【人気講師が解説!】デザイン思考とは?考え方、活用方法、ポイントなど

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私が書きました 河上 泰之
女性が思考する

 

「最近よく耳にするデザイン思考って何?」
「デザイン思考って何に役立つの?」

このようなお悩みをお持ちではありませんか?

デザイン思考とは、

「ヒトの体験に焦点を当てた問題解決の方法」です。

デザイン思考は問題を解くための道具の1つとして存在していて、顧客にとって価値があることを探すために使われます。例えば、別の問題を解くための道具であるロジカルシンキングは、構造や論理に焦点を当てて問題をとくため、使い分けることが重要です。

また重要なこととして、極めて優秀なデザイナーのような考え方を、美術大学などでデザインの専門教育を受けていない人でも扱えるように型にしたもの、でもあります。なので、「デザイン」と付いていても心配しないでください。ノンデザイナーのためにある手法が、デザイン思考です。

この記事の筆者である河上泰之も、美大を出たわけではなく、外資系コンサルタントとして仕事をしていく中で問題解決の方法の1つとして扱って実績を残してきました。

 

ただし注意点があります。それは、デザイン思考が使えるのは、「ヒトの問題」に対してのみ、ということです。

例えば、「体重100キロの人が70キロになりたい」のような、人の問題を解決する際に使えます。100キロの現実と70キロの理想、この差を埋めるための解決方法を生み出すために使えるのが、デザイン思考です。

一方、人が登場しない問題、例えば「余っているペットボトルをどう使うか」のような問題には使えません。その理由についてこの記事ではしっかりと解説していくので、この記事を読み終わるころには、適切にデザイン思考を使いこなすことができます。

デザイン思考を使いこなすという点について言うと、デザイン思考について正しく理解した上で、実践への適応の仕方を練習することが不可欠ですが、そこまでカリキュラムに含まれていない講座を受講して、結果的に実践で苦戦している人も多くいます。この記事は、そういった方の学び直し、再入門にも最適な内容です。

本記事ではデザイン思考を使いこなすための基本的な知識を身につけるために、以下のことについてお伝えしていきます。

本記事でわかること
・デザイン思考とは
・デザイン思考が必要になった理由
・デザイン思考の5ステップ〜1番大事なのは何十周も回すこと〜
・デザイン思考の活用事例
・デザイン思考を使いこなすポイント5つ
・価値があるデザイン思考を学びたいなら「実況解説 デザイン思考」講座がおすすめ

記事の最後では、デザイン思考を使いこなすためのポイントや、使いこなせるようになる講座も紹介しています。ぜひ最後まで読み進めてください。

1.デザイン思考とは

「デザイン思考とは何か」について、理解を深めていきましょう。この章では、以下のことについてお伝えしていきます。

・デザイン思考とは問題を解決するための道具の1つ
・ロジカルシンキングとの違い

デザイン思考を学ぶ上で土台となる知識です。しっかり把握していきましょう。

1-1.デザイン思考とは問題を解決するための道具の1つ

デザイン思考とは、

ヒトの体験に焦点を当てた問題解決の方法

です。

<デザイン思考の物事の考え方とは>
共感・問題定義・アイディア創出・試作・テストを繰り返し行い、時には遠回りしたり寄り道したりしながら、粘り強く検証を重ねることによって理想に辿り着く考え方。研究開発や科学で行われる仮説検証型を取り入れたことで下手な鉄砲数打ちゃ当たるを脱却でき、効率を求めるビジネスの現場ではもはや前提知識となった。急がば回れの諺の通り、焦って検証していない製品サービスを売り出して会社の財務状況や個人のキャリアに致命的な傷を残さないように、何度も検証を繰り返すことが特徴。

我々は働く上で、「さまざまな問題を解く」という場面に遭遇しますが、デザイン思考は、さまざまな問題を解くための道具の1つとして存在しています。

ただし、どのような問題でも解決できるかというと、そうではありません。

デザイン思考で解決できる問題は、「ヒトの問題」です。

デザイン思考のプロセスでは、人の声を反映させることが重要なので、人の声を聞けない事象、問題は解決できません。

例えば、冒頭でもお伝えしましたが、「体重100キロの人が70キロになりたい」のような、人の問題を解決する際に使えます。100キロの現実と70キロの理想、この差を埋めるための解決方法を生み出すために使えるのが、デザイン思考です。

痩せたいと思っている体重100キロの人の声を聞くと、「医者に30キロくらい体重を落とせと言われた」「好きな服が着られれなくて困っている」「体が重くてきつい」など、さまざまな声が集まるでしょう。これらの声に共感し、「30キロ痩せる」と言う問題を解決するためにはどうすればいいのか?解決方法を模索し、仮説検証を繰り返します。

一方「余ったペットボトルをどうするか」のようなことに対してデザイン思考は使えません。余ったペットボトルは人の経験や感情を介さないからです。デザイン思考は、事象に対する切り口はありません。

このことについては、3章「デザイン思考の5つのプロセス〜1番大事なのは何十周もすること〜」を読むことでさらに納得できるかと思います。このまま読み進めてください。

1-2.ロジカルシンキングとの違い

デザイン思考とロジカルシンキングの違いはなんでしょうか?

デザイン思考とロジカルシンキングでは、解決できる問題が違います。

デザイン思考は「ヒトの問題」を解決するために使います。そのため、デザイン思考では体験に注目します。

一方、ロジカルシンキングは、「仕組みや構造を作り・直すことで」問題を解決するために使われるので、仕組みや構造がどうなっているのかを明らかにしながら考えます。

デザイン思考とロジカルシンキングは、「どちらが役に立つ」や「どちらが優れている」ということではありません。

ロジカルシンキングだけでは解けない問題が出てきた今、ロジカルシンキングという道具と、デザイン思考という新しい道具をうまく使い分けて、問題を解決していくことが重要になります。解ける問題が多い方が、経済的価値を生むと理解ください。

2.デザイン思考が必要になった理由

デザイン思考が必要とされるようになった理由はなんでしょうか?

デザイン思考が必要とされるようになった理由は、「高水準の商品が市場に溢れる中、他社と差をつけるためには表面的な問題の解決のみならず、ユーザーの潜在的な問題を発見して解決する必要があるから」です。

具体的にどのようなことなのか、エアコンを例にあげて考えてみましょう。

現在、市場にあるエアコンは、どれも性能に大差はありません。ボタンを押せば快適に冷えるし温まります。電気代も大きな違いはなく、価格もそれほど大差ありませんし、同じ価格帯で比較すると、ついている機能もほとんど同じです。センサーで温度を分けたり、人に風が当たらないようにするといった機能も多くのエアコンに搭載されています。

このように、エアコン本来の目的である「温度を調節する」という機能が高水準に達している中でも、企業は「いかに他と差をつけるか」を考える必要があります。
そこで役に立つのが、デザイン思考です。

デザイン思考を使えば、エアコンを使うユーザーが今何を問題だと感じていて、どうすればその問題を解決できるのか?温度調節という領域を超えてユーザーが抱える問題を定義し、新しい価値を創出してアイディアを生み出すことで、ユーザーの潜在的な要求(インサイト*)にまで応えていくことができます。

日本や先進国においてはエアコンだけではなく、あらゆる商品が恵まれたことに、性能や中身に大差なくいいものが溢れています。缶コーヒーやペットボトルのお茶に明確な違いないようなものです。そんな中でも物を売るためには「人にとって価値があるって何か?」について考え、他の企業と差をつけなければ物が売れません。

そしてこれが、

差別化ができている

ということです。

そこで「顧客にとって価値があること」を効率的に探すための道具として、デザイン思考が、必要とされるようになったというわけです。

3.デザイン思考の5つのプロセス〜1番大事なのは何十周もすること〜

デザイン思考とは、具体的にどのような思考法なのでしょうか?ここでは、デザイン思考を実践する際の5つのプロセスについてお伝えしていきます。

・デザイン思考の5つのプロセス
・重要なのは5つのプロセスをぐるぐる回すこと

5つのプロセスとポイントを知ることで、実践での活用をイメージしていきましょう。

3-1.デザイン思考の5つのプロセス

デザイン思考を実践する際は、以下の5つのプロセスを踏んでいく必要があります。

それぞれのプロセスについて、詳しくみていきましょう。

3-1-1.共感

まずは、インタビューや、例外的にアンケート*を使い、対象者の情報をたくさん集めて、対象者の価値観を把握します。何を問題だと感じる傾向にあるかを理解して、問題を定義するために必要な情報を収集しましょう。単に表面的な発言に着目するのではなく、ユーザーがなぜそう回答したのか、背景まで汲み取りながら、潜在的な欲求(インサイト)や対象者の奥深くにある感情を深掘りすることが重要になります。
*知らないことを知っている範囲のことしか質問できません。知らないことすら知らない範囲の知識は質問も、Google検索もできません。つまりアンケートの設問は、極めて狭い情報しか取得できません。そのため、本当に一番最初はインタビューを通じて、偶発的に手に入れる情報を増やし、アンケートで聞ける設問の幅を増やす努力が重要です。そのため、いきなりアンケートを行うのは、極めて例外的な状況です。

この極めて例外的な状況というのは、問題ありきで特定の問題を解こうとしているが、誰にインタビューをしたらいいのか対象者が全く分からないという状況です。その場合はアンケートによって問題を抱えている人間と特定し、インタビューします。ただし、これは存在するかも不明な問題ありき、ということが欠点です。論理的には存在する可能性のある問題でも、販売するためにはその問題を抱えている人間に売り込まないといけないので、問題を抱えている人間がいないと、文字通り話が始まりません。そのため、アンケートで開始するのは極めて例外的です。一般的には、出会いやすい対象者の問題を発見してきて解くと、出会いやすいので売り込みやすいです。

3-1-2.問題定義

問題定義では、共感で得た情報をもとに、解くべき問題は何かを定めていきます。中にはユーザー自身もまだ気づいていないような欲求:インサイトがある場合もあるので、見聞きしたことよりもさらに深い所まで理解しようと努力しましょう。そして、「ユーザーが本質的に何を求めているのか」「潜在的な課題は何なのか」について、具体的に定めていきます。この部分の秘密の道具が、インサイトサークルです。

3-1-3.アイディア創出

ユーザーの問題が定義できたら、ユーザーが抱えている課題の解決策となるアイディアを創出していきます。このプロセスのポイントは、できるだけ多くのアイディアを出すことと、それを肯定的な姿勢で受け止めることです。制限を設けることなくアイディアを出し合うことで、見聞きしたことがない解き方=特許や商標で権利が守りやすく、かつ他社と差別化できる具体的な製品やサービスが見つかる可能性が上がります。

3-1-4.プロトタイプ(試作)

アイディアが固まってきたら、プロトタイプ(試作品)を作り、商品やサービスを形にします。ここで重要なのは、完璧なクオリティを求めず、できるだけ短時間・低コストで試作品を作り上げることです。とにかく一度形にしてアイディアを具体化して次の段階のテストする(顧客候補に見せたり使わせてコメントをもらう)と、イメージのズレや問題点、新たな視点に気づくことができます。

3-1-5.テスト

試作品を実際に困っている人に試してもらいます。料理でいうところの味見の工程です。得られた意見をもとに、再びプロセスの1つ目、共感に戻り、「定義したユーザーのインサイトは正しかったのか」「課題の本質的な解決につながっているのか」などを検証します。

3-2.重要なのは5つのプロセスをぐるぐる回すこと

デザイン思考の5つのプロセスで重要なのは、共感からテストまでのプロセスを、ぐるぐる何十周も回すことです。

売れる商品やサービスは、1度の試作で完成するほど簡単なものではありません

試作したものを試してもらい、フィードバックを得て再び試作品を作り直す。これを繰り返していきます。

繰り返す際は、必ずしも共感・問題定義・アイディア創出・プロトタイプ・テストの順番通りに繰り返す必要はありませんテストから戻るプロセスは共感ではない場合もあるでしょう。時には遠回りをしたり、寄り道をしながら、粘り強く検証を繰り返すことによって、理想にたどり着くことができます。

繰り返しになりますが、重要なのは、このプロセスを何十周も繰り返すことです。そうすることで本当に必要とされるものを追求し、提供することができます。共感からテストまでを1度やりきれば、それで終わりというものでは決してありません。デザイン思考のプロセスは、効率的ではないのです。

これが、デザイン思考の5つのプロセスで本当に重要なことになります。

4.デザイン思考の活用事例

ここまでデザイン思考の基本的なことについてお伝えしてきましたが、実際どのように活用されているのか、気になるところではないでしょうか。

ここでは、デザイン思考の活用事例として、AI通訳機「ポケトーク」をご紹介します。

出典:「POCKETALK

ポケトークはソースネクスト株式会社が作ったAI通訳機で、100万台以上売れている大ヒット商品です。かつて東証一部だった時代、株価が6倍になったほど、ポケトークは大ヒットしました。

ポケトークは、ソースネクスト社のお客様の声をみると「アクティブシニア」「英語ができない人」「機械に弱い人」をユーザーに設定しているようにみえます。そして彼らアクティブシニアの以下のような問題を解決してくれる商品です。

海外で会話が通じない
・海外に行って現地の人に話かけられても困る・怖い
・現地の人にふらっと話しかけたいけどできない
・SIMの入れ替えや携帯電話の契約などができない
・翻訳アプリのインストールや設定ができない

ポケトークは、単に「英語が話せない」というユーザーの表面的な問題を解決しただけではありません。通訳機と言えるほどの性能を持つポケトークを使うことで、ユーザーが

・海外に行って現地の人に話しかけられても怖がらずに済む心強さ
・現地の人にふらっと話しかけることができる勇気

を手に入れることを実現しました。英語コンプレックスを持つ日本人は多く、海外に行くことを不安に感じている人は多いですが、ポケトークは潜在的な問題も含め、言語に関する問題を解決してくれる商品なのです。

また、機械に弱い人にとって、「ボタンが2個の機械を1台持てば、まるで通訳がいるかのように会話ができる」のも大きな魅力です。

機械に強い人や慣れている人にとっては、翻訳アプリをインストールすることやSIMを入れ替えるなどの作業は簡単ですが、機械に弱い人や海外旅行経験が浅い人にとっては、不安要素しかなく、専用デバイスであることが重要な意味を持っています。

このように、アクティブシニアに本当に価値があるものを提供することを実現したポケトークですが、3-2でデザイン思考は効率的ではないとお伝えしたとおり、短期間で出来上がったわけではありません。

初代ポケトークに寄せられたユーザーの声を反映させて試作・テストを繰り返し、1年未満のど短期に2代目を発売しました。あまりに短期間に2代目を発売したため、初代購入者には割引券を配布したほどです。そこまでして、お客様の楽しい海外旅行という夢の体験に焦点を当てて商品開発をしたからこそ、ここまでのヒット商品となっています。ちなみに、大ヒットしたのは2代目です。

以上のように、ポケトークの開発ではユーザーの問題を的確に捉え、問題を解決する製品を開発し、発売後もさらに開発を繰り返すことで、大ヒットを収めたことが伺える成功例だと言えるでしょう。

5.デザイン思考を使いこなすポイント5つ

デザイン思考を使いこなす上で、知っておきたいポイントをお伝えします。ポイントは、以下の5つです。

・理論を学んだ上で、実践への適応の仕方を練習する
・価値がある講習を選ぶ
・デザイン思考の使い方が間違っていないか確認する
・見聞きしたことがある問題で安心しない
・組織の環境を整える

ポイントを把握することで、「デザイン思考を学んだけど使いこなせない」という状況を回避できます。それぞれ見ていきましょう。

5-1.理論を学んだ上で、実践への適応の仕方を練習する

デザイン思考を使いこなすためには、理論を学んだ上で、実践への適応の仕方を練習していることがすごく重要になります。

これはデザイン思考に限ったことではないですが、知識として学ぶことと、それを実践に適応することは別だからです。

車の運転に例えてみましょう。赤信号は「止まれ」。これは理論です。では、赤信号を見て、止まるためにブレーキを踏む。これが理論を実践に適応するということですが、練習していないと、止まらないといけないことはわかっているのに、赤信号を前にしてもアクセルを踏みっぱなしになってしまいます。

デザイン思考を使いこなすのも同じです。理論を学んでいても、実践への適応を練習していないと、デザイン思考を使いこなせません。ですから、理論を学んだ上で実践への適応の仕方を練習していることがとても大切になります。

5-2.価値がある講座を選ぶ

デザイン思考の講座は、世の中に溢れかえっていますが、価値があるものを見極めることが重要です。

価値がある講座とは、以下のようなものを指します。

・仮説検証について学べる
・実践の練習と補正を受けられる
・テストを含めた5つのプロセスを回すことで本気のものづくりを体験できる

価値がある講座を選ばないと、どんなに費用をかけてもデザイン思考を使いこなし、成果をあげることができません。

例えば、ワークショップだけで、仮説検証を学べないような研修は意味がありません。5ステップの共感からはじめてプロトタイプとしてレゴや粘土を使って作りましょう、絵を描きましょう、というようなワークショップはたくさんあります。これらは役に立ちません。

デザイン思考では5つのプロセスをぐるぐる回して仮説検証することが重要なので、テスト前で終わってしまうと意味がありません。本当に必要なのは、作ったものを誰かに見てもらって、感想を聞いて作り直す、という作業を通じて相手が「お金を払うから欲しい」と言いながら財布を出すような案を練ることを経験することなのです。

また、講座の中で使われるフレームワークを学んでいるだけでは、デザイン思考を使いこなせません。デザイン思考と相性がいいフレームワークの詳細を知ることは、デザイン思考を使いこなすこととは別だからです。例えば、ペルソナを作るためのフレームワークはたくさんありますが、どんなものがあって、どう使うか、どんな項目があるかを深掘りしても、デザイン思考を習得したことにはなりません。

本来物事を考える際に必要な「情報」とは、項目と粒度で定められます。住所、氏名というのは項目です。粒度とは、都道府県までなのか、市区町村までなのか、番地や建物名部屋番号までなのか、緯度経度を数字で定めるのかということです。

さてフレームワークの欠点は、この「項目」は示しているのですが、粒度は示していない点にあります。実務的に言えば、粒度は議論によって変えるため、画一的な説明ができないものだからです。そのため、フレームワークをそれっぽく埋めてみても全く前に進まないということが当たり前に発生します。

問題を解き、仕事で結果を出したいと思っているなら、デザイン思考を使いこなせるようになる価値ある講座を選びましょう。

 

※なお、手前味噌で恐縮ですが、本記事の著者が企画し前例の5倍の大ヒットとなった動画の講座はこちら
こちらはあくまでも動画による擬似体験だけなので、手を動かす研修はご連絡ください。3~4時間でデザイン思考をぐるぐる2周できる研修を提供します。

 

5-3.デザイン思考の使い方が間違っていないか確認する

デザイン思考の使い方が間違っていると、デザイン思考がうまく使えない状況に陥るので、適切なデザイン思考の使い方をしてください。

デザイン思考は、あくまでも「問題を解決するための道具」でしかないので、使える限界点があるからです。

例えば、デザイン思考は人間の問題を解決するための思考法ですから、人が出てこない問題への適応はできません。余っているペットボトルをどう使おうか?余っているビルを何かに使えないか?のようなことを検討するのに、デザイン思考は役に立たないのです。

もう1つ、「集まってデザイン思考で議論すれば何かできるだろう」という発想も、間違っています。基本的に、考えるという動作がデザイン思考の中ではとても大事になってきますが、考えるためには情報が必要です。情報を整理したり削ぎ落としたりすると、1つの概念が出てきますが、情報を集めることをおろそかにすると、知っている範囲でしか概念を作ることができなくなります。つまり、会議に閉じこもり頭の中にある情報だけで結論をだそうとすると、極めて狭い範囲の情報でしか検討ができず、売れないゴミができてしまう場合も多々あるということです。

このように、デザイン思考は間違った使い方をするとうまく使いこなせません。注意しましょう。

5-4.見聞きしたことがある問題や答えで安心しない

何かを作る時、自社の都合や自社ができること、得意なことを起点として、見聞きしたことがある領域に答えを求めがちですが、デザイン思考では顧客が欲しているものは何なのか?を想像の起点に持ってくることが重要です。

自社の領域内にあることが、お客さんが求めていることとは限らないからです。

例えば、ドライヤーメーカーが髪の毛を美しく保ちたいユーザーが求めるものについて考えるとき、「ドライヤーをどうするか」について考えがちですが、髪を美しく保ちたいユーザーの欲しているものがドライヤー云々の領域の中にあるとは限りません。一旦ドライヤーから離れ、「ユーザーが髪を美しく保つために本当に必要なものは何か」について考えることが、デザイン思考では求められます。

デザイン思考は、あくまでも顧客視点で考えるものです。自社都合ベースで考えても、新しい価値を生む発想にはつながらない可能性があります。デザイン思考ではユーザーの潜在的な欲求(インサイト)を起点にして考えましょう。

ただ、「そうは言っても我が社はドライヤーを作る会社だから、他のものは・・・」という声もあると思います。

そういう方はぜひ、DX系の記事をお読みください。

簡単に伝えると、企業とは利益を生み出すための仕組みであり、何か決まった製品やサービスを作り続けることは意味がありません。経営とは利益を作る仕組みをつくり回すことであって、維持し続けることではありません。例えば先のポケトークと発売したソースネクストはソフトウェア会社でした。しかし、物理的な製品に踏み込み株価を6倍にしました。

またAmazonもweb企業でしたが、AWSといったクラウドサーバーの展開や、Fire TVやKindle、Amazonエコーなど物理的な製品にも踏みこんでいます。このように、我が社ができることを増やして利益を上げる仕組みを増やすことが新規事業の目的です。変に狭い範囲に閉じこもらないでください。

こういった経営に関する意思決定者への説明も、Beth社の仕事の範囲です。

5-5.組織の環境を整える

最後は、組織でデザイン思考を使う場合のポイントです。

デザイン思考は「道具」です。道具を使うためには、その道具を使うための環境が整っている必要があります。

環境を整えるとは、具体的に以下のようなことを言います。

・チームがデザイン思考について理解している
・チーム全体がペルソナの価値観でアイディアを評価する
・マネジメント層に時間がかかることを理解してもらう
・業務をデザイン思考風に変える

上から見ていきましょう。

5-5-1.チームがデザイン思考について理解している

デザイン思考を使いこなすためには、職場のチームがデザイン思考について理解していることが大切になります。

この記事を読んでいる人は、個人である場合がほとんどだと思いますが、ここで得た知識を職場で使おうと思っても、職場の人がデザイン思考を知らなければ話が通じません。

「商品開発にデザイン思考を取り入れましょう」と言っても、「デザイン思考って何?」となってしまいます。

デザイン思考を使いこなすために、職場全体でデザイン思考について理解して環境を整えましょう。研修を選ぶ際にも個人が育つのではなく、実務ができるチームを育ててくれる会社を選びましょう。そのような会社がうまく見つからない場合は、ご提供できない場合でも相談にのります。

5-5-2.チーム全体がペルソナの価値観でアイディアを評価する

職場でデザイン思考を使うためには、職場全体がペルソナの価値観でアイディアを評価できる必要があります。

デザイン思考でアイディアを出しても、それを評価する人がデザイン思考を理解していないと、評価の視点に相違が出るからです。

例えば、つけ麺が好きな人向けに、何か特別なメニューを作るとします。それを普通のラーメンが好きな上司に報告すると、一般的には「普通のラーメンの方がいいんじゃない?」となります。そうなると、もうこのアイディアは破綻です。

しかし、もし上司がペルソナの価値観で評価できると、答えは変わってきます。「俺は普通のラーメンが好きだけど、対象者は〇〇がいいかもね。」となるわけです。

このように、対象者の価値観でアイディアを判断できることは意思決定の際に重要で、デザイン思考を使いこなすためにとても大切になります。

5-5-3.マネジメント層に時間がかかることを理解してもらう

デザイン思考を使いこなすためには、マネジメント層もデザインの進み方を知る必要があります。

普通のマニュアル業務は、時間が経つと前に進むものですが、デザイン思考というか売れる商品を作る業務はそうではないからです。

デザイン思考は、何度も試行錯誤を繰り返しながら前に進むものです。良かれと思って出してみたらうまくいかなかった、なんてことはザラにあります。最終的にはスッキリ進んでいきますが、特に最初の段階は、行きつ戻りつを繰り返します。

このように、デザイン思考はすぐに結果を出せるものではありませんが、このような進み方をマネジメント層が知らないと、「時間が経っているのに何も結果が出ていないじゃないか!」と怒りはじめます。そうすると、「社長、役員が怒っているから、ここまでで諦めよう」となり、結果、顧客にとって価値があるかとは全然別のものができ、売れないとわかっているものを売りだして大赤字で誰かが責任をとることになります。

このようなことにならないために、デザイン思考は効率的ではないということを、マネジメント層に理解してもらい、早い段階からマネジメント層のコメントをもとに仮説を作り、顧客候補で検証して現実を見せることが大事になります。もし社長の意見で売れる商品がすぐにできたのなら、それでも良いわけです。利益を生み出すことが新規事業検討では重要であって、デザイン思考はあくまでもそのための道具でしかありません。

5-5-4.業務をデザイン思考風に変える

デザイン思考を使いこなすためには、業務をデザイン思考風に変えるといいでしょう。

デザイン思考に限らず、学んだことは使わないと忘れていってしまうからです。

例えば、報告書のフォーマットをデザイン思考風に変える、などするといいでしょう。

組織では、ある一定の仕事の進め方があり、文字でやり取りをしますが、フォーマットを変えない限りは、デザイン思考を練習したり習ったりしても、3日経ったら忘れてしまいます。

最終的に、業務を変えるところまで辿り着かないと、道具としては使いにくいということになってしまいます。

デザイン思考をただ単に研修しても、環境を整えないと使いこなせないので、業務をかえるところまでを見据えてください。そうでないと、研修費用がゴミ箱に直行します。(そういう会社のなんて多いことか・・・)

6.価値があるデザイン思考を学びたいなら「実況解説 デザイン思考」講座がおすすめ

「デザイン思考を使いこなせるようになりたい」
「デザイン思考を使いこなして仕事で結果を出したい」

このようにお考えの人には、社会人向けオンライン学習コミュニティSchoo(スクー)で開催している「実況解説 デザイン思考」講座がおすすめです。

出典:「Schoo

Schooのデザイン思考講座の中でも圧倒的な支持を得ているこの講座。企画と講師は、本記事の著者です。デザイン思考のプロセスについて理解を深め、自ら業務で実践できるような内容になっています。

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7.まとめ

本記事では、「デザイン思考とは」についてお伝えしました。

デザイン思考は、人の問題を解決するための手段です。最後に、使いこなすためのポイントをおさらいしておきましょう。

デザイン思考を使いこなすためのポイントは、以下の通りです。

・理論を学んだ上で、実践への適応の仕方を練習する
・価値がある講座を選ぶ
・デザイン思考の使い方が間違っていないか確認する
・見聞きしたことがある問題で安心しない
・組織の環境を整える

デザイン思考について学び、成果を出したい人は、ぜひschooの筆者の講座ちらもご覧ください。