DX(デジタルトランスフォーメーション)は、イノベーションを推進するための手段です。
そもそも「DX」と「イノベーション」は、「手段」か「経営課題」かの違いがあります。
企業にとっての「DX」と「イノベーション」の違い | |
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DX | イノベーション |
経営課題を解決するための「手段」 | 企業を継続成長させるための「経営課題」 |
企業にとっての「DX」と「イノベーション」 | ||
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種類 | DX | イノベーション |
分類 | 経営課題を解決する「手段」 | 企業を継続成長させる「経営課題」 |
目的 | 競合優位性を確立する | 新たな成長事業を生み出す |
利用技術 | データ・デジタル技術 | デジタルに限らない革新的な技術 |
本記事では、DXとイノベーションについて、以下の内容を詳しく解説します。
- DXはイノベーションを推進する手段であること
- DXを推進する重要性
DXとイノベーションの関係性を理解することで、自社が推進するDXがイノベーションにつながるかどうか。DXを推進する必要があるかどうかを整理することができるはずです。
ぜひ最後までお読みください。
1.DXはイノベーションを推進するための強力な手段である
DXはイノベーションを推進するための強力な手段です。DXとイノベーションの定義について改めて確認しながら、具体的に理解していきましょう。
1-1.DXとはデジタル技術によって競争優位性を確立すること
そもそもDXとは、経済産業省のDX推進ガイドライン(2018年12月)によるとDXは以下のように定義されています。
【日本でのDXの定義】
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、
データとデジタル技術を活用して、
顧客や社会のニーズを基に、
製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、
業務そのものや、プロセプロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
DXとは上記にあるように、「データとデジタル技術を活用して競争上の優位性を確立すること」と解釈することができます。
目的は「競争上の優位性を確立すること」であり、この目的を達成するために「データ・デジタル技術を活用する」ことをDXと言っています。
DXを成功させる方法ついてもっと詳しく知りたい場合は、こちらの記事「DXにデザイン思考は必須!DXを成功に導くデザイン思考実践ガイド」もぜひ参考にしてください。
1-2.イノベーションは革新・刷新・変革をもたらすこと
「イノベーション(innovation)」は、オーストリア出身の経済学者ヨーゼフ・シュンペーターによって「新しいものを生産する、あるいは既存のものを新しい方法で生産すること」と定義された言葉です。
変革モノ・仕組み・サービス・組織・ビジネスモデルなど、新しい考え方や技術を取り入れて新たな価値を生み出したり、社会にない全く新しいものを生み出し革新や刷新、変革をもたらすこと、と考えています。
つまり、イノベーションは新しい価値を生み出すことを指し、DXが指す意味よりも大きな範囲を示しています。
身近なイノベーションの事例で言えば、以下の内容があげられます。
- 液体洗剤・ジェルボール型洗剤
- 電気自動車
- IoT家電
- ブルーライトカット眼鏡
- オンラインスクール
- ファブレス経営
- サブスクリプション
このようにイノベーションは新しいものを生み出すこと、革新・刷新・変革をもたらすものとしてDXと違い広い範囲のことを指しています。
1-3.自社のイノベーションにつながるDXを推進しよう
あなたが今DXを推進することを考えているなら、自社のイノベーションにつながるかどうかを意識して推進しましょう。
DXのゴールは「競争優位性を確立する」ことだからです。
「競争優位性を確立」するということは、競合他社と比べて明らかに優位なポジションを取ることができているという状態です。
そのため、あなたの会社が競合他社と「圧倒的な差」を生むための取り組みをする必要があります。
競合他社と「圧倒的な差」を生むためには、おそらくあなたの会社の変革=イノベーションにつながるレベルでDXを考慮していく必要があります。
たとえば、以下の事例は「飲食店の経営」をDX推進した例です。
宅配専門のゴーストレストラン「ヒーローズキッチン恵比寿」のDX事例
従来は、既存のレストランや飲食店がテイクアウト用のメニューを店舗で調理し、配達員が運んでいました。そんな中、コロナ禍で広がり成功を納めているのが宅配専門の「ゴーストレストラン」です。
「ゴーストレストラン」とは、客席を持たずデリバリーのみで顧客に料理を提供する飲食店のことです。Uber Eatsをはじめとするデリバリーサービスが広がったことで、飲食店は客席を持った店舗にこだわる必要がなくなったため、「ゴーストレストラン」が広がりました。
ゴーストレストラン「ヒーローズキッチン」は、わずか13坪の地下キッチンで、元々別々に運営していた3つの事業者が共同運営として開始した宅配専門のレストランです。月商は3事業体合わせて1,100万円以上と大成功を納めています。
ヒーローズキッチンの特徴は以下の通りです。
- 調理場を共有化することで、配達員の効率も向上する
- 共同にすることで初期投資も抑えられる
- 居酒屋の居抜き物件を活用したため、初めから調理設備がある程度整っていた
- UberEatsなどの配達業者に委託することで、自社で配達システムを整える必要はなく、わずか数万円のIT投資で事業をスタートできる
大金をかけずとも、ビジネス上の大成功を得る、新しい飲食店の経営手法として、ゴーストレストラン「ヒーローズキッチン」はまさにDXの成功例と言えるでしょう。
この事例では、DXを推進した結果、自社のイノベーション(新しい手法で既存の商品を展開し利益を出せるようになること)につながっていきました。
DXを推進することは、自社のイノベーションを推進する強力な手段となります。DXを推進し成果を得るには、自社のイノベーションを推進することが必要になることがあります。
DXについてもっと詳しく知りたい場合は、こちらの記事もぜひご覧ください。
まとめ
DXは「既存のシステムを活用」し、デジタルイノベーションは「新しい何かを創造する」という違いがあります。業務効率化などを目的として自社のデジタル化を進めたい場合は、デジタルイノベーションではなくDXが適しています。
DXを推進した場合に得られる効果は以下の通りです。
- 生産性の向上
- 企業競争力の向上
DXの推進は以下の手順で進めましょう。
- 目的を明確にする
- 経営者が主導となり社内全体に意識共有する
- DX推進体制を構築する
- 課題を把握し計画を立案する
- 計画を軸にDXを推進する
RPAシステムやタレントマネジメントツールなど役立つツールを導入し、DXを推進していきましょう。
参考: