この手の人はこういう反応をする、と必ず分かるようになります。
この予測がほぼ当たってくると、相手の価値観をよくわかっているということになるため、良いペルソナが構築できているといえます。

ただし、人間は意外な一面があったり、ぺらぺらの人間といわれるように極めて多面的な物です。そのため、全てを理解する事はできませんが、ある程度、特定の商品やサービスが好きか、嫌いか、興味ないかの程度なら当たるようになります。

そのレベルになるまで、ぜひたくさん生きている人間と会話をしてください。それが良いペルソナを作るための最低条件です。

6.Beth合同会社のコーチングを受ければ、ペルソナ設定をはじめ、デザイン思考の全体を学びながら成功できる

第4章や質問集でも触れたように、デザイン思考におけるペルソナの適切な設定と運用は、経験がなければ難しいところがあります。

もしあなたがペルソナ作成をはじめ、デザイン思考において成功率を高めたいというなら、Beth合同会社のコーチングをおすすめします。

Beth合同会社のコーチングでは、デザイン思考を使いこなせるようになるために、より本質に近いペルソナ設定や適切な価値観の把握、使い方の把握を家庭教師的に伴走し、理想のゴールを目指します。

「こんな視点で眺めるとこんな価値観が見えるけど、別の視点から眺めると違う価値観が見えてくる」といったような、観点とその結果をいくつか見せながら、それぞれの選択肢を依頼した担当者自身に選択してもらいます。

このようにして、担当者の自分ごととして着実に前に進んでいくように導くのが、Beth合同会社のコーチングです。デザイン思考全体を深く学び、実践的な成功を叶えたい方は、ぜひ検討してみてください。

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7.まとめ

本記事では、デザイン思考におけるペルソナについてお伝えしました。

デザイン思考でペルソナを作る目的は、自社製品やサービスを検討していく時のターゲット像がどのような価値観の人物で、どのような使い方をするのかについて、チーム内で認識を合わせることです。

デモグラフィック情報を決めて、それをもとにインタビューなどを行うことで顧客の価値観を把握できますが、このペルソナの項目の粒度を決めるためには経験が必要です。

ペルソナは、デザイン思考において極めて重要な役割を担い、あらゆる判断の基軸となります。そのため、妥協や不安要素を抱えながらペルソナを作成するのではなく、必要であれば専門家の助言を求めることが、プロジェクト成功への鍵となります。

もしペルソナ作成でお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。