「DXコンサルティングってどういうもの?」
「DXをコンサルに依頼すると、どういうメリットがあるの?」
DX推進をコンサルティング会社に依頼したいけど、いまいちコンサルティング会社を信じ切れない気持ちがあり、迷っている人は多いと思います。
結論から申し上げると、DXを推進したい全ての会社がコンサルティング会社に依頼するべきというわけではありません。また、コンサルティング会社に依頼したからといって、必ずDXを推進できるわけでもありません。参考書と同じで、買うだけでは何にもなりません。いかに活用するかという点が、重要になります。
DXコンサルティングを依頼したい気持ちがあるけど、どうしようか葛藤している人は、まずDXコンサルティング会社とはどのようなものかに、ついて深く知るといいでしょう。
そもそも、DX推進を受託できると主張するコンサルティング会社には、大きく3種類あります。
・システム導入コンサルティング会社
・宿題代行型コンサルティング会社(いわゆる従来のコンサル)
・コーチング型コンサルティング
上記の通り、DX系のコンサルティング会社は大きく3種類に分類することができ、それぞれに強みと弱みがあるので、まずはそのことについて把握していきましょう。
それぞれの違いを理解し、メリットなども把握した上で、自分の会社はコンサルティング会社に依頼した方がいいのか?依頼する場合は、どの種類のコンサルティング会社に依頼するべきか、判断することが重要です。
そこで本記事では、あなたの会社がコンサルティング会社への依頼について判断できるように、以下のことについてお伝えします。
この記事でわかること |
・DXコンサルティングとは ・DXコンサルティングの実際の事例 ・DXコンサルティングを外部に依頼するメリット ・DXコンサルティングを外部に依頼するデメリット ・DXコンサルティングを依頼するべき企業 ・DXコンサルティング会社を選ぶ際の注意点 |
この記事を読めば、あなたの中にあるコンサルティング会社を信じきれない気持ちや、曖昧な葛藤を払拭することができ、依頼する理由、依頼しない理由を明確に周囲に説明できるようになります。ぜひ最後まで読み進めてください。
1.DXコンサルティングとは
そもそもDXコンサルティングとは、DX推進をサポートする業務のことです。一般的には、以下のようなことを支援してくれます。
・事業計画書の作成
・業務改革計画書の作成
・経営層の相談役
・組織改革
・システム導入の提案など
これらの業務を担っているのがDXコンサルティング会社ですが、全てのコンサルティング会社が同じ内容の業務をしているわけではありません。
そこで、DXコンサルティングについて理解を深めるために、以下のことについてお伝えしていきます。
・DXコンサルティング会社には大きく3種類ある
・そもそもDXとは?
この章を読めば、DXコンサルティングを依頼するべきか、依頼する場合はどんな会社に依頼すれば自社が変われるか、判断できるようになります。
1-1.DXコンサルティング会社は大きく3種類ある
DX推進をサポートしてくれるコンサルティング会社は、大きく3種類に分類することができます。
・システム導入コンサルティング会社
・宿題代行型コンサルティング会社(いわゆる従来のコンサル)
・コーチング型コンサルティング
それぞれどのようなものか、見ていきましょう。
1-1-1.システム導入コンサルティング会社
1種類目は、システム導入コンサルティング会社です。ITに関する深い知識とシステム導入に関する豊富な経験を持っていているので、一般的には、システムの企画・設計・開発・導入・運用サポートなど、システム導入全般を任せることができます。
このメディアの編集長であり著者でもある私が過去に所属したIBMも、システム導入コンサルティング側の大きな会社です。
システム導入コンサルティング会社の強みは、ITの専門家として辞書のように便利に使えるという点です。
ただしこれは「自社が欲しい道具、システムが明確になっている」ことが前提です。辞書が勝手にテストを受けてくれるわけではないことと似ています。
自社事業でより利益を生み出すためにどのような道具が必要か、どのようなシステムを導入するべきかについて、自社で明確にできない場合は、システム導入コンサルティング会社をうまく使えません。
この理由は弱みを見れば理解できるので、弱みが何か見ていきましょう。
システム導入コンサルティング会社の弱みは、何をやれば利益が出るのかを検討する能力が弱いということです。お医者さんに「幸せになりたい」と漠然と相談しても苦笑いされる状況と似ています。
ITという専門分野の知識は深くとも、何をすれば儲かるのかを検討するプロではありません。
それができるのなら、IT以外の自社ビジネスで、ものすごく儲かっているはずです。
より悪い場合を説明すると、ITシステムよりももっと狭い範囲であるパッケージ(市販されているパッケージソフトのこと)のことしかよくわかっていない会社もたくさんあります。
パッケージのことしかわかっていない会社は、「パッケージを購入すると経営にどのような意味があるのか」という点について理解していない場合がほとんどで、システムを導入してもらうことが目的となっている可能性があります。つまり、そのような会社に依頼すると、自社に本当に必要な道具を導入できない場合が大いにあり得る、ということです。
試しに、「経営にとって1番重要なことは何だと思いますか?」と聞いてみてください。面白い答えが返ってくるでしょう。
彼らが語れることは、「導入すると業務コストが80%下がります!」というようなことです。
さて、それで本当に事業運営の観点からみて救われるのなら、今みなさんはDXで苦労していないはずです。過去にも様々なIT導入は行なってきているはずですから。
IT導入は、デジタル前提で業務フローを一新して業務マニュアルを全部書き換える以外、やればやるだけ業務量が増えて状況が悪化します。
例えば、喫茶店でQR決済を導入したとしましょう。現金取引が80%減ることに経営上の意味はなく、現金の管理は残り続け、しかもQR決済についての知識も学ばねばなりません。パッケージを売る側からしたら、顧客の業務が増えることは興味の範囲外です。なぜなら、その事実を言ってしまえばQR決済システムは売れないからです。これが、あなたの会社の社長や役員がシステム化を嫌う理由でもあります。
さらに詳しく知りたい方は、「【これで完璧】DXとデジタル化の本当の違いを事例とレポートで解説」の記事をご覧ください。
システム導入コンサルティング会社についてまとめると、以下のようになります。
強み | (欲しい道具が明確な場合には) ITの専門家として辞書のように便利に使える |
弱み | 自社にとって本当に必要なシステムを導入できない場合がある |
システム導入コンサルティング会社が おすすめの企業 | 自社にとって必要な道具が明確になっている企業 |
1-1-2.宿題代行型コンサルティング会社(いわゆる従来のコンサル)
2種類目は、丸投げしたらなんでも宿題代行的にやってくれる、宿題代行型コンサルティング会社です。この種類のコンサルティング会社が、一般的にイメージされるコンサルだと言えるでしょう。
宿題代行型会社の特徴は、毎週打ち合わせのために資料を作ってきてくれます。その資料には問題提起と解決策の選択肢がメリットデメリットで整理されています。
そんな紙を、定期的に持ってきて打ち合わせをしてくれることが特徴です。
そのため、依頼した企業は選択肢の中から、なんとなく良さそうな解決策を選べばいいだけになります。要するに、丸投げが可能で考える必要がなくなる点が強みです。
そして、この丸投げできることよりも強い利点として、「有名なXXコンサルティング会社が検討した案である」と伝えた時に、社内的に通りが良いということです(明確なNOが少ない)。
一方で、依頼する担当者がハンドリングしていないため、コンサルティング会社の思い通りになりがちな点が、旧来のコンサルティング会社に依頼する際の弱みだと言えるでしょう。要するに、コンサルティング会社が最も利益を上げられるような選択肢に、論理的に至る可能性がある、ということです。
もっとはっきり言うと、結果的にクライアント企業の利益創出に直接結びつかない、つまり経営上役に立たないが、コンサルティング会社にとっては次のプロジェクトが売れて儲かる結論に至っている、ということが多々あります。
弱みはもう1つあります。
これは発注者側に起因する不都合な事実ですが、コンサルティング会社から得た最終報告書に記載された内容や指示を発注者側の社員としては理解できたが、社員個人が自分のキャリアや自身の評価、場合によっては飛ばされることを覚悟して、報告内容に賭けるほどには信頼しきれず、実行できない。
つまり報告書が出来上がってそれで終わりという結果になる可能性があるということです。
またこれは、宿題を依頼した社長・役員の中でも発生し得ます。部下が自分で考えた内容なら、その部下に任せれば実行してもらえるだろうと思えます。一方で、他社、他人が考えた内容をその部下で実行できるのだろうか、報告書の内容を読み上げるだけで報告しかできない彼らに、本当に実行できるのだろうか?という疑念がよぎります。そうなると、報告された内容はわかるが、実行させきれない。気がつくと数ヶ月たってしまってもおかしくはない。
役員からの宿題は、提出できるように穴埋めはされたが、「実行できる」とは限らない。
これが宿題代行型の最大の欠点です。
冒頭でお伝えした、参考書の例えがこれです。参考書を買ってきても活用しなければ意味がないように、コンサルティング会社に依頼しても、理解して活用できなければ意味がありません。
そのため、宿題代行型コンサルティング会社に依頼するのであれば、コンサルティング会社が言っていることを1から10まで全て信じる姿勢で丸呑みして、全部実行する覚悟が必要です。そうすれば、論理的には正しい方向に進みます。
逆に都合の良いところだけ選び部分的に実行すると、失敗します。例えば、自動車という約3万個の部品からできている仕組みの中から、自分に都合のよいパーツだけ抜き出しても、自動車という仕組みとして動くかはわからないのと同じです。ましてや、安全性の保証など自動車会社としてはできないでしょう。コンサルティング会社の作った最終報告書から、都合がいいところだけ抜き出すというのはそういうことです。
繰り返しになりますが、宿題代行型コンサルティング会社に依頼するのであれば、1から10まで全てを信じてまるまる実行する。これを覚えておいてください。
<宿題代行型コンサルティング会社まとめ>
強み | ・宿題代行的に丸投げでき、自身の時間は空く ・自社で「考える」必要がなくなる |
弱み | ・宿題代行的に丸投げするので、社員の能力が下がる恐れがある(筋トレと同じ) ・コンサルタントの報告内容が、実行できるとは限らないし、活用できないと発注する意味がない ・コンサルティング会社が受注を楽にするためには後続のプロジェクトを提案するのが一番簡単なため、クライアントが利益を生み出すために本当に必要なことだけを教えてくれるかと言われると、そうではない場合がたくさんある(コンサルティング会社も営利目的の企業なので仕方がない) |
宿題代行型コンサルティング会社が おすすめの企業 | ・1から10まで、自身の人生を賭けて全部実行する覚悟がある担当者 ・1から10まで指示が欲しくて、かつ従うことが できる企業 |
補足的に、宿題代行型コンサルティング会社に含まれる、大手コンサルティング会社についても言及しておきます。
<コラム:大手コンサルティング会社ってどうなの?> 宿題代行型コンサルティング会社の中には、大手コンサルティング会社が含まれます。 発注する側からすると、大手の最大の良さは、一定以上の品質を期待できるということです。逆に言えば、宿題代行的に丸投げしても、一定以下の品質にはならないよね、という安心感があります。これは、大手コンサルティング会社もよく理解しています。 一方で、大手、つまりたくさんの社員がいるということは、社員の入れ替わりも激しいわけです。特にコンサルティング業界は、アップorアウト、昇格するか転職するかという文化が色濃くあるため、そこで勤務するコンサルタントは他社で上のポジションが空けば、容易に転職してしまいます。それは中堅のプロジェクトマネージャークラスや、役員陣も同じです。場合によっては、チームで他社に移籍することもありますし、チームで独立して別会社を作ることもあります。 そうなると、大手コンサルティング会社を運営する立場で考えると、相反するジレンマに悩まされます。顧客は一定以上の品質を望むので、一定を下回る品質を提供するわけにはいかない。しかし、報告書を作る社員はコロコロ入れ替わるので、アウトプットの品質が安定するとは限らない。 このジレンマ、矛盾を解くために、社員の能力ではなくて、「仕組み」つまり業務プロセスに品質を担保させるという考え方があり、それを採用する会社が多数存在します。 分かりやすく言えば、マクドナルドのフライドポテトです。どこの店舗で食べても、味は同じです。同じ店舗であっても、17歳の高校生が揚げても、65歳のシニアな方が揚げても味は同じです。これは、フライドポテトを作る「プロセス」が味を決めていて、作業者の能力値によって左右されないためです。もちろん、作業者の能力が足りずプロセスを守れないと、味は悪くなります。逆に言えば、プロセスさえ守って実行できれば、プロセスが味を一定程度担保してくれるということです。 大手コンサルティング会社としても、仕組みの強力な作用を使い、顧客が望むとおり、一定程度よりも品質が悪くならないように管理しようとします。つまり、コンサルティングに「パッケージ」をつくるということです。 新規事業のコンサルティングなら、このように進めていこう。 そういうふうになっています。 コンサルティング会社にお勤めされていた経験のある方なら、提案書を作成するときに過去の提案書を見たり、プロジェクト終了後に良かったことをベストプラクティスとしてチームに共有したり、逆に悪かったことを共有したりした経験があるかと思います。そのようなことを通じて、パッケージの精度を高めていきます。そして、そのパッケージ、過去の提案やベストプラクティスの範囲の中での実行が、意識する、しないに関わらず行われていきます。例外は、本章最後に記載します。 まとめるとこういうことです。大手コンサルティング会社では、社員が入れ替わったとしても、例えば新規事業開発など同種のプロジェクトで安定して同じ結果を出すために、コンサルティングのパッケージを作ります。そのパッケージの通りに進めていくと、一定の結果が出でます。これが仕組みの良さです。この仕組みの良さを使う、つまりパッケージの中で動ける社員なら誰でもいい、ということになり、転職されてしまっても問題なく、安定した品質の成果をお客様に届けることができるようになります。 さて、購入する側からするとどうしたものか、となるわけです 最後に例外をお伝えします。大手のコンサルティング会社は、求人情報を見ても分かる通り、課長クラスで〜1300万円ぐらい、役員だと1800万円〜で募集しているため、優秀な社員が多いことも事実です。そういった優秀な人間は、新しいパッケージを作り出したり、パッケージにはならないような一品ものを作ってくれたりします。いわゆるオーダーメイドです。 こういった優秀な人は人件費が高いため、年間の売上目標金額も高いです。つまり、提案される金額は、高い場合だと2~6ヶ月の1つのプロジェクトで数千万円になります。さらに高い場合、新規事業開発で、アイディア1つを検討するのに1億円というケースもあります。筆者の感覚としては、数百万円程度なら買わない方がマシだと思っています。(その程度なら、ググればある程度わかる) もう一つ難しい問題として、コンサルタントの優秀さと、サービスとして最高だと購入する我々が感じるかどうかは別の話だという点があります。高級なお寿司屋さんなら、どこに行っても同じかと言われると、そうではないよね、ということと同じです。どれだけ優秀なコンサルタントでも、担当者や役員・社長と合わなければやめた方が良いです。 しかし、そういった優秀な方で、かつウマが合えばぜひお付き合いする選択肢を検討ください。宿題代行的であったとしても、その結果を信頼でき、実行に至れると思います。 |
1-1-3.コーチング型コンサルティング
最後にご紹介するのは、コーチング型コンサルティングです。コーチング型コンサルティングは、コーチングとコンサルティングの良い面をそれぞれ合わせた、新しいビジネス業態です。
依頼した企業は、選手として試合に出場するイメージです。その試合に勝つために、選手=依頼者をどう育てていくかが、コーチの主な仕事になります。つまり宿題代行的に丸投げするわけではなく、自分たちごととして仕事を進めていく時に、より良い結果に至りたいという時に選択する会社になります。
「一般的なコーチングとは何が違うの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。一般的なコーチングとの違いは、ビジネスについて理解をしている人間が、コーチとして伴走するという点です。
通常のコーチングは、コーチングを受ける人のゴールを定めることから始まり、ゴールに向かって進めれば良いとされています。つまり育てるのは個人に限定されます。これは、いわゆるビジネスコーチングも同様です。ビジネスコーチングは、対象者がビジネスマンというだけで、個人的な目標を達成できるように、個人を育てるのが仕事です。そのため社長や役員会、法人格が求めるようなビジネス上の成果である利益に、直結するかどうかは不明瞭です。
一方で、コーチング型コンサルティングはより複雑な問題を解きます。社長や役員会、法人格が求めるようなビジネス上の成果である利益創出を大前提の目的として設定したうえで、担当者個人はもちろん、担当するチームや組織を育成していきます。単に個人を育てるコーチングとの違いは、こういった点にあります。
コーチング型コンサルティングの強みは、単に選択肢を提示するだけではなく、目的に応じて選ぶところまでサポートする点です。一般的にコンサルティングでは、ビジネスの中でも特定の領域、例えば経営やDX、新規事業の作り方の専門家が、クライアントのやりたいことを聞いて論点を整理し、選択肢を提示します。コーチング型コンサルティングではこれらに加えて、提示した選択肢を利益創出の範囲内で個人の目的に応じて選ばせるようにしていることが特徴です。
どの選択肢を選ぶのか。これはとても重要なことであり、尚且つ難しい点です。論理的に正しいことと、人間が求める正解は異なります。もし論理的なだけで人間にとっての正解を導けるのであれば、これほど簡単なことはありませんが、現実はそうではありません。そのため、担当者個人の思惑として何を目的としたいかや、意思決定者である社長や役員、またメンバーとしてもどうしたいのかといったウェットな部分を重視します。こういった部分を重視して意思決定を行うことや、検討したことの言語化を選手たる顧客に実行させることがコーチング型コンサルティングの大きな特徴です。
顧客がハンドリングするという点も、コーチング型コンサルティングの強みです。考えたことを文字にして文章として作り込むことで、漠然とした考えからしっかりした検討結果に至ります。部下を持ったことのある方ならわかると思いますが、文章は書く人の理解を正確に反映します。そのためコーチング型コンサルティングでは、「書く」ことを重要視し、あえて顧客に書いてもらいます。自身で作った内容であれば、コンサルタントが離れたあとも、そこまで積み上げた検討を実行することは容易くなります。
まとめると、コーチング型のコンサルティング会社は、半分コーチとして相手が欲しいことを整理しながら、手の届く範囲でできることをやっていくというイメージです。
家庭教師的に依頼者である企業の経営者や社員にできるようになってもらうことを通じて、試合で勝てることを目指します。
物事を判断したり考え、考えた結果を文章でまとめてもらったりする。そのために、前提となるような物事を教えたり、いろんな考える観点を提供したりします。「こんな視点で眺めるとこんな結果になるけど、別の視点から眺めると同じ問題であっても違う解き方ができるよね」といったような観点とその結果をいくつか見せながら、それぞれの選択肢を依頼した担当者自身に選択してもらいます。場合によっては、それとは全然関係ないものを担当者やそのチームで選んでもらってもOKです。このようなことをしながら、担当者の自分ごととして着実に前に進んでいくように導いてくれるのが、コーチング型コンサルティングです。
特にDXという文脈において、会社がやっている事業内容を大きく変えることも選択肢の1つとなっていきます。そうなってきた時に、何をやるべきか、何をやらないのかをちゃんと決めた上で、新しくやろうとしていることに対して、不安感を担当者や社員が抱くのであれば、その不安を取り除くような研修や実技訓練をしてあげて、安心させてあげることで会社の変化を助けてあげる。コーチング型コンサルティングの範囲はここまで含まれます。
<コーチング型コンサルティングまとめ>
強み | ・家庭教師的に自分たちの能力を引き上げてもらいながら、自分たちがハンドリングできる範囲で物事を前に進めて利益を上げることができる ・経営者や社員の能力を上げることができる |
弱み | ・学ぶ姿勢がないと厳しい ・ただ単に指示に従えばいいものではなく、自分たちで動かないといけない ・自分たちの能力を過大評価していたことがわかると、1回は基礎的なことからやりなおすことになる場合もある(ただしこれがないとできるようにならないため、重要な段階) |
コーチング型コンサルティングが おすすめの企業 | ・自分たちの能力を引き上げて欲しいと思っている企業 ・自分たちでハンドリングしたい企業 ・担当者が責任を果たさず、お金を使って他社に丸投げすることを嫌う社長や役員のいる会社 |
1-2.そもそもDXとは
DXは、Digital Transformationの略です。Transformationの「Trans」をXと表すことから、DXと略されています。
Transformationの意味は、生物学用語で「変態」です。毛虫が蝶々に変わるような、全く違うものになることを意味します。
つまり企業においては、組織体制、判断基準、働き方、スキルなど、全てがガラッと変わるイメージです。なぜこれらを変えるのかというと、売るものや、売り方が変わるからです。
経済産業省が発表しているデジタルガバナンス・コード2.0(2020年11月策定、2022年9月改訂)によると、DXは以下のように定義されています。
経済産業省によるDXの定義 |
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データやデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること |
参照:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」
上記を読み解くと、DXとは、
他社との競争に勝つために、売るもの、売り方をお客様が買うものに変える。売るもの・売り方が変わるから、当然業務のやり方も変えてね。このご時世、業務には当然デジタルを使ってね。
ということだと解釈できます。
「競争に勝って生き残るために、新規事業を始めるとともに、業務改革や組織改革を進め、人に役立つデザインを常に意識しながら、ITやデジタルを活用しましょう。」
これがDXです。
1-1で紹介した3種類のコンサルティング会社のうち、下記の2つは自分で考えることを諦めた場合の選択肢であり、長続きはしにくいです。
・システム導入コンサルティング会社
・宿題代行型コンサルティング会社
そもそも彼らに頼ることで会社が変えられるのなら、みなさんは今、DXをしなければいけない状況には陥っていません。本気でDXをしようと思うなら、自分達が変わらないといけないので
・コーチンング型コンサルティング
にDXを支援してもらう必要があると認識してください。
また、もし社長や役員会が本気でDXをしないのであれば、数千万円で楽しい読み物を書いてもらったり、よくわからないシステムを購入して利用方法の研修の日程を調整したりするといったことは不要です。
なんちゃって系DXとして、やっている感が出れば十分です。ぜひ肩の力を抜いてください。金額の安さだけでベンダーを選んでいただいて大丈夫です。現状から変わらなくても会社は倒産しないと思っているなど、社長・役員会が本気ではないのであれば、なんちゃって系DXも、1つの立派な選択肢となります。
一方で、このままだと法人がなくなるという危機感のある方達は、自分自身や社員が変わるために必要なことは何かを考え抜き、依頼する先を決定してください。
2.DXコンサルティングの実際の事例
DXコンサルティングでは、具体的にどのようなことをしてもらえて、どのような成果が得られるのでしょうか?このことについて知るためには、実際の事例を把握するのがいいでしょう。
前章の最後で、本気でDXをしようと思うなら、コーチンング型コンサルティングにDXを支援してもらう必要があるとお伝えしましたが、コーチング型コンサルティングでは、どのようなことをしてくれるのでしょうか?ここではコーチング型コンサルティングであるBeth合同会社で実際にあった4つの依頼の事例をご紹介していきます。
・大手企業からの「第2の利益柱が欲しい」という依頼
・大手企業からの「新規事業のコーチングができる人材が欲しい」という依頼
・行政(三重県伊賀市)からのDX推進の依頼
・中小企業の社長からの依頼
なお、コンサルティング業務には守秘義務があるため、具体的な社名は掲載しません。
<Beth合同会社の紹介> 設立:2020年7月 代表:河上 泰之 所在地:東京都 DXや新規事業を中心に、事業を展開するコンサルティング会社。自動車会社、損保会社をはじめとする大手上場企業から中小企業、行政まで、幅広く支援を行っている。また、新規事業の創出やデザイン思考の組織への導入など、分野も多岐にわたる。 業績 掲載 |
2-1.大手企業からの「第2の利益柱が欲しい」という依頼
大手企業での事例では、既存のシステムを入れ替えるという単純な話ではなく、「第2の柱が欲しい」という依頼がありました。要するに、売上げの第2の柱が欲しいという相談です。
大きな話になりますが、日本最高峰の自動車会社とは、どうしたら10兆円くらいの産業を作れるかという議論がありました。新しい産業を生み出すような他社も思わず引きづられて参入するような事業をつくりだすという挑戦です。
新規事業の依頼の場合は、主に以下のようなことについて、自分で考えて行動できるように指導します。
・新規事業の考え方
・新規事業の業務の進め方
・業務の設計
・社員が動けるように新規事業ってそもそも何を考えるのかリーンキャンバスの9つの項目の解説
・体として理解できるようになるために何か書いて練習
・現実世界の中で生身の人間が買ってくれるためのデザイン思考の講座
特にデザイン思考の分野は、Beth合同会社の得意分野で、社会人向けオンライン学習コミュニティ「Schoo(スクー)」でのデザイン思考の講座「実況解説 デザイン思考」は、デザイン思考ジャンルの人気順で1位を獲得。2位の評価と比較して4倍強の支持を集めています。デザイン思考という新規事業を作るときの考え方を伝えるのは、日本最高峰レベルで上手いと言っていいでしょう。
Beth合同会社の場合、人を育てる時に、デザイン思考のやり方を伝えて、実際に社員に動いてもらいます。担当者に顧客候補っぽい人の声を聞いてきてもらい、インタビュー結果を一緒に見ながら、どんなことをやったらお金になりそうかを考えたり、そもそも考えている検討範囲がずれていそうだったら、一緒に新たなビジネスアイデアを作ったりします。アイデアをコンサルティング会社が作ることもできますが、そうすると大きな話にはなるが、そのアイデアを信頼できないことがあります。
そうではなくて、担当者1人1人が目の前にいるお客さん候補の話を聞きながら、
「こんなアイデアだったらお金になりそうだ。」
「目の前にいる顧客候補は欲しいって言っている。」
と、自分で声を聞き、自分で見た方が、嘘ではないと思い込んでアイデアを作っていくことができます。出てきたアイデアはそのままでは業務に繋がらないので、業務のアイデアに落としていき、新規事業のアイデアを顧客に当てて検証したものを作って、実行するところまで支援を行います。
こういった支援を見ている役員からは、「我が社の社員が自分で見込み顧客に電話をしている姿を、実際にこの目でみた。これまでは自分たちで話を聞くといったことはなく、調査会社に投げたレポートを読んでいたが、それとは全く違う。担当者の表情も違う。事業案を作り込んでいく姿を誇らしく思う。安心して任せられる。」といったコメントを得ています。
また現場の担当リーダーからは「実際に顧客候補の話を聞き、顧客側の価値観でアイディアを考えると自分が思っていたこととは全然違う。話を聞かずに売り出したらどうなっていたかと思う」「研究所でも似た分野を検討していたため話をきいた。そうすると、研究として価値があるから研究をしているという姿勢で、売れるかどうかという観点が極めて希薄だった。顧客候補の話を聞き、買うといってくれたアイディアを研究していくという我々のスタイルとの違いが鮮明に理解できた」といったコメントを得ています。
このように、利益に直結するような方向性で社員や担当者が変わることで、大きく会社を変えていけることがコーチング型コンサルティングであるBeth社の良さです。
2-2.大手企業からの「新規事業のコーチングができる人材が欲しい」という依頼
大手損保や大手自動車会社では、新規事業のコーチングができる人材を育ててほしいという依頼もあります。また、大手カード会社関連企業でのご依頼は、Beth社の代表である河上氏のコピーを育てる、ということでした。実際に社員を育成していく過程にて、担当いただいている方からは「河上ジュニュアたちをさ〜」という言葉がでています。
2-2でお伝えしたデザイン思考について、社内で教えられる人材がいれば、新規事業をどんどん作っていけるようになります。また研修を買い続ける必要もないため、Beth社を卒業できます。
Beth合同会社では、単にコーチング型コンサルティング業務をするだけにとどまらず、人材を育成することで、顧客内でOJTができるようになるためのコーチングの内製化も行ないます。実際に長野県庁とは、「かわる」と「かわかみ」の2つから「かわ」をとり、かわ研というバーチャル組織を運営しています。この中で、デザイン思考の研修を提供できる人員の育成を進めています。
新規事業のコーチングを行える社員を育成するためには、先にもお伝えしたようなプロセス=仕組みの力を使います。
仕組みの力があれば、コーチが初心者マークでも、プロセスさえ守れば一定の品質以上の結果をだすことができます。マクドナルドのポテトがどこのお店で食べても美味しいのと同じです。
まずはそういった仕組みの力を使いながら、2~3件ビジネス案のコーチをすると、徐々にプロセスになれてきて、10~20件もコーチをすれば成熟します。そうすると、ビジネス案ごとに事業検討の進め方、プロセスを調整できるようになります。
そういったビジネス案を他の社員と育てるメンターが、あなたの会社に3~10名いたらどうでしょうか。これほど心強いことはないと思います。またコンサルティング会社を雇い、都度数千万円支払う必要もなくなるのではないでしょうか。
2-3.行政(三重県伊賀市)からのDX推進の依頼
三重県伊賀市は、人口9万人ほどの自治体です。
Beth合同会社代表の河上氏は自治体との仕事も多く、伊賀市役所では「市役所のDX」を支援しています。伊賀市を1日でも長く存続させることを目的に、DXを推進しています。
「1日でも長く存続させるために、ITって何を使ったらいいのか?」
「そもそもDXとしてどのようなことをやったらいいのだろうか?」
計画の策定から、実際に進めていくときのありとあらゆる壁打ちを行いました。伊賀市には人事や総務、保育、病院、消防など課室が100個程度ある中、毎週持ち込まれる相談事を1つ1つ解決しています。
何か相談事を持ち込まれると、「そもそもなんでDXをやるんだっけ?」ということ、「存続する日を1日でも長くするため」を判断基準にして、何を議論し具体的にやったらいいのかについて、90分の相談枠内だけで整理し、選択肢に落としていきます。そういった選択肢が、現場の人が前に進むための手がかりになります。
例えば、「健康管理を支援するためにがん検診などを行っているが、その受付を電話で行っているので大変」という漠然とした相談がありました。これに対しては、
・webアンケートツールでの募集に変更する
・電話で市民から申し込みを受けたとしても手元では紙にメモするのではなくwebアンケートツールに入力することで情報管理を容易くする
という提案をするとともに、
・そのためにDX推進担当に何を依頼するべきか・依頼にあたって自分自身が行った方が良い準備は何か
といったことまで細かく選択肢を行動レベルまで落とし込んでいきます。ここまでを90分の枠内で行えることが、河上代表への依頼がある理由の1つです。社内で誰に電話すれば良いかがわかるところまで細かく落とし込めると、担当者は前に進むことができます。実際にこのwebアンケートツールへの移行は進んでおり、業務負荷は下がっているということです。
DXにおいて、DXを通じてどのような成果を得たいのか、つまり「DXの目的」が、すべての物事を判断する物差しになります。物差しであるためには、具体的である必要があります。
例えば伊賀市では「伊賀市を1日でも長く存続させることに、検討中のXXXの案は役にたつのか?」といったことを真剣に議論します。また別の局面では、「このアイディアは既存の事業のKPIのどれを向上させることに役にたつのか。そのKPIを向上させることは、その会社独自に定めた固有の「DXの目的」を果たすために役にたつのか。より役にたつようにアイディアを練り直すとしたら、顧客候補をずらした方がよいのではないか」といったように議論を進めていきます。
そのため「DXの目的」は、本気でDXをするためには必須です。どうしてDXをするのか、整理さえも外注する、丸投げするならDXなんてやらなければいいと言えるほどです。「どうしてDXをするのか」については、企業、自治体関係なく、必ず明確にして進めます。
2-4.中小企業の社長からの依頼(一般的なコンサルティングの依頼)
中小企業からの依頼の多くは、雑談から始まります。
「DXをやるべきかどうか。」
「うちの会社はどうしていけばいいんだろう。」
「何を基準に物事を判断すればいいのかがわからない。」
「会社を変えていくと決める時、どうやって腹を決めればいいの?」
まずは個人的な感情を落ち着けて整理するための雑談をして、会話のパートナーになることから始めます。
続いて、その企業がDXのどういう状態にいるのか、一定期間で何を手に入れていきたいのか、ということを明確にしていきます。
DXコンサルティングは、基本的にプロジェクトで動くものです。プロジェクトとは、「一定の期間の間に一定の成果を得るための活動」ですから、現状の把握と何を手に入れたいのかを決めることは、とても大事なことです。
それがないと、そもそもDXのコンサルティング会社って何をやっているのかわからない、と言ってもいいでしょう。
ただし、いくつかのステップがある中のどこを一緒に走っていくのか、一緒に走る所がそれぞれの企業で違います。DXの進め方は、以下のようにステップに沿って進めます。
<DXの進め方>
1.準備運動(社長は個人としてやりたいことを自問自答する) 2.法人を変えなければいけない経営者としての理由を明確に持つ 3.DXの自社なりの定義を定める 4.目的次第で、自社のビジネスの完全コピー版の創業し直しをするか、新しいビジネスで稼ぐことを目指す 5.法人としての姿、形が変わる中で、その法人は何をする集まりなのかを再定義する 6.人事制度を新しい会社に合わせて作り直し、新人や中途を新しい方針に合わせて採用していく |
もっと詳しくDXの進め方について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【地雷は踏むな】DXの失敗事例4選|DX失敗で共通する理由とは
DXをやらなければいけない、でも何をやったらいいかわからない場合は、「DXをやらなければいけない理由は一体なにか」を明確に文字で書くことから始めます。
DXをやらなければいけない理由を明確にすることはとても重要です。文字で書くことができなければ、これからありとあらゆることをやるときに困るからです。
例えばシステムを入れる時に、理由が明確ではないと、現場部門からの「どうしてシステムを入れるのか」という単純な質問に答えることができません。それに答えられないと、ただでさえ現状から変わることを嫌う社内の人の理解を得られないので、なんでDXをしないといけないのか、納得させることができず苦労します。
目的が明確になったら、ゴールまでのロードマップやDXのざっくりとした計画を作ることができ、その上でシステムの更新が必要な場合は、システム会社に発注する、という方向に進んでいきます。
新規事業に関しては、完全に社員の人の能力に準拠して進めます。「コンサルの人がまとめたレポートなんですよね」と言って、社員が内容を理解できない、なんてことにならないようにするのが、コーチング型コンサルティングの良さです。
このように、コーチング型コンサルティングでは、話を聞きながら、DXをするかしないかということも含めて方向性を導き出し、その会社の状況に合わせて目標を設定し、一緒に考えながら進めます。
3.DXコンサルティングを外部に依頼することのメリット
DXコンサルティングを外部に依頼することのメリットとデメリットを把握すると、自社がDXをコンサルティング会社に依頼するべきかどうかを判断するのに役立ちます。
1-2.でもお伝えしましたが、本気でDXをしようと思うなら、自分達が変わらないといけないので、コーチンング型コンサルティングにDXを支援してもらう必要があることから、ここではコーチング型コンサルティングに依頼するメリットをお伝えしていきます。
コーチング型コンサルティングにDXコンサルティングを依頼するメリットは、主に以下の3つです。
・自分が考えていることを整理するための話し相手ができる
・自社独自の目的を一緒に定義してもらえる
・自分で考えて行動できるようになる
それぞれ見ていきましょう。
3-1.自分が考えていることを整理するための話し相手ができる
コーチング型コンサルティングに依頼すれば、壁打ち的に会話して、自分が考えていること、頭の中の葛藤を整理することができます。
DXコンサルティングを依頼するかどうか迷っている人は、
「そもそもDXを進めるべきか判断できない」
「どうすればいいかわからない」
といったような、漠然とした不安や葛藤を抱えているのではないでしょうか。
DX人材の不足は深刻で、特に中小企業においては、DXに関する正しい知識を持っている人が社内にいない場合が多く、DXについて相談できる人がいないことがほとんどです。
例えば、やりたいことがたくさんあるけど考えがまとまらない場合には、コンサルタントが話を聞いて、うまく整理してくれます。
その中で、ITの知識が必要だとわかれば、ITの知識を勉強すればいいだけのことです。日本国が、国家として独立行政法人IPAにて整備・提供しているITパスポートや基本情報技術者は非常によくできています。基礎としてこれらを学ぶだけで相当なことがわかるようになり、ベンダーとの会話が噛み合うようになります。ちなみに、ITパスポートや、基本情報技術者試験は国家試験ですので、どこかの会社が儲かるような内容ではなく、本当に一般的な基礎知識を提供してくれています。
※ITパスポート試験について詳しくは、こちらのページをご覧ください。
基本情報技術者試験について詳しくは、こちらのページをご覧ください。
IT程度の知識に関しては、コンサルタントの意見を聞いて動くというスタンスや、コンサルティング会社に全て教えてもらおうというスタンスは、正しいとは言えません。
ITの知識は、ITパスポートや基本技術者試験について勉強すればそんなに難しい話ではなく、それがわかっているだけで、システムを発注する側に必要なことは多少見えてきます。そこすら勉強せずにデジタルを使おうというのは無理があり、それだったらDX自体をやめておいた方がいいかもしれません。ベンダーにとって都合のいい顧客になるだけで、会社の利益は増えません。
そうではなく、基本的な知識を身につけた上で、専門家を使い倒すという観点で、DXコンサルティング会社と会話してみてください。
3-2.自社独自の目的を一緒に定義してもらえる
自社独自の目的を一緒に定義してもらえるのは、コーチング型コンサルティングに依頼する大きなメリットです。
1つの会社の中には様々な部門があり、それぞれの部門で言うことが異なり意見がまとまらないことが多々あるからです。コーチング型コンサルティングに依頼して外部の人間を入れることで、フラットな雰囲気を醸し出しながら目的を決めていくことができます。
ただし、目的を決めるだけ決めておいて、忘れる会社も意外とたくさんあります。せっかく目的を決めても、忘れてしまっては意味がありません。コーチング型コンサルティングを依頼すると、目的を常に意識することができるメリットもあります。外部の人間は、ことあるごとにありとあらゆる場面で目的に従って物事を判断します。そのため、内部の政治や内部の人が独自に受ける影響を排除して、目的に従っていろんなことを整理したり、判断のサポート*をしたりしてくれます(*サポート:目的にそぐわないような判断をしそうになっていたら止めてくれるなど)。
このように、コーチング型コンサルティングを依頼すると、目的を一緒に定義してもらうことができるし、その後も一緒にその目的を使いながら、物事を判断してもらうことができます。
3-3.自分で考えて行動できるようになる
これはコーチング型コンサルティングに限定して言えるメリットですが、外部に依頼することで、どの方向に進めばいいのか、どのように進めればいいのか、何をすればいいのかなど、DXを推進するために必要なことを自分たちで考えて行動できるようになります。
つまり、社内の人材の能力が向上するので、いつか「コンサルティングを依頼する」ということから卒業できるようになります。
そもそもDXは、IT化とは異なります。業務をデジタル化してコスト削減や効率化すれば成功できると思っている人もいるかもしれませんが、そんなに簡単なものではありません。DXを絶対にやり切るという強い意志のもと、目的を定め、手段を選び、創業し直すような覚悟を持ってするのがDXです。これ以外のなんちゃって系DXであれば、そこまでシビアに行う必要はなく、「なんちゃって」なのだとしたら現業を優先したほうが良い場面がたくさんあることでしょう。
そのため、DXについて何をどうしていいのかさえもわからない企業が、自社だけで進めるのはかなり難しいと言えるでしょう。
もちろん、宿題代行型コンサルティング会社に依頼すれば、次に何をすればいいのか、何を考えるべきなのか、正しい方向に進めるように導いてもらえるので、自社だけで進めるよりも断然スムーズに進みます。でも、自分たちで考えて行動できるようになるかというと、それは期待できません。つまりコンサルティングに依頼することを卒業できる日は来ない、ということです。
DXコンサルティングを外部に依頼する
=DXを推進するための能力を身につけることができるコーチング型コンサルティングに依頼する
これこそが、DXコンサルティングを外部に依頼するメリットを最大限享受する最良の方法ではないでしょうか。
もし不安であれば、併せてこちらの記事もお読みください。
【地雷は踏むな】DXの失敗事例4選|DX失敗で共通する理由とは
4.DXコンサルティングを外部に依頼することのデメリット
DXコンサルティグを依頼するデメリットはなんでしょうか?主なデメリットは、以下の通りです。
・高額な料金に見合う成果を出せる保証がない
これはコーチング型コンサルティングに限らず、DXコンサルティングを外部に依頼する際の問題でもあります。依頼するか見極めるために、把握していきましょう。
4-1.高額な料金に見合う成果を出せる保証がない
DXコンサルティングの費用は、高額な場合がほとんどです。数百万では安い方で、数千万という高額になる場合もあります。
よく費用対効果について心配する声があります。これは正しい心配です。確かに、コンサルティングの依頼は高額な費用を払えばその分成果を得られるというものではありません。なぜなら、その料金に見合った成果が出せるのかは、コンサルタントと作り上げた計画を実行するかどうかにかかっているからです。
これは宿題代行型コンサルティング会社に特に言えるとこですが、本を買うだけ買ったり、参考書を買うだけ買ったりしても何も身につかないのと同じで、コンサルティングを依頼しても、コンサルティング会社に言われたことや作ってくれた計画書を実行しないと何も意味がありません。実行できるかどうかで、費用対効果は変わります。というか、実行しないことには分厚い紙の資料が残るだけで、依頼した企業の利益は1円も増えません。
コンサルティング会社に依頼するのであれば、言われたことを全部鵜呑みにして全部実行するのが一番重要なことになります。適当に一部分だけピックアップして実行すると、構造上崩壊して何の結果も出ないということが起こるので、コンサルティングを依頼する際は、丸呑みするつもりでやってください。
丸呑みは怖いし、宿題代行みたいに自分たちの能力が衰えるのは困る。
そういう方は、最大数千万円かかりますが、コーチング型コンサルティングを検討してみてください。
5.DXコンサルティングを依頼するべき企業
DXコンサルティングを依頼するべき企業は、どのような企業なのでしょうか?以下に該当する企業は、依頼することを検討した方がいいでしょう。
・経営者がDXに対する考え、目的を整理できない企業
・自社単独でDXを進めるのが難しそうな企業や、3〜5年DXを継続しているが、結果がでていなくて焦っている企業
当てはまる企業は、DXコンサルティングにを頼すると、DXを円滑に推進できる可能性が高いです。
5-1.経営者がDXに対する考え、目的を整理できない企業
経営者はもちろん、経営会議でDXに対する考え、目的を整理できない企業は、DXコンサルティングを依頼するといいでしょう。
コンサルタントと対話して頭の中や物事を整理することで、考えをまとめることができるからです。
例えば、考えがいくつもあったり、漠然としていたりする場合は、コンサルタントに話を聞いてもらう中で、考えがまとまったり、漠然としていたものが明確になっていきます。
腹心の担当者と経営者の間でうまく腹落ちせずモヤモヤする場合も、DXコンサルティングを依頼することで結果が出るでしょう。
5-2.3~5年取り組んだが結果がでず、自社でDXを進めるのが難しそうな企業
経営者にDXに関する知識がない場合や、社内にDXの知識がある人がいない場合など、自社でDXを進めるのが難しい場合には、DXコンサルティングを依頼するのがおすすめです。
DXコンサルティングを依頼すれば、
・進むべき方向や進め方などを教えてもらえる(宿題代行型コンサルティング)
・進むべき方向や進め方などを自分で考えて行動できるようになる(コーチング型コンサルティング)
からです。
例えば宿題代行型コンサルティング会社の場合は、1から10まで指示してもらえるし、コーチング型コンサルティングを依頼すれば、一緒に考えながら並走してもらえます。
自分で考えるのを諦めて、尚且つハンドリングすることも放棄する場合は、宿題代行型コンサルティングがおすすめです。ただし、長続きしないことが懸念されるほか、自社の社員が育たないなどのデメリットもあるので、選択する場合はもう1度「1-1-2.宿題代行型コンサルティング会社」に目を通してください。
自分たちの能力を高めて自分たちで前に進みたい人や、自分たちがハンドリングできる範囲で物事を前に進めて利益を上げたい人は、コーチング型コンサルティング一択です。ただし、学ぶ姿勢が必要なので、覚悟を決めて依頼してください。
まったく知識がない人でも、100冊くらい本を読み漁れば、自力でDXを進められます。しかし、それでは不安という人が多いはずです。他社の話や事例を聞きながら自分たちなりに腹落ちしながら進めたい、であったり、複数人で会議の中で、「確かにそうだよね」とみんなで思ったりするためには、外部の人と話すことがとても有効な場面もあります。ぜひコンサルティングを依頼してみてください。
6.DXコンサルティング会社を選ぶ際の注意点
あなたがDXコンサルティングを依頼すると判断した時のために、DXコンサルティング会社を選ぶ際の注意点をお伝えします。注意点は、以下の3つです。
・ITツールやシステム導入の話ばかりするコンサルティング会社は要注意
・DXコンサルティングに依頼すればDXが成功すると言う会社は要注意
・コンサルティング会社は安ければいいというわけではない
適切なコンサルティング会社を選べるように、しっかり把握していきましょう。
6-1.ITツールやシステム導入の話ばかりするコンサルティング会社は要注意
ITツールやシステム導入の話ばかりするコンサルティング会社には、注意しましょう。
DXの目的は、ITツールの導入やシステム導入ではありません。ITツールやシステム導入はあくまでも目的を達成するための手段です。
そもそも経営の話もなくツールを入れたところで、目的もなく道具を買ってもしょうがないということになります。
目的の話もそこそこに、ITツールやシステム導入の話ばかりするコンサルティング会社は要注意なので、依頼するのはやめましょう。
6-2.DXコンサルティングに依頼すればDXが成功すると言う会社は要注意
入り口から「ご依頼いただけたら、必ずDXを成功させます!」なんてことを言うコンサルティング会社には、要注意です。
DXの推進は、コンサルティング会社に依頼すれば成功するような簡単なものではないからです。自社が変わろうという意識を持って取り組むことが重要なので、「一緒に考えましょう」というスタンスの方が信頼できます。
コーチング型コンサルティング会社で特に要注意なのは、「理想的な状況を定めるとそこに向かって進めるようになるのでやりましょう。まずはゴールを探しましょう。」と言う会社です。
そんな程度のことで人間が変わるのであれば、誰も苦労しません。目標を定める程度で人が動いて結果がでるのなら、誰しもが東大に入っているし、1on1の面談で定めた成長目標を誰しもが達成していて問題なんて存在しないわ、という話です。
冷静に個人の感覚に立ち返って考えてみると、我々人間が行動をとるときは、現状のままでいると不愉快だと判断した時です。暑い中に立っていると暑くて不愉快なので、涼しいところに移動する、これです。
正確かつ品質の高いコーチング型コンサルティング会社を見抜くためには、理想的な状況を定めることの効能を理解できるように説明してくれるかどうか、で判断できます。
例えば私ならこのように説明します。
「理想的な状況を定めることの効能は、現状を不愉快だと解釈できるようになるための1つのきっかけを与えることができることです。
つまり解釈するきっかけを与えるだけで、現状が不愉快だと判断できるかどうかは別だということです。
詳しく説明すると、理想的な状況を定義し、それを達成するためには現状を変えないといけない。現状のままでいるのは嫌だと思い始めることが前提条件ということです。
設定した理想的な状況を手に入れたいと決めたとき、はじめて現状のままでいることが不愉快になり、現状が不愉快になったのでようやくその人は変われるようになります。
また定めた理想が法人にとっては理想的でも、担当者や社員にとって現状のままでいることが不愉快になるような理想ではなければ、人は動きません。人が動かなければ、当然、会社は変わりません。人間である担当者や役員、社長が、現状のままでいることが不愉快だと解釈できるようになるための1つのきっかけとして目的目標を定めるのであって、目的目標を定めたら自動的に人が動くなんていうことはありません」
現状が快適でそもそも変わろうとそんなに思っていないのに、コンサルティング会社に依頼すれば、変わりたい気持ちになって変われるのではないかと思っているとしたら、大いなる勘違いです。それはお金をドブに捨てることになるので、絶対にやめましょう。
現状が不愉快で変わりたいとおもっているが、どの方向にどれくらい進めば良いのかがわからない。そういった場合には、コンサルティング会社に依頼するといいでしょう。
6-3.コンサルティング会社は安ければいいというわけではない
コンサルティングを依頼する場合、基本的には高いお金を払った方がいいと言えるでしょう。コンサルティングは、素人でも名刺に「コンサルタント」と記載すれば始められるお手軽な仕事です。なので、転職したり、新人1日目でもコンサルタントを名乗れたりするのです。
ケチって、実は専門書を1冊読んだだけの素人を先生として仰ぐくらいなら、依頼しないほうがマシです。
でも、普段から付き合いがないと、コンサルティング会社を見極めるのは難しいですよね。見極めができないと、人は何をするかというと、値段を見ます。値段を見ると、安いところにしようと判断しがちですが、これは良くありません。よくわからないのであれば、値段が高いところにした方が無難です。これは明確にそうです。
ちなみに、DXコンサルティングの相場は、コンサルティングの規模(期間と投入されるコンサルタントの人数)によりますが、1名のみ着任した場合でも毎月2~3百万円です。複数人複数ヶ月の場合は、容易に数千万円になります。これが複数年になると、数億円です。
ここまで言う会社は少ないとは思いますが、この記事をここまで読んだあなたの成功を願って、もっと生々しく説明すると、おおよそ、係長課長クラスのコンサルタントでは1時間あたり2~3万円で提案されます。新卒の初日でも1時間あたり1万円強で提案されます。そのため、課長相当が1名、新卒~3年目が2名の合計3人のプロジェクトだと、1日あたり864万円です(1ヶ月あたり20日稼働するとして、3*8*20+1.2*8*20*2=864)。課長相当の人間の稼動を1ヶ月辺り20日間分ではなく、半分の10日間に落とすと624万円になります(3*8*10+1.2*8*20*2=624)。コンサルティング業界では、稼働率を調整すると表現します。先の例では稼働率50%です。ちなみに、稼働率が50%ということは、その課長相当の人は、別のプロジェクトも同時並行で行うことが前提となります。稼働率30%なら掛け持ちが3件になる、そんなイメージです。ちなみに、各コンサルタントが給料としてもらっている金額はもっと少ないです。あくまでもコンサルタントの売値です。
戦略などはわからないシステムエンジニア(SE)でも、SEとして優秀で高い人だと1人あたり1ヶ月20日稼働で月400万円程度です。リーダーの指示に従って働く作業者レベルだと150~200万円/月ということもあります。これぐらいの金額感が、当たり前の世界なのです。
このご時世、安い値段でしか売れないコンサルティング会社や、提案時に値引きを依頼したら値引きに応じるようなコンサルティング会社は、はっきり言って異常であり、依頼するのは危険です。新規事業の専門家として断言しますが、値引きしてまでも受注したいということは、そもそも売れていないことの裏返しです。
そんなところにお金を払うくらいなら、自社の社員との懇親会費や、社員の家族の慰労などとしてお金を使うことをお勧めします。
弊社、Beth合同会社のコンサルティング費用は、以下のように設定しています。 ・DX/新規事業の顧問:120万円〜/月 上でお伝えしていた相場と全く違うじゃないか!と疑問に感じた方もいると思いますが、弊社がこの価格で、良質かつ結果が出るコーチング型コンサルティングを提供できるのには、2つ理由があります。 1つ目の理由は、稼働する人数です。弊社ではチームを組まず、基本的に代表河上のみで対応します。そのため、人件費を削減できます。もちろん、1人で対応するからといって、品質に何ら影響はありません。 2つ目の理由は、稼働する時間の短さです。代表河上には、短時間の打ち合わせで具体的な行動まで落とし込める能力と経験があります。2-3.伊賀市の事例でもお伝えしましたが、週に1回の打ち合わせなら、90分程度で具体的な行動まで落とし込むことが可能です。もちろん、週に90分しか稼働しないわけではなく、顧客と会話していない時は準備をしていますが、それでも1ヶ月に20日も稼働せず、多くても5日間40時間程度の稼働で、確実に結果を出すことができます。 そのかわり、弊社のコーチング型コンサルティングでは、甘やかすようなこと、怠けさせるようなことはありません。もちろん、宿題代行型コンサルティングのように、単に答えを教えて導くようなこともしません。本気でDXを推進したいと思っている企業の方、本気で変わりたいと思っている企業の方は、ぜひ1度お気軽にお問い合わせください。 |
7.まとめ
本記事では、DXコンサルティング会社を3つの種類に分類した上で、DXコンサルティングについて詳しくお伝えしました。最後に、DXコンサルティングを外部に依頼するメリットデメリットをおさらいしておきましょう。
DXコンサルティングを外部に依頼するメリットには、以下のようなメリットがありました。
・自分が考えていることを整理するための話し相手ができる
・自社独自の目的を定義してもらえる
・自分で考えて行動できるようになる(コーチング型コンサルティング限定)
DXコンサルティングに依頼するデメリットには、このような点がありました。
・高額な料金に見合う成果を出せる保証がない
まだDXコンサルティングに依頼するかどうか迷っている場合は、専門家との対話からはじめてみるのはいかがでしょうか。お気軽にBeth合同会社までお問い合わせください。