【地雷は踏むな】DXの失敗事例4選|DX失敗で共通する理由とは

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私が書きました 河上 泰之

「DXの失敗事例についてできるだけたくさん知りたい。」
「DXの失敗事例から、推進するためのヒントを得たい」

このようにお考えではありませんか?

DXの失敗事例から成功の鍵を学びたいと思う人は多いと思います。

本記事では以下の4つのDXの失敗事例について紹介をしていきます。

本記事で紹介するDXの失敗事例
・JTB〜顧客が求めるものが見えていない事例〜
・毛呂山町〜DXはシステムを導入することだと思っていた事例〜
・東京都〜何のために存在するか明確になっていないため競合相手が見えていない事例〜
・三越伊勢丹ホールディングス〜そもそも組織に問題がある事例〜

現状、DXが失敗に終わっている企業、または中途半端な状態で止まっている企業が数多くあります。

まずは失敗事例から、なぜ企業がDXに失敗してしまうのかについて読み解いていきます。

ただし、事例を読み解いてDXに失敗する理由を知るだけでは成功の確率をさほど上げることはできません。重要なのは、「失敗とはそもそも何か」「成功失敗以前に自社のDXには問題がないか」という点について考え、正しいDXの推進方法でDXを進めることです。

そこで本記事では、以下のことについてお伝えします。

この記事でわかること
・DXの失敗の事例
・事例から読み解く!なぜこれだけの企業がDXに失敗し続けるのか
・そもそもDXにおける失敗とは
・失敗しないためのDXの進め方

この記事は、今貴社が行っているDXが正しい方向に進んでいるのかを測るものさしとしてご活用いただけます。また、もし間違っている場合には、失敗しないためのDXの進め方を把握することで、正しい道筋を見出すことができる内容になっています。

ぜひ最後まで読み進めてください。

1.DXの失敗事例4選

DXの失敗にはさまざまなケースがありますが、ここでは原因が異なる4社の失敗事例をご紹介します。

DXの失敗事例
・JTB〜顧客が求めるものが見えていない事例〜
・毛呂山町〜DXはシステムを導入することだと思っていた事例〜
・東京都〜何のために存在するか明確になっていないため競合相手が見えていない事例〜
・三越伊勢丹ホールディングス〜そもそも組織に問題がある事例〜

それぞれの事例をみていきましょう。

1-1.JTB

出典:JTB公式ユーチューブ

JTBがDXに失敗した原因

2021年に発表されたJTBのバーチャル観光事業。日本をバーチャル上で再現する壮大なプロジェクトで、観光はもちろん、買い物や交流などを楽しめるというものです。

しかしこの事業、発表後はSNSを中心にそのクオリティやセンスに対して厳しいコメントが相次ぎました。2021年4月から日本以外のアジアの地域で会員を募り、将来的には日本での会員登録も可能になると言う計画が発表されていましたが、2023年2月時点では、日本での会員登録は開始されていないようです。

この壮大なプロジェクトが失敗した理由は、顧客がなぜ買うのかという点について考えず、メタバースという流行り言葉に乗ってしまった点にあります。

「これからの時代はメタバースがくる」と言う触れ込みを使って商売している人に、「儲かりそうだ」と言われてメタバースがよさそうと判断し、なおかつ政府の補助金を使って身銭を切らずにちょっとやってみようとやってみた結果、失敗したJTB。

・これをやったらなぜお客さんが使ってくれるのかという理由を考えなかった
・誰かが儲かるといっているから着手した
・政府が補助金を出しているからこの方向で間違っていないに違いないと判断した

加えて、バーチャル空間上の人物のCGについて、社長のCGは綺麗なのに、お客様のCGのクオリティは低いという有様で、どこを見て仕事をしているの?と疑いたくなります。(左がJTB社長、右がお客様)

参考:JTB公式ユーチューブ

要するに、顧客を一切見ないで、誰かが言ったからやったのがJTBのDXであり、「自分の意志の欠如」が、JTBのDX失敗の原因と考えられます。

1-2.毛呂山町

毛呂山町がDXに失敗した原因

毛呂山町のDXは、システムを買えばDX推進が終わると思っていたことが原因で失敗しました。

DXは、システムを買ってくれば終わるような簡単なものではありません。しかし毛呂山町は、国から補助金がもらえるということでシステムをどんどん入れました。

その結果、導入時は国から補助を受けられましたが、その後維持費や更新費がかさみ、結局費用対効果を得ることができませんでした。

DXの目的は、そもそも課題解決や変革のためにあり、「業務効率化ツールを使ったり、デジタル化をしたりすること」がDXではありません。

この点に関しては経済産業省も強く指摘していて、2022年7月発表の最新のレポート「DXレポート2.2」の中で

「既存ビジネスの効率化・省力化」ではなく

と明言しています。(引用:経済産業省「DXレポート2.2」)

しかし毛呂山町はこの点を理解しておらず、DXとはシステムを導入することだと思って行動した結果、失敗してしまったのです。

ただし、毛呂山町はただ失敗しただけでは終わりませんでした。ここから「身の丈にあったことをやろう」ということを学びます。無料ツールやお金をかけなくてもDXは進められるということに気づいたのです。

DXはシステムを買ってくれば終わるって思っていた。しかしそうではなくて、目的を達成するために必要なシステム(身の丈にあったもの)を導入すればいいのだということに気づいた。これが毛呂山町の事例です。

参考:日経新聞「公務員こそリスキリング 行政DX人材乏しく

1-3.東京都

東京都がDXに失敗した原因

東京都の事例は、自分たちが何のために存在するかがわかっていないため、競争相手が明確になっておらず、取るべき戦術を間違えてDXに失敗した事例です。

本来、何をするか、どんなシステムを導入するかなど細かい戦い方は、MVV、戦略を考えたあとに決めていきます。

DXを進めるために本来考えるべき戦略の正しい手順

しかし東京都の場合は、MVVや戦略を飛ばして戦術を決めたため、以下のようなよくわからないレベル感のことを必死に宣伝している状況にあります。

【東京都がDX推進のために掲げている7つのこと】

・未来型オフィス実現プロジェクト
・5つのレス(ペーパーレス・ハンコレス・キャッシュレス・FAXレス・タッチレス)
・ワンストップ・オンライン手続きプロジェクト(手続きのスマホ完結化)
・オープンデータ徹底活用プロジェクト(データのオープン化を推進)
・スタートアップ・シビックテックとの恊働推進プロジェクト(新たの恊働スタイルの確立)
・内部管理事務抜本見直しプロジェクト
・DX推進体制構築プロジェクト

例えば、DXとして「5つのレス」を掲げていますが、これはただ単にデジタル化を推進しているに過ぎず、競争に勝つという前提がありません。DXとデジタル化は明確に異なるものです。

特に東京都が作成した長期ビジョンにおいて、長期的な戦略としてオリンピックのことについて語られていることはかなり違和感があります。

出典:東京都長期ビジョン

オリンピックは数年毎に開催されるお祭りのようなものであり、本来は戦術レベルで語れることですが、東京都は戦略として掲げております。

本当にDXを推進するなら、東京は日本の首都なので、「ニューヨークに勝つ」や、せめて「北京に圧勝する」ということを目的として戦略を語っていかないといけないはずです。

脱ファックスをしても、一体誰と戦っているつもりですか。ということになります。単に業務を効率化しても、ニューヨークや北京に勝てるイメージは湧きませんよね?

競争相手が明確になっていない=経営戦略が欠如していることで、東京都はDXに失敗していると言えるでしょう。

◎下記の記事も併せて読んで頂くことで、DXとデジタル化の違いについて詳しく知ることができます。

【これで完璧】DXとデジタル化の本当の違いを事例とレポートで解説

この章で述べた内容をより深く理解することができます。

1-4. 三越伊勢丹ホールディングス

三越伊勢丹ホールディングスがDXに失敗した原因

東京都がMVVや戦略について考えることなく戦術を生み出した失敗事例であるのに対し、三越伊勢丹ホールディングスはMVVの捉え方を間違えて失敗した事例になります。

DXを進めるために考えるべき正しい手順

三越伊勢丹ホールディングスは、かなり早い段階からDXに取り組んでいる企業ですが、組織のビジョンなどに問題があり失敗を重ねてきました。

中でも最大の失敗としてあげられるのは、2013年に取り組んだ米国発のソーシャルコマースサービス「Fancy」への出店です。当時世界を席巻していたSNSで、日本提携先第一号となった三越伊勢丹ですが、想定したような反応が得られず、失敗します。この失敗原因として、三越伊勢丹は「大きな方向性がなかったこと」をあげていますが、そもそもDX以前の問題として、三越伊勢丹ホールディングスは、企業としてのビジョン設定や組織形態に問題あります。

三越伊勢丹ホールディングスは、「集団としての価値は何か」「我々の集団は何をするべきなのか」と言う点について、まったく明確ではないのです。

三越伊勢丹ホールディングスの公式ホームページの会社情報内にある「私たちの考え方」と言う項目を見ると、三越伊勢丹ホールディングスの目指すものがいかに曖昧かつ不明瞭なものであるかがわかります。

公式ホームページのスクリーンショットととも、ビジョン設定や組織形態が具体的にどういう問題を抱えているのかを見ていきましょう。

三越伊勢丹のトップページ

三越伊勢丹の考え方

出典:株式会社三越伊勢丹ホールディングス

上の画像は、三越伊勢丹ホールディングスの会社情報内にある「私たちの考え」です。

三越伊勢丹の存在意義

出典:株式会社三越伊勢丹ホールディングス

「私たち」=「三越と伊勢丹」。合併したからみんな一緒だよと言うことを言いたいのでしょう。

そんな「私たち」の考え方は、上の画像の青線部分。

「私たちの考え方」は、三越伊勢丹ホールディングスの存在意義であり、目指す姿

この文章では存在意義=目指す姿となっていますが、そもそも存在意義と目指す姿はイコールにはなり得ません。

存在意義とは、「社会から求められている姿」であり、「今なぜ存在しているのか」です。一方、目指す姿は「未来の姿」のことを指します。

有名企業の公式ホームページの文章でありながら、公にしている「私たちの考え方」があまりにも不明瞭です。

先に進みましょう。

三越伊勢丹の考え方

出典:株式会社三越伊勢丹ホールディングス

こちらの文章も、かなり曖昧なものになっています。

上から見ていきましょう。

「人と時代をつなぐ」

そもそも三越伊勢丹は、時代を作るような企業ではないので、この文章には違和感を感じます。

例えば、電通や博報堂のような広告代理店が、「マーケティングの力で次の時代に運ぶ」的なことを言うのは理解できますが、三越伊勢丹は小売業です。

さらに違和感は続きます。「変化せよ」の下の1.2.3.についてみていきましょう。

この1〜3が、三越伊勢丹ホールディングスが社会に存在する意義で、我々はこうなろうと言っています。

1.データが自分を作る

小売業の三越伊勢丹において、データとは一体何でしょうか?会社の中の成績?売り上げ?データで自分が評価されているということなのかと、これだけ見ると、不安に感じる社員もいそうな文章です。

2.時代より先に変わる

前文で「時代と人をつなぐ」と言っていたはずなのに、時代より先に変わってしまったら時代を置いてきぼりになってしまわないか?と感る一文です。

3.他者が私を新しくする

時代より先に変わっている三越伊勢丹は、さらに誰から影響を受けるのでしょうか?

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三越伊勢丹ホールディングスは、合併したからこそ、以上のようなことを書かざるを得ないので致し方ないのですが、肝心の変わる方向性が示されていない点についてはやはり疑問を感じずにはいられません。

組織としての考えがよくわからない企業が、DXの方向性を定めることができないのは当然のことで、そもそも集団として何を目指すのか、目指す先が一つに決まっていないのですから、DXのゴールが決まるわけもなく、こうした事情から三越伊勢丹ホールディングスのDXは失敗し続けていると思われます。

2.事例から読み解く!なぜこれだけの企業がDXに失敗し続けるのか

1章でお伝えした4社の失敗事例は、まさにDX失敗の物差し的な存在として読み解くことができます。

なぜこれだけの企業がDXに失敗し続けるのか?事例から学べる主なDX失敗の原因は、以下の4つです。

・そもそも組織に問題があった
・競争相手を正しく認識できず、経営戦略を間違えた
・顧客がお金を払うものは何かについて考えなかった
・DXはシステムを導入することだと思っていた

それぞれについて、みていきましょう。

2-1.そもそも組織に問題があった

DXは、そもそも組織のビジョンや価値観が明確でないと、失敗します。

DXとは、各企業が独自に目的を決めて行うものであり、組織の方向性や考えが明確にされていないのに、DXの目的が明確になるはずがありません。

現に、組織の考え方が不明瞭である三越伊勢丹ホールディングスのDXは、「大きな方向性がなかった」という理由で失敗に終わっています。

我々の集団は一体何をするべきなのか。それが明確になっていないのに、DXの目的を定めて推進することはできません。

DXを進めるために考えるべき正しい手順

DX推進では、この流れが重要なので、MVV部分に当たるところ、そもそも組織に問題があると、先に進むことはできないのです。

2-2.競争相手を正しく認識できず、経営戦略を間違えた

ただしMVVが明確になったところで、誰との競争に勝つべきかを明確にできないと、戦略や戦術を間違えることになります。

なぜなら、経済産業省がいうところの、DXの目的は「他者との競争に勝ち続けること」だからです。つまりこの「他者」について明確にしないと、DXの目的が定まらず、目的が定まらないので本当にやるべきことも決まらないということに繋がります。

例えば、東京都の事例で紹介したように、競争相手を正しく捉えられていないからこそ、取るべき手段を正しく判断できず、戦略に失敗しました。

もし、競争相手をニューヨークや北京と明確に定めることができていた場合、脱FAXで太刀打ちできるはずがなく、戦略として選択するはずがなかったはずです。

DXを推進した場合は、DXの目的は「他者との競争に勝ち続けること」であり、競争相手を正しく認識することが重要であるということをしっかり認識した上で進めましょう。

2-3.顧客がお金を払うものは何かについて考えなかった

顧客が求めるものに目を向けないと、DXは成功しません。

売れるもの、顧客に必要とされるものを提供してこそ、利益につながるからです。

「顧客が何を求めているのか?」

この点について考えた上で、DXの手段を決める必要があります。

例えばJTBのように、ニーズがあるかを考えずに、メタバースやバーチャル体験など、近年流行っているものを取り入れても、サービスが拡大しなかったり、計画が行き詰まったりする結果となってしまいます。お金を支払っている顧客のCGよりも、社長のCGを丁寧に作っている視点も、誰を見ているの?と感じてしまいます。

どんなに最新技術を取り入れても、そのサービスや商品が顧客に求められない限り、売り上げが伸びることはないという、ごく当たり前のことを、しっかり心に留めてDXを推進してください。

2-4.DXはシステムを導入することだと思っていた

デジタルツールなどシステムを導入して業務を効率化すれば、DXを推進できると勘違いしている企業が多くありますが、これは間違いです。

DXの目的はデジタル化して業務を効率化することではなく、競争相手に勝つことだからです。

しかし、DXはシステムを導入することだと勘違いしていると、例えば以下のようなことが起こります。

・とりあえずチャットボットのシステムを買って導入してみる
・なんだかよくわからないけどAIを導入するためにコンサルティング会社に数千万お金を払う
・毛呂山町のように、補助金がもらえるからと先のことを考えずにシステムを導入する

これらのようなことは、売り上げが上がる、またはコストが下がることに直結しない場合がほとんどです。

それどころか、利益を生まないシステムのために、維持費や社員の労力、時間を費やさなければいけなくなり、これらは本質的な仕事のやり方ではありません。

システムを買って終わりという発想は間違いであり、多くの企業がDXに失敗し続ける大きな要因であることをしっかり認識しましょう。

◎DXとデジタル化の違いについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
ほとんどの企業がDXと銘打って実施していることがデジタル化であることがよく分かります。

【これで完璧】DXとデジタル化の本当の違いを事例とレポートで解説

3.そもそもDXにおける失敗とは

自社のDXが失敗しているかどうかを測るために気になるのが、そもそもDXにおける失敗とは何かということです。

そこでここでは、以下の点についてお伝えします。

・失敗の定義
・課題意識がなくDXに取り組んでいる場合は成功か失敗か以前の問題

それぞれについて詳しくみていきましょう。

3-1.失敗の定義

DXの失敗というのは、それぞれの企業によって課題が違うので厳密に定義するのは難しいのですが、あえて物差しとして定義すると、以下のようになります。

DXの失敗の定義
会社、もしくは組織が 存続可能な日数 が1日も伸びていない

DXが失敗したかどうかは、「会社が存続可能な日数が1日も伸びていない」これはDXを失敗しているのかどうかの判断基準として汎用的に使える基準だと思ってください。

では、「会社が存続可能な日数が1日でも伸びていない」とはどういうことなのか?ピンときていない人もいると思うので、詳しく説明します。

DXを推進しようと考える企業は、基本的には会社の成長または存続のために、何か課題があってそれを解決するためにDXを進めているのではないでしょうか。

例えば、以下のような課題があるかと思います

・キャッシュが足りない
・株価が下がっている
・社員の高齢化が進んでいる

これらはほとんどが、会社をこれからも長く続ける、または成長していくために解決しなければならない課題であり、各社課題が解決すると、存続可能な日数が伸びる=DXの成功と言えます。

具体的には、

・キャッシュが足りない会社はキャッシュの積み増しができたか
・株価が下がっていて買収されそうという会社であれば、株価がDX開始前よりも1円でも上がったか
・会社の社員の年齢が高まっていて、新卒が全然増えない会社であれば、新卒が雇えるか

このような点で、失敗かどうか判断できます。

POINT!

【そもそも何の数字を追いかけるべきかを明確にするのが重要】

会社が存続可能な日数を伸ばすためには、そもそも何の数字を追いかけるべきなのか?が見えていないと、会社の中のDXがうまくいっているかどうかが判断できません。

明確な課題意識がない中でDXをしても、ゴールがどこかわからず、失敗か成功か判断できないですよね。
だからこそ、DXの自社独自の定義をしっかり決め、追いかけるべき数字を明確にしてDXを推進してください。考えることと決めることは違います。

もちろん自分で考える事もできますが、決定までは長い道のりになる場合が多いでしょう。

自社がDXする目的は一体何なのか?について、我々の会社なら一緒に決めることができます。
ぜひ、お気軽にご相談ください。

 

◎DXの正しい目的や定義について詳しくは、下記の記事をご覧ください。

【これが真実】本当のDXの”目的”とは、自社独自の目的を設定しないことには存在しない

この記事を読めば、
・DXの正しい定義を理解して最短でDXを推進できる
上記を達成する基礎知識を身につけることができます。

3-2.課題意識がなくDXに取り組んでいる場合は成功か失敗か以前の問題

「とりあえず周りがやっているからうちもやらないと。」

と考えてDXに課題意識なく取り組んでいる企業は、そもそも失敗か成功の土台にありません。

課題意識がないということは、どのような手段を使えば良いのかが判断できないからです。(事例で言うと、JTBのメタバースがそれに当たります。)

課題意識がない状態でDXに取り組むと言うことは、例えば何をやったら売れるかもわからずに、とりあえず世の中に売っているコンテンツを片っ端から買ってくると言うくらい、間抜けなことをやっている感じです。まさに自分たちで何も決めることなく、周りに言われるがままに翻弄されてやっているって感じで、その結果、当然失敗します。

課題意識を持つという点に関しては、会社だけではなく、個人も同じです。課題意識がない人は、どれだけ必死に努力しても、会社から評価されることはないでしょう。

なぜなら、達成したい目的やゴール感がないままにDXという沼にハマっていっても、どこまで行ったらゴールなのかがわからないからです。

課題意識があって、問題解決としてのDXとなれば、課題を解決できればDXが成功したと言えるので評価されます。課題意識を持つことは、個人が評価され、生き残るために実は最も必要なことだと言っても過言ではありません。

4.失敗しないためのDXの進め方6STEP

DXが失敗しないために、DXの正しい進め方をお伝えします。
失敗しないためのDXの進め方は、以下の6STEPです。

失敗しないためのDXの進め方6STEP
【STEP1】準備運動
【STEP2】法人として変えなければいけない経営者としての理由を持つ
STEP3】DXの自社なりの定義を決める
STEP4】目的次第で自社のビジネスの完コピ版の創業し直しか、新しいビジネスで稼ぐことを目指す
【STEP5】法人としての姿、形が変わる中で、その法人はないをする集まりなのかを再定義する
STEP6
人事制度を新しい会社に合わせて作り直し、新人や中途を新しい方針に合わせて採用していく

それぞれのSTEPを順を追って見ていきましょう。

4-1.STEP1.準備運動

はじめに、社長が個人としてやりたいことを自問自答し、明確にします。

会社とは関係なく、自分個人としての人生として何がやりたいか冷静に考えることが重要です。経営者であっても、組織と自分は全然違うものなので、個人としてそもそも何をしたいのか。この準備運動は、DXをやっていく過程で効いてきます。途中でアキレスを腱切らないためにも、しっかり準備しましょう。

4-2.STEP2.法人を変えなければいけない、経営者としての理由を持つ

続いて、法人を変えなければいけない経営者としての理由を持ちましょう。ここでは、銀行や部下に公式の話として言える内容を考えます。個人としてではなく、経営者としてです。

「X年後にYになるのでそれを避ける」程度のことではなく、倒産を視野に入れるぐらいのことが必要です。ものすごく前向きに変化することを宣言しましょう。

4-3.STEP3.DXの自社なりの定義を決める

理由を持った上で、組織としてどう変わるのかというDXの定義を定めます。定義を定める際は、以下の順で定めましょう。

  1. 何を目的とするか

  2. その目的を達成するための手段は何か

  3. 固有の手段を選択するので必然的にやることは何か

定義を定める過程で、DXの目的をどうするかが決まってきます。

4-4.STEP4.目的次第で自社のビジネスの完コピを創業し直しか、新しいビジネスで稼ぐことを目指す

そもそも論として、デジタル前提で全ての業務マニュアルを書き換えます。しかし、いきなり100%は難しいので、まずは業務量の50%をデジタル業務に置き換えて作業を減らすことを目指して変えていきましょう。

既存の事業がどのくらい食いつなげられるのかは、企業によって異なります。まだ既存の事業でいけそうなら、既存事業を続けながら新しい売上を作っていくといいでしょう。

既存事業がもうだめだと判断できる場合は、できるだけ早く売却するのがいいでしょう。事業の売却は、その事業がまだお金になる間は売れます。その際、不要人材も整理して、新しい経営を立ち上げなおす=創業し直しましょう。

4-5.STEP5.法人としての姿、形が変わる中で、その法人はなにをする集まりなのかを再定義する

機能体ヨリで行くのか、共同体よりで行くのか、会社によってやるべきことは何か、どうでもいいことは何かについて考え、再定義します。その際、合わない人材には退職してもらうか、別法人で新しいビジネスを行いましょう。

4-6.STEP6.人事制度を新しい会社に合わせて作り直し、新人や中途を新しい方針に合わせて採用していく

法人としてのビジネスの進め方(業務マニュアル)をデジタル前提で更新し直し、かつDXの目的に手が届きそうになってきたら、人事制度も修正します。

今の会社の採用方針は簡単には変えられないので、新しい別会社の採用基準、雇用体系を作るといいでしょう。既存の人事制度変えるのではなく、新たな領域で新たな給与テーブルでやる方が簡単です。

ここまでたどり着くのは容易なことではありません。そもそも社長の準備運動がないと、部下から提案された時に、社長がやりたくないって言うことが起こり得るので、STEP1から6STEP全てを順を追って行ってください。

5.まとめ

本記事では、DXの失敗事例と、それを元に失敗する理由を紐解きました。また、そもそも失敗とはな何かについて、失敗の定義を紹介した上で、失敗しないDXの進め方をお伝えしました。

最後に、DXに失敗し続ける理由について、おさらいしておきましょう。

そもそも組織に問題があることで失敗した
競争相手を正しく認識できず、経営戦略を間違えた
経営戦略の先に顧客が一体何を求めているかを考えなかった
システムを買ってくればDXが終わると思っていた

DXを正しく進めるのは容易ではありませんが、まずはここで紹介したSTEPにそって考えたのち、自力では難しそうな場合は、私たちにご相談いただければ力になります。

DXの教科書を通じて、貴社のDXが成功することを祈っています。

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