「新規事業がうまくいかない。このままでは破綻してしまう可能性すらある……」
「新規事業が何でうまくいかないのか、書籍を読んでみても何か腑に落ちない。」
多くの人が新規事業がなぜうまくいかないのかを理解できず、今の不明瞭な状況に苦しんでいるのではないでしょうか?
この記事では、他のどこでも語られていない「新規事業がうまくいかない本当の理由」をお伝えします。最後まで読むことで、今あなたが抱えている疑問に答えが見つかるでしょう。
新規事業がうまくいかない本当の理由は、資本主義の勝ちパターンである「マニュアル主義」に囚われて、ドツボにハマっているからです。
【資本主義の勝ちパターンである「マニュアル主義」とは】 マニュアル主義とは、事前に定められた手順を遵守して業務を遂行することです。このアプローチでは、「決められた大量の業務を、間違えることなく、こなし続ける」ことが最優先とされます。 資本主義の歴史の中では、これまで120年以上にわたり、このマニュアル主義を実行することで一定の成功を収めることが可能でした。実際、このルールに従わなければ厳しい競争に勝つことはできなかったでしょう。 あなたの会社でも、決まった手順を遵守することで業務上必要な成果を確保できるよう、マニュアルが作り込まれていますよね。(もし「弊社のマニュアルは違う」と主張する会社が存在するとしたら、それは単に資本主義においては負け組の会社というだけです。) なお、マニュアル主義というのは、Beth社が言っている場合は、1900年ごろの巨匠、ウェイバーの官僚制を一般人で実現しようとして、テイラーの科学的管理法を使っている場合のことを意味します。 マニュアル主義かどうかは、御社で「マネジメント」や「管理」という言葉を使っているかどうかと平均年収で判断できます。マネジメントという概念が生まれたきっかけが、テイラーの科学的管理法だからです。 |
マニュアル主義は資本主義の必勝ルールなので、勝つためには守らせるしかありませんが、これを厳守しようとすると、下記のようなことが起こってしまいます。
・会議の目的が合意を取ることになっている ・個人の判断で「仮説検証して方向転換すること」が許されていないと勘違いしている ・新規事業開発において顧客の声をただそのまま反映している |
これらが、「新規事業がなぜかうまくいかない」という事象の背後に潜んでいる要因です。
新規事業のマニュアルは一般的に、「お客さんの声を聞いて、その声に基づいて何かを作れ」という内容だと考えられているため、このマニュアルを遵守しようとすればするほど、お客さんが言っている通りのことをそのまま何も考えず製品に反映させようとするので、結果としてうまくいかないのです。
営業経験のある方なら、これが失敗する理由がピンとくるはずです。お客さんの声をそのまま反映する程度の実行でものが売れるなら、誰も苦労しないでしょう。
では、新規事業を成功に導くためにはどうすれば良いのでしょうか?それは、「収集した声をどのように取り入れるか」「仮説を検証した結果、右に行くか左に行くかの方向転換をするのか、しないのかの判断を下す」といった、現場からのフィードバックを受けて自分たちの行動を変えることが不可欠です。
しかしながら、これらのアプローチは通常、新規事業のマニュアルには書かれていません。
そこで本記事では、まず新規事業がうまくいかない理由について詳しく説明した後、新規事業がうまくいかないときの対処法についてお伝えしていきます。
<本記事でわかること> |
・なぜあなたの組織は「新規事業がうまくいかないのか」 ・新規事業がうまくいかないときに今すぐやるべき対処法 ・新規事業を成功させたい、成功できる人間を育成したいのなら、Beth合同会社にご相談ください |
この記事を読めば、「教科書通りにやっているのにどうしてうまくいかないんだろう?」と感じている状況を打破する可能性が見えてくるはずです。ぜひ最後まで読み進めてください。
1.なぜあなたの組織は「新規事業がうまくいかない」のか
冒頭でもお伝えしましたが、新規事業がうまくいかない理由は、あなたの組織が資本主義の勝ちパターンである「マニュアル主義」に囚われ、ドツボにハマっているからです。
このような状態は、通常であれば企業にとっていい状況という見方もできるのですが、新規事業においては大きな制約となります。
実際に、マニュアル主義を徹底的に守ることで、下記のような問題が生じます。
・会議の目的が合意を取ることになっている ・個人の判断で「仮説検証して方向転換すること」が許されていないと勘違いしている ・新規事業開発において顧客の声をただそのまま反映している |
これらの問題が、「新規事業がうまくいかない」という事象の背後に潜む要因となっています。
これは、どんな書籍にも書かれていないことです。この章を読めば、今抱えている「新規事業がうまくいかない」という漠然とした悩みや不安を晴らすことができるでしょう。
1-1.会議の目的が合意を取ることになっている
新規事業がうまくいっていないという組織では、新規事業開発で本来まず考えるべきことである
・顧客にとって本当に価値があるものは何か |
などを差し置いて、会議で合意を得ることが優先されているのではないでしょうか。
その背景には、以下のようなことがあります。
<会議の目的が合意をとることになってしまう背景> |
会議の目的が合意をとることになってしまう背景には、資本主義の勝ちパターンである「マニュアルを逸脱することはあり得ない」という考えが、前提条件のように染み付いてしまっていることが影響しています。 そのため、会議においても、「決まった大量の会議を、間違えることなく、こなし続ける」ことが優先されるべきであると染み付いてしまっているのです。次の時間の会議を遅らせたりキャンセルしてでも、今行っている会議を継続して徹底的に議論することがあたりまえ、という社会人は少ないでしょう。 「決まった大量の会議を、間違えることなく、こなし続ける」ために、「顧客にとって本当に価値があるものは何か」「本質的に問題を解く方法は何か」よりも「合意すること」が優先されてしまい、新規事業がうまくいかなくなります。 |
このことについて腹落ちして理解するためには、「マニュアル主義とは何か」について知る必要があるので、その点についてお話しします。
そもそもマニュアル主義の源流の1つ、テイラーの科学的管理法で重要なことは、「社員に決められた手順を守り業務を遂行させること」です。1900年ごろ、なので今から約120年前に、労働者による作業のばらつきを均一化することを目的として、米国の実業家兼コンサルタントのテイラーが科学的管理法を発表しました。著作は1911年です。作業量の基準と細かい手順を定めて作業のばらつきを均一にすることで、誰が作業しても雇用主が望む結果が得られるようになりました。
社員に決められた手順を守り業務を遂行させると、誰がやっても同じ結果が出ます。重要なことは、労働者に手順を守ってもらうことであり、個々人の労働者が「良かれと思って何かを判断すること」は絶対に許可しません。
例えば、マクドナルドで働く人の作業を思い浮かべてもらうとわかりやすいのではないでしょうか。決められた量のソースを塗る。決められた量の塩をポテトにかける。自分たちで判断して勝手にソースや塩の量を変えることなく、決められたことだけを行うことで、マクドナルドの商品が出来上がります。
マクドナルドのメニューは決まったものであり、大量の業務を間違えることなく、こなし続けることが求められます。この「決まった大量の業務を、間違えることなく、こなし続ける」ための組織が、ウェイバーのいう官僚制です。官僚制は、民間、行政関係なく存在します。
官僚制は、優秀な人間に権限を渡して決まった仕事を実行させます。しかし、優秀な人間は給与も高く、かつ人数が限られるという性質をもつために、大量生産大量消費のための仕組みには使えません。そこで、テイラーの科学的管理法である「作業量の基準と細かい手順を定めて作業のばらつきを均一にすることで、誰が作業しても雇用主が望む結果を得る」ことが注目されました。
これら、官僚制の目的である「決まった大量の業務を、間違えることなく、こなし続ける」ことを実現させるために、一般の社員に「決められた作業量の基準と細かい手順を実行させつづけること」を採用している状態を、Bethでは「マニュアル主義」と定義しています。
このように、マニュアル主義では「決まった大量の業務を、間違えることなく、こなし続ける」ことが目的になるので、労働者が品質に対して「こうした方がいいのでは?」「この方がおいしくなりそう!」などの個人的な関心を抱いたとしても、実務に反映させることは絶対に許されません。そして、顧客のことを思えば思うほど、マニュアルを遵守することを目指していきます。マニュアルを守ると、定められた品質の商品ができ、その商品を顧客が望んでいるから、です。
そしてマニュアル主義を採用するマクドナルド、トヨタや旧来の日本の大企業は世界トップクラスとなったわけです。マクドナルドよりも美味しいハンバーガー屋はいくつもあります。ですが、最も資本主義で成功したハンバーガー屋はどこか?と聞かれれば、その答えはマクドナルドになるわけです。
ここまででマニュアル主義とはどのようなものか、おわかりいただけたかと思います。
では、これが会議とどう関係しているのか、本題に入りましょう。
日本は資本主義ですので、資本主義の勝ちパターンであるマニュアル主義の考え方は、日本のほとんどの組織の会議においても前提とされています。
「決まった大量の会議を、間違えることなく、こなし続ける」
そのために、いつまでも合意できないような会議は嫌われます。合意が取れないと、会議を次から次へとこなしていけないからです。だから会議がどれだけ紛糾しようと、合意を取ることが求められ、結果的に会議の目的が合意を取ることになってしまうのです。ちなみに、自民党では全会一致の原則があるのですが、時間限界まで議論したら、反対派は「反対だー!」と叫びながら退出して、賛成派だけが室内に残り議決するという特殊なことを行っています。そうすると、(反対派は退席したので)全会一致となり意思決定ができます。良い悪いの判断は避けますが、少なくとも時間ギリギリまで議論はしている、ということです。最後のオチは評価が分かれると思いますが。
繰り返しになりますが、新規事業で重要なのは、
・顧客にとって本当に価値があるものは何か ・本質的に顧客の問題を解く方法は何か |
なので、合意を取ることを優先すると、新規事業はうまくいきません。問題を解くことと、合意することは何の関係性もないからです。
関係ないどころか、合意が簡単に取れるような案は見聞きしたことがあるような浅はかな案である場合がほとんどなので、むしろ質が下がります。これが、サントリー創業者の鳥居さんや、パナソニック創業者の松下さんの「やってみなはれ」です。社内合意よりも、顧客を重要にする姿勢から紡がれる一言、というわけです。
今、新規事業がうまくいっていないと感じているあなたの組織の会議は、合意を取ることが目的になっていないか、いまいちど確認してみてください。
1-2.個人の判断で「仮説検証して方向転換すること」が許されないと勘違いしている
新規事業においては、「仮設検証の結果に対して右に行くのか左に行くのかを判断すること」がとても重要ですが、「仮説検証して方向転換すること」が許されていないと勘違いしていて、新規事業がうまくいかないことがあります。
このような勘違いが生まれる背景には、以下のようなことがあります。
<「仮説検証して方向転換すること」が許されていないと勘違いしてしまう背景> |
マニュアルを遵守することが前提条件のように染み付いていることが、新規事業においても「現実からのフィードバックを元に自分たちの行動を変えることが許されていない」という誤解に結びついています。 マニュアル主義では、マニュアルを遵守すること以外は許可されないので、良かれと思って自分で判断して実行することはできません。新入社員から良い社員になるということは、私を滅してマニュアルを守ることを意味します。優秀な人ほど脊髄にまで染み込んでいるため、新規事業においても同様であると思い込んでしまい、仮説検証して方向転換することができなくなるのです。 しかし、新規事業では「現実からのフィードバックを元に自分たちの行動を変えること」が不可欠です。 |
これは、お正月にはおせちが出てくることが当たり前だと思っている感覚に似ています。お正月にインドカレーが出てきたら、違和感を感じますよね笑笑。(いや、インドカレーは美味しいのですけれど)
それと同じことで、マニュアル主義においてマニュアルを遵守することは当たり前のことだと体に染み付いているので、明確な許可なしに現実からのフィードバックをもとに行動を変えることは、当然新規事業でも許されないと思い込んでいるのです。
そのくらい、マニュアル主義では個々にはマニュアルの遵守しか許可していません。
確かに、マニュアル主義では現実からのフィードバックをもとに行動を変更する許可は与えられていませんが、新規事業開発やそこで活用するデザイン思考においては許されています。というよりも、現実からのフィードバックをもとに行動を変えることなくして新規事業は絶対に成功しないので、やるしかありません。
1900年から120年続くということは、曽祖父の頃からの勝ちパターンということです。そんなこと、なかなか疑いません。疑わないので、言われてみれば当たり前のことに気がつけず、新規事業においても「新規事業の作り方マニュアル」や「デザイン思考のマニュアル」を遵守した結果、顧客にとって本当に価値があるものを提供できず、新規事業がうまくいかないのです。
<そもそも仮説検証して判断できる人はいない?!> 「判断することを許可されていない」と勘違いしているから新規事業がうまくいかないとお伝えしましたが、ではその勘違いがなければ「仮設検証の結果に対して右に行くのか左に行くのかを判断することができるのか」というと、残念ながらそうではありません。 なぜなら、仮説検証の結果に対して右か左か判断するマニュアルは存在していないからです。 そもそも資本主義の社会では、労働者に対してマニュアルを守ることしか求められていないという現実があります。新規事業開発では個々の人間が必要な時に判断をしないといけませんが、企業は個人に判断させないことを目的として採用しているので、仮説を立てて検証することができる人間をそもそも雇っていません。科学的管理法を執筆したテイラーは1911年の著作に「基準を守れない社員を採用しら終わり。肉体的にも基準を満たせるし、単調な作業を継続できる精神的な鈍感さも重要」との旨を書いています。 つまり、仮設検証することや判断することを目的に雇われた人がいないので、できなくても当然なのです。 もしできるレベルの人がいたとしても、仮説検証の結果に対して右か左か判断するマニュアルが存在していないので、結果、判断ができません。 厳しい現実ですが、専門的な知識がない一般社員だけで新規事業を成功させようとすること自体が、かなり難しいことだと言わざるを得ないのです。 |
1-3.新規事業開発において顧客の声をただそのまま反映している
新規事業開発において顧客の声をただそのまま反映しているだけでは、うまくいきません。
その理由として、以下のようなことがあります。
・顧客の欲求とニーズの把握が難しい ・顧客の要望が一般的でないことがある ・トレンドや技術の進化に対応できない ・顧客の言葉と本当のニーズにずれがある場合がある |
新規事業では顧客にとって価値があるものを提供するために、顧客の声をもとに顕在ニーズや潜在ニーズ、顧客が抱えている課題を洗い出し、顧客の問題を解決するためのアイデアを創出していく必要があります。
例えば、「痩せたい」と言っている顧客の顕在ニーズには、「体重管理をしたい」「食事制限や運動の指導を受けたい」があり、潜在ニーズには「自分自身のイメージや自尊心の向上」「健康への関心」「ライフスタイルの改善」といったものがあると考えられますね。これらを捉えるか捉えないかだけでも、顧客に提供できるものが大きく変わってくることが想像できるのではないでしょうか。
では、どうして顧客の声をそのまま反映して新規事業開発する、などということが起こるのでしょうか。
その背景には、以下のようなことがあります。
<顧客の声をただそのまま反映して新規事業開発してしまう背景> |
新規事業開発で顧客の声をただそのまま反映するという事態が起こるのは、新規事業の一般的なマニュアルには、「顧客インタビュー結果を踏まえてアイデアを練り出し方向転換する」と書いているためです。 マニュアル主義ではマニュアルからの逸脱は許可されていないので、新規事業のマニュアルを遵守した結果、「顧客のコメント通りに修正する」という地獄へと落ちます。 新規事業は顧客のコメント通りに修正して成功するほど甘いものではないので、当然失敗します。(ちなみに、営業職の人はこのことについて十分理解しているはずです。) |
これは、マニュアルの不備です。不備であると同時に、言語化できる限界でもあります。言語化できるのなら、読んでそのとおりにすれば必ずバカ売れできる営業マニュアルができます。が、仕事とはそんなに甘い世界ではないことは、みなさんご承知の通りというわけです。そのため、新規事業のマニュアルを言葉通りに受け取っても新規事業はうまくいきません。また、それが理由で、本記事の執筆者はプライム上場企業から、フリーランスまでひたすらに人を育て続けています。
「マニュアルには、顧客の意見を聞いてアイデアの方向転換すると書いてある」
「顧客に話を聞いたら、AではなくBがいいと言っていたのでBに変更します。」
などと平気で言うマニュアルバカにならないように、注意しましょう。(注:関西の方は、バカではなく、あほと読み替えてください笑)
2.新規事業がうまくいかないときに今すぐやるべき対処法
ここからは、新規事業はうまくいっていないあなたの組織が今後どのように行動するべきか、今すぐやるべき対処法についてお伝えしていきます。
新規事業を成功させたいあなたがまずやるべきことは、
・経験ある専門家に相談する |
ということです。これは宣伝でもなんでもなく、根拠があり納得できる話なので、「なぜ専門家が必要なのか」というあなたの疑問は解消されるはずです。
とはいっても、いきなり専門家に相談にすることに抵抗がある人や、今すぐうまくいくイメージを持ちたい人もいると思います。そこでここでは、1章で挙げた3つのうまくいかない要因とも関連する、どのように対処すればいいか、以下のことについてもお伝えしていきます。
・現実からのフィードバックを元に自分たちの行動を変えるスイッチを持つ ・消費者ではなく、ものづくりをする観点で役に立つことにこだわる ・独断的に決める人をおく |
これが実行できるかどうか、自分の組織を思い浮かべながら、うまくいっていない状況を方向転換する準備を始めましょう。
2-1.経験ある専門家に相談する
今うまくいっていない新規事業を成功させたいなら、経験がある専門家に相談するのが1番の対処法です。
新規事業は、経験がないと判断できないことがたくさんあるからです。
例えば、以下のようなことは、経験がないと絶対に判断できません。
・仮説検証して右に行くか左に行くかの判断 ・仮説検証の結果を受けてどうするかの判断 ・新規事業で絶対に必要となるデザイン思考を使いこなす際に必要な判断 ・デザイン思考のフレームワークの各項目をどの程度の粒度で進めていくかの判断 ※このことについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。 【デザイン思考のプロが伝授】デザイン思考のフレームワーク5STEP |
ここで挙げたことは新規事業を成功させるためにとても重要なことなので、これらを的確に判断できる、以下のような新規事業の専門家に相談してください。
<新規事業を相談するべき専門家の条件> |
・新規事業の実績が豊富である ・デザイン思考の専門家である ・(ここまでお伝えしたような)新規事業がうまくいかない理由について語れる |
この記事で新規事業がうまくいかない本当の理由として挙げた資本主義で勝つためのパターン(マニュアル主義)は、120年前からの文化なので、優秀な企業ほど染み付いています。
そのため、この記事で書いたような本質的なことを語れるレベルの専門家を頼り、ガイドしてもらいながら新しい文化を1から作り始めなければ、新規事業がうまくいかないという現状から抜け出せません。しかもこれは文化なので、1日2日ではできません。年単位の取り組みになるでしょう。
とはいっても、ここに書いていることを無料で公開しているWEB上の記事で語っているのは本記事を執筆している河上泰之くらいしかいません。
この後の2-2から2-4まで読み進めて、私に連絡するかどうか見定めてください。その結果、やっぱり話を聞きたいと思ったら、とにかくBeth合同会社の河上まで連絡をください。新規事業がうまくいかないという現状から脱却したいと本気で思っているなら、まずは専門家に頼るという1歩を踏み出しましょう。
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2-2.現実からのフィードバックを元に自分たちの行動を変えるスイッチを持つ
新規事業がうまくいかない理由として、1-2.で個人の判断で「仮説検証して方向転換すること」が許されないと勘違いしている、とお伝えしましたが、これは現実からのフィードバックを元に自分たちの行動を変えるスイッチを持つことで対処できます。
スイッチを持てば、資本主義で勝つためにマニュアルを遵守しつつ、新規事業では現実からのフィードバックを元に自分たちの行動を変える柔軟性を持てるからです。
例えば、大手自動車メーカーのトヨタ自動車は、現実からのフィードバックを元に自分たちの行動を変える素直さがあり、柔軟に方向転換できたため、世界的に成功をおさめています。トヨタ式改善を日本国の多くの企業が知っているのに、なぜトヨタができて、他はそんなにうまくいかないかというと、現実からのフィードバックをもとに自分たちの行動をどれだけ素直に変えられるかが全然違うから、です。トヨタでは、「こうした方がいいのでは?」と改善提案がなされたら、ストップウォッチを持ち出して本当に早くなるのかを計測します。そして本当だ!となれば、すぐに手順が変わります。ですが、一般の企業では、下手したら改善案を読んだだけで「ふーん」と流します。頭の中で判断しているだけで、現実からのフィードバックを受け取るつもりがない人が行う行為です。なので、トヨタ式改善を知っているのに、全然機能しないという結果に至るわけです。
顧客の利益のためであれ、効率化のためであれ目的は問わず、現実世界からのフィードバックにより、自分たちの行動や物事の判断を変えられる素直さを組織全体が持っていれば、新規事業でも成功しますし、社員から改善案を提出されることでより成果を上げていけるのです。
しかし、現実からのフィードバックを元に行動を変えるというのは慣れていないととても難しいことです。とはいえ、難しいからといって逃げていると新規事業は失敗します。顧客の声を聞くことなく会議室に引き篭もるようになり、顧客にとって価値があるものを提供できなくなるからです。
今はマニュアルを遵守することが前提条件のように染み付いているかと思いますが、現実からのフィードバックを元に自分たちの行動を変えて、「仮説検証して方向転換する」ということをやっていきましょう。そうすれば、徐々に新規事業がうまく回り出しますよ。お約束します。
2-3.消費者ではなく、ものづくりをする観点で役に立つことにこだわる
1-3で、顧客の声をただそのまま反映させているから新規事業がうまくいかないとお伝えしましたが、これは消費者ではなく、ものづくりをする観点で役に立つことにこだわることで解決できます。ここでいう消費者とは「選択肢の中からどれにするか、自分で自分を説得しているひと」のことを意味します。コンビニでお昼ご飯をどれにするか選択肢の中から、自分で自分を説得しているような状態です。これと全く同じ行為を、多くの人は「考える」と勘違いして行っています。
新規事業で方向性を決める選択肢とは、思い出せる何かと、顧客の発言した字面です。顧客の発言のなかから、どれにするか自分で自分を説得する行為=消費者的な行動をして、うまくいくわけがありません。消費者は、生産者とは異なるからです。
そこで、重要なことは、選択肢を自ら生み出すという行為です。売られているものでは満足できず、DIYするような精神です。河上式アート思考でもお伝えした通り、売られていない新しいものとは、既存製品と明確に差別化された商品を意味します。そして、ジョブ理論でいう無消費者に新しい選択肢として提示できると、バカ売れする可能性があります。これをうまく実現したのが、バルミューダという超高級トースターです。
繰り返しますが、顧客インタビューなどで集めた声を事業案の方向性の選択肢として扱い、消費者的態度のままに、その選択肢のなかからどれにしーかなと、自分で自分を説得してうまくいくほど、新規事業は甘いものではありません。説得すべきは顧客であり、検討している自分ではないからです。
間違っても、「顧客がAとBだったらAの方がいいと言ったからAにする」という発想や、顧客が言ったことを選択肢として、そこから選ぶようなことはしないようにしましょう。
2-4.独断的に決める人をおく
新規事業がうまくいかない理由として、1-1で会議の目的が合意をとることになっているとお伝えしましたが、その対処法として、独裁的に決める人を1人おくといいでしょう。
独裁的に決める人をおくことで、会議で合意をとることを優先する必要がなくなります。また、新規事業を成功させるためには、責任者が強いリーダーシップを発揮して、必要に応じて断固とした決定を下すことが重要だからです。
例えば、何かを検討する際、集団で行うと、合意を取りやすい無難なアイデアしか出ないことが多く、新規事業といいながらどこかの新聞を読めば書いてあるようなゴミのような案に至ることばかりです。しかし、独裁的に決める人が1人いて、その人が奇抜なアイデアも寛容に受け止めることができれば、次々と見たことがないようなアイデアが生まれる可能性が高まるでしょう。そして、見たことも聞いたこともないので、売れるかどうかはまだわからない、といういみにおいて成功する蓋然性がたかまるわけです。新聞や雑誌web記事にあるようなものは、売れていないからこそまだアイディアとして紹介されているわけです。売れていないものを真似ても、売れるわけがありません。
新規事業では、合意を目指したらアウトです。その必要がないように、独裁的に決める人を置いて、新規事業を成功させましょう。
3.新規事業を成功させたい、成功できる人間を育成したいのなら、Beth合同会社にご相談ください
この記事でお伝えした新規事業がうまくいかない理由に心当たりがある方は、Beth合同会社にご相談ください。
大手企業の新規事業開発に携わってきた実績がある当社なら、資本主義の勝ちパターンであるマニュアル主義の文化を変革し、新規事業を成功させるお手伝いができます。
また、顧客にとって本当に価値があるものを生み出すことを、従来のコンサルティングの形ではなく、コーチング型コンサルティングとして社員の能力を高めながら伴走します。最終的に自立できるようになるのも特徴です。
<Beth合同会社では、数々の新規事業立ち上げに関わってきた経験をもとに、数千万円から数兆円規模の新規事業立ち上げのお手伝いをしています> ご相談はこちらから |
4.まとめ
本記事では、新規事業がうまくいかない理由とその対処法についてお伝えしました。
最後に、新規事業がうまくいかない理由について振り返しましょう。
新規事業がうまくいかない理由は、
資本主義の勝ちパターンであるマニュアル主義にどっぷり浸かっているから
でした。
資本主義の勝ちパターンを守ることで、以下のような問題が生じるからこそ、新規事業においては失敗します。
・会議の目的が合意を取ることになっている ・個人の判断で「仮説検証して方向転換すること」が許されていないと勘違いしている ・新規事業開発に顧客の声をそのまま反映している |
今抱えている「新規事業がうまくいかない」と言う漠然とした気持ちや悩みを晴らすことができたでしょうか?
この記事を読んで、筆者河上の話を聞いてみたいと思った方は、すぐに連絡をください。あなたの新規事業のお手伝いをします。
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