「デザイン思考ってマーケティングに使えるの?」
「デザイン思考がマーケティングでどのように役立つか知りたい。」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
デザイン思考は、本格的なマーケティングを実践する際に必須となる思考法です。
なぜこのように言えるかというと、マーケティングでは顧客を深く理解することが求められますが、デザイン思考はそのような顧客理解を深め、さらに問題を解決するための道具(手段)だからです。
マーケティングにデザイン思考を取り入れることで、顧客の価値観や、製品・サービスの主な使い方、その製品やサービスを使って顧客がどんな問題を解きたいと思っているか、本当の課題を深く理解することが可能になります。
ただし、広義のマーケティング(良いビジネスを作る)か、狭義のマーケティング(ブランディングや広告などの集客や販売を促すために行われる活動全般)かによって、デザイン思考の使い方が異なるので、注意が必要です。
広義のマーケティングなら通常のデザイン思考の使い方で問題ありませんが、狭義のマーケティングでは通常と異なる使い方で、より高度な能力が求められます。
そこで本記事では、まずデザイン思考がマーケティングを実践する際に必須の思考法であるということについて腹落ちできるようにお伝えし、次に、使うためにはどうすればいいかについてお伝えしていきます。
本記事でわかること |
・本格的にマーケティングをやりたいのなら、デザイン思考は必須 ・デザイン思考の使い方は、広義のマーケティングか狭義のマーケティングかによって変わる ・マーケティングにデザイン思考を活用する際の注意点 |
記事の最後では、マーケティングでデザイン思考を使いこなして成功するためにはどうすればいいかについてもお伝えしています。マーケティングの新しいアプローチを探している人は必見です。
1.本格的にマーケティングをやりたいのなら、デザイン思考が必須
冒頭でもお伝えしましたが、デザイン思考はマーケティングに必須の思考法です。
この章では、「本格的にマーケティングをやるためにはデザイン思考を使わなければいけないんだ」という実感を得られるように、以下のことについてお伝えしていきます。
・マーケティングで重要なのは「顧客を深く理解する」こと ・デザイン思考は「顧客の本当の課題を深く理解する」ための道具 |
マーケティングにデザイン思考を活用することがどれだけ有益か理解できるはずです。
1-1.マーケティングで重要なのは「顧客を深く理解する」こと
マーケティングにおいて最も重要なのは、顧客を深く理解することです。
このように言い切れる理由は、マーケティングの発明者と言われる「フィリップ・コトラー」のマーケティング理論の中にあります。
コトラーはマーケティング理論の中で、顧客満足の重要性を強調し、顧客に価値を提供することが企業の成功に不可欠であると主張しています。彼は、顧客が何を求めているかを掴み、商品企画に遡って戦略を立てることの重要性を唱えて、マーケティングを以下のように捉えました。
出典:フィリップ・コトラー共著書「マーケティング管理(Marketing Management)第12版」p.7 より アメリカ・マーケティング協会(AMA)は公式の定義として次のように述べている。 |
この定義によると、マーケティングは、単なる広告や販売促進だけでなく、製品開発、価格戦略、チャネル管理、顧客サービスなど、幅広い活動を含んでいることを示していて、これらは顧客のニーズや要求に焦点を当て、満たすことで顧客満足を高めて企業の利益を追求すると強調しています。
ここまで出てきたワードを眺めていると、コトラーのマーケティング理論は「顧客」を起点としていることに気づくのではないでしょうか。
・顧客満足を重視する ・顧客に価値を提供する ・顧客が何を求めているか掴む ・顧客のニーズを満たす ・顧客のニーズや要求に焦点を当て、それらを満たすことで顧客満足を高める |
そうです。コトラーのマーケティング理論は「顧客」を起点として、モノを売るためには顧客の理解が必要であることを伝えています。上記のことを実現するためには、顧客を深く理解することが不可欠です。
以上のことから、本格的にマーケティングで成功して利益を上げたいなら、顧客を深く理解することが絶対に必要であると言えます。
1-2.デザイン思考は「顧客の本当の課題を深く理解する」ための道具
1-1で「マーケティングで重要なのは顧客を深く理解すること」とお伝えしましたが、マーケティングでデザイン思考を使うと、顧客の価値観や、製品・サービスの主な使い方、顧客が解きたいと思っている本当の課題を深く理解できます。つまり、顧客を深く理解できます。
デザイン思考とは、ヒトの体験に焦点を当てた問題解決の方法だからです。
例えば、クリステンセン著作のジョブ理論で語られている「顧客はなぜミルクシェイクを買うのか」という話。ミルクシェイクの売り上げを伸ばすために顧客に対して「なぜミルクシェイクを購入したのですか?(ジョブ理論では購入ではなく雇ったのですか?という質問の仕方になっています。)」と尋ねたところ、以下のような答えが返ってきました。
・車での通勤途中で飲むため ・手持ち無沙汰を解消するため ・ミルクシェイクはドーナツなどと比較して手も汚れず長持ちする ・溶ける時間がちょうどいい |
この回答から、顧客はミルクシェイクを味わうために購入したのではなく、退屈しのぎや出勤中の暇つぶしのために購入していたことがわかります。(クリステンセン氏の言葉を借りると、「出勤中の暇つぶしというジョブを片付けるためにミルクシェイクを雇用した。」ですね。)
ミルクシェイクを購入する理由が、「商品そのものではなく退屈しのぎである」とは一見するとわかりませんが、デザイン思考を使うと、顧客にとってその製品やサービスがどのような意味があるのかを深く理解できます。
反対に、顧客のことを理解する意志がなかったり、あるいはすでに顧客のことを深く理解していたりする場合(例えば、顧客がシェイクを購入する理由は通勤時の暇つぶし目的と言えるぐらい深く理解している場合)には、デザイン思考は不要といえるでしょう。
しかし、この記事を検索していることから推測するに、あなたは今現在マーケティングや販売で困っているのではないでしょうか?
販売で困る理由は、顧客の理解不足でしかありません。
・なんで買ってくれるのかわからない ・広告がうまくいかない ・誰に販売したいのかわからない ・他社と比べてどのような価値を提供しているのか明確に伝えられない |
このような要因があるから、困っているのですよね。
これらはデザイン思考を活用することで解決できます。この記事を最後まで読み進めれば、あなたは悩みを解消する糸口を掴めて、一歩前進できるでしょう。
2.デザイン思考の使い方は広義のマーケティングか、狭義のマーケティングかによっても変わる
「マーケティングで顧客を深く理解するためにはデザイン思考が必須である」とお伝えしましたが、では実際にどのように使えばいいのでしょうか?
デザイン思考の使い方は、広義のマーケティング(良いビジネスを作る)と狭義のマーケティング(ブランディングや広告などの集客や販売を促すために行われる活動)で使い方が違います。違いを一覧にまとめました。
広義のマーケティング | 狭義のマーケティング | |
プロセス1.共感 | プロセスの中でペルソナを 明確にしていく | 既存製品の主な購入者 |
プロセス2.問題定義 | インサイトの深さは一緒 | |
プロセス3.アイデア創出 | 顧客が抱える問題を解決する ためのアイデアを創出する | 顧客が問題を解決するために 行動に移したくなるような アイデアを創出する(つまり広告のアイディア) |
プロセス4.プロトタイプ | 試作品を作る | 広告のプロトタイプを作る |
プロセス5.テスト | 試作品を試してもらい フィードバックを参考にする | 購入しなかった人からフィードバックをもらうのは難しい |
この章では、
・広義のマーケティングにおけるデザイン思考の使い方 ・狭義のマーケティングにおけるデザイン思考の使い方 |
についてお伝えしていきます。
でデザイン思考を使うために、それぞれの違いをみていきましょう。
2-1.広義のマーケティングにおけるデザイン思考の使い方
広義のマーケティングは、「新しいビジネスを作ろう、もしくは作り直そう」と言っているだけなので、デザイン思考の使い方は、新規事業開発でデザイン思考を使う際の使い方と同じです。つまり、通常のデザインの使い方をしてください。
デザイン思考の5つのプロセス「共感」「問題定義」「アイデア創出」「プロトタイプ」「テスト」を繰り返し行い、粘り強く検証を重ねることによって、理想に辿り着きます。
<デザイン思考の5つのプロセス>
「共感」で情報を集め、「問題定義」で解くべき問題を定め、「アイデア創出」で案を出し、「プロトタイプ」で試作して、「テスト」で実際に試作品を試してもらう。フィードバックをもとに再び検討し直して試作品を作り直しまたテストする。これを何回も何十回も繰り返して答えに辿り着きます。
重要なのは、5つのプロセスを何十周も繰り返すことです。そうすることで、より深く顧客を理解して、顧客にとって本当に必要なものを追求し、提供できます。
<デザイン思考を使って売れる仕組みを作るためには、道具をよりよく使うための周辺知識が必要> デザイン思考を新規事業で使う際は、業務を管理するためのリーンキャンバスとセットで使っていく必要があります。
デザイン思考の実践的な使い方についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 |
2-2.狭義のマーケティングにおけるデザイン思考の使い方
狭義のマーケティングにおけるデザイン思考の使い方は、広義のマーケティングにおけるデザイン思考の使い方、つまり通常のデザイン思考の使い方とは少し異なります。
狭義のマーケティングでデザイン思考を使う際は、広義のマーケティングでデザイン思考を使う際よりも、より高い能力が必要です。
なぜかというと、狭義のマーケティングは、ブランディングや広告などの集客や販売を促すために行われる活動なので、すでに商品やサービスがある程度固まっているからです。そのため、試作品を提供して、相手の反応を引き出し、その反応を踏まえて相手を理解し、自由に製品をつくる、というような具体的なことが難しくなります。これが、広義のマーケティングでデザイン思考を使う際よりも、より高い能力が必要になる理由です。
では、高い能力とは具体的にどのようなことが求められるのでしょうか。
狭義のマーケティングでデザイン思考を使う際に必要な高い能力とは、「どのような人生を送っている人が、どういった場面でその製品やサービスを使うか」ということを、ものすごく深く掘り下げていくインタビューや調査能力のことです。
このことについて具体的に、歯ブラシを例に挙げて考えてみましょう。
顧客が歯ブラシを買う理由について理解しようとすると、一般的には以下のようなことが挙げられるのではないでしょうか。
・虫歯になりたくない ・歯をきれいに磨きたい ・口の中をきれいに保ちたい ・歯医者に行かずに快適に過ごしたい |
しかし、狭義のマーケティングでデザイン思考を使う場合は、この程度を把握するだけでは不十分です。これではお腹が空いたからコンビニに行く、のようなレベルの漠然とした理解にすぎません。
狭義のマーケティングで顧客を理解する際は、以下のレベルで顧客を理解する必要があります。
・私は虫歯がないとマウントを取れる ・歯医者に行って苦労している話題になったときに、「ふふん、私は大丈夫」と思えると幸せになれる ・私には歯医者は関係ない、と感じたい ・人と差をつけるために、常により良い歯ブラシを探し続けているし、見つけると嬉しくなる |
歯ブラシの広告について考える時に、「虫歯になりたくない種族」についての発想が出てくるかと言われると、普通に考えると出てきませんよね。
狭義のマーケティングでデザイン思考を使うときは、上記のように、歯を磨く瞬間ではなくて、それ以外の瞬間における顧客の心理を深く理解する必要があります。その上で、「この歯ブラシが絶対欲しい」と思わせるような広告を作れると、顧客を「歯ブラシを買うためにドラッグストアに走らせる」という行動に移させることができるのです。
しかし、このレベル感で顧客を理解し、それに基づいてどうやって売っていくかを考えるためには、顧客の意見を引き出し、引き出した言葉を読み解く高い言語能力が必要です。高い言語能力を駆使して、通常のデザイン思考を超えてさらに深いところまで顧客を理解する能力を身につけた時にはじめて、狭義のマーケティングでデザイン思考を使えるようになります。
3.マーケティングにデザイン思考を活用する際の注意点
マーケティングにデザイン思考を活用する際に注意したいのは、2-2でお伝えした狭義のマーケティングでデザイン思考を使う際のことです。
これから自分達で学んで狭義のマーケティングでデザイン思考を使おうと考えている場合は、以下の現実を受け止めて、時間を無駄にしないようにしてください。
狭義のマーケティングでデザイン思考を使う際に知っておきたい現実 |
自分達で学んで狭義のマーケティングでデザイン思考を使いこなして成果を出すのはかなり難しい |
狭義のマーケティングでデザイン思考を活用する際は、デザイン思考の初心者はもちろんのこと、ある程度使った経験がある人でも失敗します。もっというと、デザイン思考を使いこなす能力があり、なおかつ高い言語能力を持っていないと、絶対にうまくいきません。
前章でもお伝えしましたが、狭義のマーケティングでデザイン思考を使う際は、試作品を提供して、相手の反応を引き出し、その反応を踏まえて相手のことを理解していくという、通常のデザイン思考のようなことができないからです。そんな中で顧客を深く理解するためには、高い言語能力が必要不可欠です。
【広義のマーケティングの場合】
究極的に言えば、新規事業開発のような広義のマーケティングの場合は、インドカレー店でインドカレーが食べたいと言われればインドカレーを出せばいいし、ナンが食べたいと言われればナンを提供すればいいだけです。顧客がなぜインドカレーを求めるのか、その理由なんてわからなくても、相手が喜んでお金を払ってくれればそれで問題ありません。
【狭義のマーケティングの場合】
一方、広告のような狭義のマーケティングでは、すでに製品やサービスが存在しているので、インドカレーを買うことはずらせません。そのため、なぜインドカレーを買うのかを深く理解しないと、買ってもらえるような深掘りができません。しかも購入している人は目の前にいるので会話しやすいですが、重要なことは買わなかった人たちの意見です。単純に会話しづらいだけではなく、会話ができたとしても短い時間に少しの情報しか得られないでしょう。そのため、非常に難易度が高く、高度な言語能力や経験がないととても難しいのです。
それゆえ、製品やサービスを開発する時のデザイン思考よりも高い能力が求められるわけですが、これが自動車の運転や、料理のように実践を通じてしか身につかないものです。安全運転の教本を読んだり、レシピ集を読むだけで運転や料理ができるようになれば、それこそ夢のようです。
同じように、デザイン思考、つまり物事を考えるという行為も、書籍や本サイトに記載の文字を読んだら直ちに実践できるような簡単なものではありません。
ではどうすればいいかというと、適切な専門家に、能力開発を目的とした伴走支援を依頼することが重要です。研修ではなく、伴走支援です。ある程度費用はかかりますが、狭義のマーケティングでデザイン思考を使うためには、専門家による伴走支援しかありません。
専門家に伴走支援を受ければ、知って、わかって、できるようになります。
<専門家による伴走支援が絶対に必要な理由とは?> 人というのは、現状と理想が開いた時に、知識を道具として役立てることができます。しかしその差が開いていない時に聞いても馬耳東風で、耳を貸さず、何のことか理解できません。 しかし、その情報が役にたつ瞬間に聞くと「あぁ、そうなんだ」となるものです。 伴走支援を受けていると、役にたつ瞬間に知識を得て、実際に役立てることができので、「あぁそういうことか」と理解し、実践できるようになります。つまり、必要な時に適切な知識を知って、わかって、できるようになるのです。 うまく行かないことをわかるためには、その瞬間を探し当てていくしかないので、毎週数時間の時間を割いて、「今の検討状況がどうなっているのか」「その検討状況の中でこういう育成目的の中で何をしていくのか」をコーチング的に支援していきます。 もっと具体的な内容だと、「ペルソナはどうやって立てるのか?」「デザイン思考とアートはどう違うのか?」そのようなことも細かく伝えていきます。ロジカルシンキングやインタビューも当然基礎として含まれます。それが伴走支援です。 今うまくいっていない人は、高い言語能力が必要なのに、自分達にそれがないことがわかっていない人がほとんどです。高い言語能力が自らにないことを理解した時に、「だから自分達の議論が浅いままなのだ」と気づくことができ、その瞬間に理想と現実の差ができるので、練習すれば急に理解できて身につくようになります。 そうなるためには、伴走支援が必要です。知っている、知らないのレベルを越えることは、すごく簡単です。しかし次の段階、わかるに至るのはすごく大変で、ここまで再三お伝えしている高い言語能力を身につけるのは、大変どころの話ではありません。 |
この記事を執筆している私、河上が代表を務めるBeth合同会社では、このような能力を開発するためのサービスを提供しているので、いつでも問い合わせてください。あなたに伴走し、成功を支援します。
<マーケティングでデザイン思考を使いたいなら、Beth合同会社にお任せください!>
複数の行政機関や大手有名上場企業をはじめ、多数の実績を上げている専門家による伴走支援が受けられます。 ・デザイン思考を使って成功したいと思っている このような方はぜひお気軽にご相談ください。 ご相談はこちら |
4.まとめ
本記事では、デザイン思考はマーケティングに必須の思考法であるということをお伝えした上で、広義のマーケティングと狭義のマーケティングに分けてデザイン思考の使い方をご紹介しました。
本格的なマーケティングでは、顧客を深く理解することが必要で、そのために使える道具がデザイン思考であるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、狭義のマーケティングにおいてデザイン思考を使うためには高い能力が必要です。その能力を身につけてデザイン思考を活用して成功を収める近道は、専門家による伴走支援を受けるほかにありません。
この記事を読んで話を聞いてみたいと思った方は、お気軽に以下よりお問い合わせください。
お問い合わせはこちら