
「DXってどんなポジションがあるのかな?」
「DX化を進めたいけど、どんなポジションを用意すればいいんだろう」
このようにお考えではありませんか?
結論から言うと、DX人材のポジションには大きく分けて以下の6つがあります。
これらのポジションは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2019年に公表した資料の中で呼称例として挙げているものです。実際には遂行する業務内容によって、その他にもポジションを設ける企業もあります。
DXを進める際にはこうしたポジションを確定させることも重要ですが、それと同時にチーム編成を決定することも重要です。どのようなチームを構成してプロジェクトを進めるのかを明確化せずにポジションを設定しても、進むべき道を見失ってしまう可能性もあります。
そこでこの記事では、DX人材の代表的な6つのポジションのスキルなどを中心に、以下の内容について詳しく解説していきます。
この記事を読めば分かること |
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・DX人材の6つのポジションとは |
この記事をお読みいただくことで、DX人材のポジションやチーム構成についてご理解いただけるかと思います。ぜひこの記事を参考に、DX人材推進のための人事に役立てていただければ幸いです。
1.DX人材の6つのポジションとは
それではさっそく、DX人材の代表的な6つのポジションについて解説します。冒頭でも解説した通り、ここではIPA(独立行政法人情報処理推進機構)の例を用い、基本体制として以下の6つのポジションを紹介します。
それぞれ見ていきましょう。
1-1.プロデューサー/プログラムマネージャー
人材 | DX推進を主導するリーダー的な存在 |
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役割 | ・DXビジネス戦略や戦術策定 |
スキル | ・デジタル知識と経験 |
プロデューサー、プログラムマネージャーはDXを進める上で構成するチームやプロジェクトのリーダー的存在です。企業全体のDX化を進めるために大局的な視点からプロジェクトを進めます。
このポジションは、CDO(最高デジタル責任者)やCDXO(最高DX責任者)といった役員が担う場合もあります。
役割としては、DXのビジネス戦略の策定から、実際に行うための全社への働きかけなどがメインとなります。DX推進の方向性を左右する重要な立場です。
このポジションに就くには高いデジタル知識だけでなくビジネスの知識や十分な経験などの高度なスキルが必要となります。
デジタル技術のトレンドを理解しているだけでなく、自社の環境やリソースなど全体像を把握したうえで、戦略的にプロジェクトを進められる人材がプロデューサーです。他のポジションは複数人で担うこともありますが、プロデューサーは一人で担当します。
1-2.ビジネスデザイナー
人材 | DXビジネスの企画・立案を行う人材 |
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役割 | ・DX推進するための具体的な企画・立案・推進 |
スキル | ・デジタル知識と経験 |
ビジネスデザイナーは、プロデューサーが立てたビジネス戦略や戦術を元に、より具体的な企画を立案して推進を行う人材です。
例えば、プロデューサーが新規のビジネスモデルを戦略として立ち上げたら、ビジネスデザイナーはそのアイディアを元に商品やサービスを立案するといったポジションです。また立案だけでなく、実際に推進を行う立場でもあります。
そのため、プロデューサーと同じように高いデジタル知識とビジネス知識が必要です。チーム全体を動かす役割も担うため、高度なマネジメント能力やコミュニケーションスキルも必要となります。
1-3.データサイエンティスト/AIエンジニア
人材 | デジタル技術やデータ解析に精通した人材 |
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役割 | ・さまざまなデータを解析してプロジェクトに活用する |
スキル | ・高度なITスキル(プログラミング、データ解析など) |
データサイエンティスト/AIエンジニアは、デジタル技術やデータ解析を活用し、プロジェクトにどのように取り入れるのかを提案・サポートする人材です。
「データサイエンティスト」と「AIエンジニア」を別の人材が担うこともありますが、どちらの知見も持っているとより広い視野でデジタル技術を応用し、活用することができます。
データサイエンティストの場合は、プログラミングやデータ解析以外にも、統計学的なスキルが必須です。
AIエンジニアはAIの知識だけでなく、IoTやブロックチェーン、AR/VR、クラウドなど幅広いデジタル技術への精通が望まれます。そしてそれらの技術をプロジェクトに応用するための発想力も求められます。
1-4.アーキテクト
人材 | ビジネスにおけるシステムを設計する人材 |
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役割 | ・DX戦略で固まった企画やアイディアを具体的にシステム化するために設計を行う(実装・構築は行わない) |
スキル | ・アーキテクチャ設計 |
アーキテクトは、実際にDXの戦略や方向性が固まった後に、実際にそれらを具現化するためにどのようにシステム化するのかの設計を行う役割です。アーキテクトはシステムの表面的な機能だけでなく拡張性やセキュリティ、運用保守などシステム全体を設計します。
必要な機能の取捨選択を行う必要があるため、デジタル全般のスキルだけでなく経営的な視点も重要視されます。
1-5.UXデザイナー
人材 | 開発したシステムやサービスのUXのデザインを行う人材 |
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役割 | ・デジタル商品やシステムをユーザーが使いやすいようデザインする |
スキル | ・デザインスキル |
UXデザイナーは、開発したシステムやサービスをユーザーが使いやすいようにデザインする人材です。UXデザイナーはインターフェース(操作画面など)のみならず、実際の使い勝手や利用するプロセス、優れたユーザー体験をもデザインする役割です。
また例えばWebデザインなどの場合、見た目の美しさだけでなく、どのようにそのサイトに集客するのかといった視点も必要です。そのためにSEOやマーケティングに関する知識や、実装のスキルが必要とされるシーンもあります。
1-6.エンジニア/プログラマ
人材 | システムの実装や構築を行う人材 |
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役割 | ・アーキテクトの設計を元に、実装やインフラ構築を行う |
スキル | ・プログラミングスキル |
エンジニア/プログラマは、アーキテクトの設計を元に、実装やインフラ構築を行う人材です。一言でエンジニアといっても構築するシステムによって必要となるスキルは異なるため、上記のすべてのスキルを網羅しなければならないというわけではありません。
企業が進めたいDXの方針に沿って必要スキルを見定め、人材育成や採用を行います。
ただし近年においてDXは生産や流通など多岐にわたって活用されているため、さまざまなシーンで活用できるような幅広い知識が求められるようになっています。
2.DX推進を成功させるためのチーム編成
それではここからは、実際にDXを推進させるためのチーム編成の考え方についてより詳しく解説します。
DXにおいては、最適化された組織を構成して基盤を作り上げることが重要です。ポジションを設定するだけでは、そのチームが効果的に機能するかは分かりません。実際に企業にとって適切なチーム編成を行ってプロジェクトを遂行する必要があります。
この章では、第一章で紹介した6つのポジションを基本構成として、実際にDXの推進を成功させるためにどのようにチームを編成するかを考えてみましょう。
2-1.DX推進タイプ別のチーム編成
ここでは、DX推進を行う目的別のチーム編成について解説します。企業がDXを行う目的は、企業ないでの業務効率化を行う目的だったり、新規事業を始めるなどさまざまです。目的によって、そのチーム編成の方向性は異なります。
ここでは、代表的な3パターンを中心に紹介していきます。
2-1-1.IT部門拡張型
IT部門拡張型のチーム編成とは、情報システム部門など既に存在するIT部門を拡張することによって、DX推進チームを構成するパターンです。もともとエンジニアやアーキテクトなど技術的なポジションを担っていた人材を中心に、チームを拡張します。
この場合は既にプログラミングやネットワークに精通した人材を中心に再構成するため、新しい技術やシステムを検討・導入しやすいというメリットがあります。
その一方で、技術的なスキルに寄った人材が多いため、マーケティングやマネジメントなどビジネスの現場での経験が少ない場合があります。技術的には高いものを持っていても、会社全体を見ながらシステムを設計しづらい可能性があります。
IT部門拡張型のチーム編成をする場合には、事業部門にも精通した人材も配置するなどで幅広い視点で進める必要があります。
2-1-2.事業部門主導型
事業部門主導型は技術者主体ではなく、商品の開発やマーケティング、マネジメントなどの幅広い領域からの人材を主体として構成するパターンです。プロデューサーやビジネスデザイナーなどマネジメント業務が中心で、技術的な業務の少ないポジションにこうした人材を配置しチームを編成します。
サービスを展開する部署が主導権を握り情報システム部門の技術者と共にDXを進めていくため、現場の声が取り入れやすく実践的な施策が期待できます。
その一方で、デジタル技術に関する知見の十分ではない人材が主導権を握るため、実際にはどんなことができるのかを技術部門に確認しながらプロジェクトを進める必要があります。なるべく人材の偏りが出ないようにチームに技術者を配置するか、橋渡し役を設定すると良いでしょう。
2-1-3.専門組織型
DX推進のために社内外問わずスペシャリストを選出して一から構成するのが専門組織型です。IT部門拡張型や事業部門主導型と違い、全くのゼロから優秀な人材を選出するため、多様で先進的なアイディアを形にできる可能性があります。
全てのポジションを、その道のスペシャリスト(社内外リソース問わず)で構成するというパターンです。
専門組織型でチームを編成する場合には、スキルの足りない部分を外部コンサルに頼るなどのことも行われます。極めて実践的で成果の出やすい方法ではありますが、ゼロから組織を構成するため失敗するリスクも伴います。
多くの日本企業は本格的にDX推進を行う際に専門組織型を導入しています。
2-2.DX推進チームを構成するための注意点
ここでは、実際にDX推進チームを構成するための注意点を紹介します。ここでは、以下の2点について解説します。
2-2-1.企業のDX推進の方向性に適した構成になっている
DX推進チームを構成する際には、企業のDX推進の方向性に適した構成にするようにしましょう。
DXの基本的なチーム構成とポジションは「1.DX人材の6つのポジションとは」で解説した通りです。とはいえ必ずしもここで紹介したポジションを用意しなければならないというわけではありません。
これからAI技術を導入する予定がない場合は、早急にAI技術者を導入・育成する必要はありません。いまある情報システム部門主体でも目指すDX化が可能であれば、必ずしも大幅な組織改革は必要ないかもしれません。
逆に、会社に革新的な変化をもたらしたいのであれば「2-1-3.専門組織型」で紹介したようなエキスパートの精鋭部隊を構成すると有利です。
どのような推進チームを構成するかはDX推進の方向性によって大きく異なるという点を理解し、自社に最適化されたチームを構成しましょう。
2-2-2.不要なメンバーをアサインしない
DX推進チームには、不要なメンバーはアサインしないようにしましょう。例えば新しいプロジェクトを行うからといって、深い階層構造のチーム編成にする必要はありません。不要な「上司」や「役員」等を作らないようにするということです。
役割が不明確な「上司」を作ってしまうと風通しが悪くなってしまい、プロジェクト進行に支障が出てしまうこともあるためです。
DX推進チームは役割が明確なメンバーで構成し、複雑化しない工夫が必要です。そのためにも、不要と思われるメンバーはなるべくアサインしないようにしましょう。
3.DX人材に必要なスキルとは
それではここで、DX人材に必要なスキルについて確認していきましょう。それぞれのポジションに必要なスキルについては第一章で解説しましたが、ここでは全てのポジションのDX人材が最低限持っておくべきスキルについて解説します。
DX人材に必要なスキルは、「技術的スキル」と「ビジネス的スキル」に分けられます。それぞれ見ていきましょう。
技術的スキル | ビジネス的スキル |
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・IT関係の知識全般 | ・マネジメント・コミュニケーション |
3-1.技術的スキル
DX人材に必要な技術的スキル |
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・IT関係の知識全般 |
DX人材に必要な技術的スキルとしては、まずIT関係の基礎知識全般が挙げられます。DXはIT技術を駆使して行うもので、当然IT技術の知識が必要です。IT技術についての知識がないと、どのようなプロジェクトをどんな技術を用いて進めるのかが分かりません。
またDXにおいてはデータ解析を元に課題に取り組むといったことが多いため、ビッグデータや機械学習といったデータサイエンスの知識を持っておく必要があります。
せっかく構築したシステムも、ユーザーが使いやすいよう設計しないと意味がありません。ユーザーが使いやすいようにデザインすることも重要なため、UIやUXについての最低限の知識も必要です。
その他、プロジェクトによってはAI技術やブロックチェーン等の知識が必要になることがあります。プロデューサーやビジネスデザイナーがこうした技術に関して深い理解をしておく必要は必ずしもありませんが、最低限の知識は抑えておく必要があります。
3-2.ビジネス的スキル
DX人材に必要なビジネス的スキル |
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・マネジメント・コミュニケーション |
DXを推進するためには、ビジネス的スキルも非常に重要です。「DX」と聞くと、「デジタル技術専門家」と思ってしまう方も多いですが、実はビジネススキルも非常に重要です。
特に、プロデューサーやビジネスデザイナーなどチームをまとめるポジションの人材にとってはマネジメント能力は必須です。それ以外のポジションでも、基本的に組織内で細かく連携をとって進めるため高いコミュニケーション能力が求められます。
またDX推進には多様なアイディアや、それらを実行する構築力も重要視されます。会社に革新的な変化をもたらすため、柔軟な発想での企画力が求められるのです。
4.DX推進のカギとなる3つのマインドセット
この章では、DX推進のカギとなる3つのマインドセットについて解説します。
実はDXを行うためには技術やビジネス的スキルと同時に、DXを進めるためのマインドセットが重要視されます。企業の改革を進めるためには、これまでの固定観念を取り払った新たな考え方が求められるためです。
この章では、DX推進のカギとなる3つのマインドセットとして、以下の3点を解説します。
4-1.現状維持思考ではない
DXを推進する人材は現状維持思考でなく、現状に疑いを持ち変化をし続けられることが求められます。
DXは、IT技術を活用してこれまでになかったイノベーションを起こすことが求められます。それを行うためには、「現状を変えたい」という強い気持ちが必要です。
普段の業務を行っていても、さまざまなことに疑問を持ち「こうすればもっと良くなるのでは?」「なぜこういうことになっているのだろう?」と感じることができる人材は、その後の変革につながるマインドセットを持っているといっていいでしょう。
4-2.多様な発想を受け入れる
DX推進をする人材は、多様な発想を受け入れる柔軟性を持ち合わせる必要があります。
DXを進める中で、これまでに出てこなかったアイディアや常識的でない提案がなされることもあります。そうした多様な発想に対して頭ごなしに否定するのではなく、柔軟に検討することができる人材はDXに向いていると言えるでしょう。
4-3.失敗を恐れずトライする
失敗を恐れずにトライする精神も、DX推進のためには重要なマインドセットです。
ここまでも解説してきた通り、DXを行うことは企業にとって革新的な変化をもたらす可能性をはらんでいます。そうした大きな変革を伴うプロジェクトは、必ずしも全てが成功するとは限りません。
しかし、失敗を恐れて挑戦しないのでは大きな変革を呼ぶことはできません。DXを進めるためには時には冒険しながら、失敗を恐れずに推し進めるマインドが必要となるのです。
5.DX推進でお悩みならBethにご相談ください
DX推進でお悩みであれば、ぜひBethにご相談ください。
- DXの新規事業を始めたいけど自信がない…
- 自社でDX推進を行いたいけどどうやっていいのか分からない
- DX人材を育成したい
このようにお考えであれば、Bethが助けになるでしょう。
5-1.DXのプロに相談すべき理由
DXのプロに相談すべき最も大きな理由は、確実にDXによって会社に変革を起こす必要があるためです。
DXとは企業がIT技術を活用することで変革を目指す取り組みです。これまでの企業の在り方と全く異なる業務や価値観をもって行わなければ、大きな変革を行うのは困難です。
IT技術は日々変化しており、そうした情報を常にアップデートし続けるのは簡単ではありません。
DX推進に不安をお持ちであれば、やはりDXのプロに相談することが成功への近道といえるでしょう。
5-2.Bethのサービス例
Bethでは、DX人材の育成から戦略面でのサポートなどDXに関わるさまざまなサービスを提供しています。
Bethのサービス例 |
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・新規事業の顧問 |
これからDXとして新規事業を始めようと思っていたり、社内の人材を育成してDXを進めようと考えている方は、ぜひご相談ください。
BethはDXを企業の「創業し直し」だと考えています。デジタル技術を用いて抜本的な改革を行い、これまでとは全く異なる価値提供を行うのが弊社のサービスです。
DX推進についてより詳しく知りたい方は、ぜひ弊社へお問合せください。
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6.まとめ
この記事では、DX人材の代表的な6つのポジションを中心に、以下の内容について詳しく解説してきました。
この記事で解説したこと |
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・DX人材の6つのポジションとは |
この記事をお読みいただくことで、DX人材のポジションやチーム構成についてご理解いただけたかと思います。ぜひこの記事を参考に、DX人材推進のための人事に役立てていただければ幸いです。
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