デザイン思考の5つのプロセス|実践フレームワーク付きで具体的に解説

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私が書きました 河上 泰之

「デザイン思考のプロセスは具体的にどう進むの?」
「デザイン思考を実践することで本当に成果は得られるのか、プロセスについてもっと詳細を知って確かめたい」

デザイン思考に興味を持ち始めたあなたは、このアプローチの背後にあるプロセスの詳細を知ることで、その効果にもっと確信を持ちたいと考えではないでしょうか。その気持ちに完璧にこたえます。

デザイン思考には、「共感」「問題提起」「アイデア創出」「プロトタイプ」「テスト」の5つのプロセスがあります。

この5つのプロセスについてもう少し詳しくお伝えすると、それぞれ以下のような内容になります。

プロセス名内容
共感何を問題だと感じる傾向にあるかを理解して、問題を定義するために必要な情報を収集する
問題定義共感で得た情報をもとに、解くべき問題は何かを定めていく
アイデア創出ユーザーが抱えている課題の解決策となるアイディアを創出する
プロトタイププロトタイプ(試作品)を作り、商品やサービスを形にしてみる
テスト試作品を実際に困っている人に試してもらう

こうして並べて見ると、デザイン思考のプロセスを一通り実行できそうだと感じるかもしれません。

しかし、ここで勘違いしないでほしいのは、デザイン思考の実践は「共感からテストまでのプロセスを1度やれば成果を出せる」というほど甘いものではないということです。
デザイン思考は、テストからのフィードバックを受けて方向転換を何度も何度も繰り返すことで、顧客がお金を出してでも欲しいと思えるものを生み出せるのです。逆に言えば、お金を払ってでもほしいと思えるものを探し形にするために、何度も検討と確認を繰り返す、1回でできるわけがないということです。

デザイン思考を使いこなして利益を出すためには、5つのプロセスをぐるぐる何十周も回せるようになるまで身につける必要があります。またデザイン思考の基礎を学んだ上で、周辺知識を学ぶ必要もあります。

なお、「デザイン思考をプロセスに沿って使えば新規事業開発がうまくいくのではないか」と思っている方がいるかもしれませんが、新規事業開発はデザイン思考だけでは不十分です。新規事業開発においてデザイン思考がなければ破綻することは間違いありませんが、それだけで勝てるほど簡単な世界ではないのです。

そこで本記事では、まず前半部分でデザイン思考の各プロセスを詳しく解説し、続いて後半部分でデザイン思考をいかに効果的に活用し、実際に利益を生せばいいのかについてご案内します。

本記事でわかること

・デザイン思考のプロセスの概要
・プロセス①:共感
・プロセス②:問題定義
・プロセス③:アイデア創出
・プロセス④:プロトタイプ
・プロセス⑤:テスト
・重要なのは①〜⑤のデザイン思考のプロセスを何十周も回すこと
・新規事業案の管理にはリーンキャンバス
・デザイン思考を実践するにはプロセスを把握するだけでは不十分
・デザイン思考を実践して成功するためにやるべきこと3つ

この内容に沿って実行することで、お客様がお金を払ってでも欲しい価値ある商品やサービスを生み出せるでしょう。デザイン思考への理解を深め、確信を持って取り組むためにも、ぜひ最後まで読み進めてください。

1.デザイン思考のプロセスの概要

デザイン思考を実践する際は、以下の5つのプロセスを通じて、人の体験に焦点を当てた問題解決を目指します。

<デザイン思考の5つのプロセス>

例として「体重100キロの人が70キロになりたい」という目標を設定した場合、このデザイン思考のプロセスを通して、100キロの現実から70キロという理想への差を埋めるための解決方法を生み出していくことになります。

共感、問題定義、アイデア創出、プロトタイプ、そしてテスト。このプロセスを繰り返し、時には遠回りや寄り道をしながらも、粘り強く検証を重ねることによって、理想とする解決策に辿り着くことができます。

このプロセスは一通りこなせばそれで完結というものではなく、実際にデザイン思考を使う際にはこれら5つのプロセスを何十周もぐるぐる回すという行動が含まれます。

したがって、実際のプロセスは次のようなイメージで理解すると良いでしょう。

<デザイン思考の5つのプロセスを回すイメージ>

プロセスを何十周も回す=仮説検証を何度も行うことで、「下手な鉄砲数うちゃ当たる」とでもいうような偶然の成功を収めるのではなく、顧客が喜んで購入したくなるような製品やサービスを開発できる可能性を高めます。

デザイン思考のプロセスの全体像は、原則となる5つのプロセスと、これらを何十周も繰り返す反復性によって形成されるという認識を持ち、次から個別のプロセスを詳しく見ていくようにしましょう。

2.デザイン思考のプロセス①:共感

ここからは、デザイン思考のプロセスを1つずつ詳しくお伝えしていきます。まずは1つ目のプロセス、「共感」からみていきましょう。

「共感」では、対象者の価値観を把握します。

インタビューなどを通じて、対象者が何を問題だと感じる傾向にあるのかを理解して、問題を定義するために必要な情報を収集します。ここでは表面的な発言に着目するのではなく、なぜ対象者がそのように回答したのか、その背景を汲み取りながら、潜在的な欲求や奥深くにある感情を深掘りすることが重要です。

実践では以下のように進めていきます。

1.ステークスホルダーマップなどを使って利害関係者の整理と検討をする
2.ペルソナ設定でデモグラフィックレベルの整理をする
3.ペルソナ像をさらに明確にしていく

【1.ステークスホルダーマップなどを使って利害関係者の整理と検討をする】
ステークスホルダーマップを活用して、対象者の周りにはどんな人がいるのか、利害関係者の整理と選定を行います。

利害関係者の整理とは、小説で言う人物相関図をイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。
例えば、ベビーカーについて考えると、実際に活用する人としてお母さん、お父さんがあげられ、乗って使う人として赤ちゃんがあげられます。それ以外にも、お金を払ってくれる人として祖父母が考えられます。

このように登場人物について考えることで、ペルソナの周りにいる人を整理して把握しましょう。

【2.ペルソナ設定:デモグラフィックレベルの整理をする】

ペルソナ設定は、とても重要です。ペルソナは、のちのプロセスにおいて、アイディアを選定する際の判断基準になるからです。
ペルソナが間違っていると、全てが狂ってしまうと言っても過言ではありません。性別、年代が違うだけでも抱える問題が大きく異なってきます。

ペルソナを設定する目的は、自社製品やサービスを検討していく時のターゲット像を、検討チーム内で認識を合わせるためです。自分たちの検討に都合の良い完全に架空の人物像を作っても意味がないので注意しましょう。
また、「35歳男性」のような単純なペルソナを設定しても意味がありません。現実世界に実在する人物をイメージして、はじめはデモグラフィックスレベル(人口統計学的な属性)で性別、年齢、居住地や所得、職業や家族構成などを整理していきます。

【3.ペルソナ像をさらに明確にしていく】

ペルソナは、まず全体のイメージを掴むためにできる範囲で設定していきます。そして何十周も回していく中で、より明確に、より正確に修正していきます。また、ペルソナは1人決め打ちではなく、ゆるく複数人作るのがポイントです。先ほどあげたベビーカーの例でいうと、お父さんお母さん、祖父、祖母のペルソナをゆるく作ってみて、焦点を合わせるべきなのは誰なのかを調べて決めていくと良いでしょう。

ペルソナ像をさらに明確にするために、属性/キャラ設定と、共感マップ(行動/価値観を示す図)のフレームが役立ちます。これらの要素を組み合わせてペルソナを設定していく方法については、以下の記事で解説していますのでご覧ください。
【デザイン思考のプロが伝授】デザイン思考のフレームワーク5STEP

「共感」プロセスのポイント

「共感」のプロセスでは、「知ること」と「知っていることをチームで共有すること」が重要です。

知らないことに対しては質問すらできないので、まずは「知ること」がスタートポイントになります。

また、チーム内では、「Aさんは知っているけどBさんは知らないこと」があるはずなので、既に知っている情報を共有することも重要です。

同様に、「AさんもBさんも知らないこと」も存在するはずなので、「自分たちのチームは何を知らないのか」を明らかにすることも重要です。

まずは知らないことを知って、チーム内で共通認識を持って進めていきましょう。

<実践では、「共感」に入る前に検討テーマの整理をすることがとても重要!>

実際に仕事でデザイン思考を活用する際は、デザイン思考に入る前のテーマ設定がとても重要です。

なぜかというと、検討テーマを整理して設定することは、デザイン思考の準備段階にあたるからです。
自動お掃除ロボットを使う時、床に落ちているものを拾ったり、椅子を上げたりして準備をしますよね。それと同じです。

検討テーマの整理では、以下のことについてできる範囲でイメージをします。

・検討内容概要
・ペルソナ候補(主観客と副利用者)
・課題がありそうな行動シーンの案
・仮の課題イメージと解決ソリューションのイメージと既存の代替品
・調査の方向性(何を調べるか)
・具体的な調査検討の進め方イメージ
・仮の売上額を簡易に算定する

上記のことについて整理してからデザイン思考に入ることで、よりスムーズにプロセスを回すことができます。

何事も、準備ができていないとうまく行きません。デザイン思考を5つのプロセスだけで捉えるのではなく、準備段階である検討テーマの整理も大切にしてください。

3.デザイン思考のプロセス②:問題定義

「問題定義」では、解くべき問題は何かを定めていきます。

進める際は、先ほどの「共感」で得た情報をもとに、「ユーザーが本質的に何を求めているのか」「潜在的な課題は何なのか」について具体化していきます。

重要なのは、見聞きしたことよりもさらに深いところまで理解しようと努力することです。そうすることで、ユーザーがまだ気づいていないような欲求(インサイト)を見つけることができます。

「問題定義」では、カスタマージャーニーマップを活用して、以下のように進めるのが効果的です。

1.カスタマージャーニーマップを活用して顧客の行動や心の声、感情を整理する
2.主要なペルソナのカスタマージャーニーマップの中で既知の問題がどう発生しているかを理解する
3.個別のカスタマージャーニーマップを並べてみて、ペルソナ同士の関係性から解けない問題なら、プロジェクトの前提とする(不要なら、主要なペルソナの問題を特定するだけでも良い)
4.主要なペルソナのカスタマージャーニーマップを見ながら、お金を払うほど解きたい問題を明確にする(より深くインサイトを明らかにする場合は、インサイトサークルを用いる)

カスタマージャーニーマップとは、以下のようなものです。

<カスタマージャーニーマップの例>

子供を幼稚園に送るパートに行くスーパーに買い物に行く家の掃除をする子供を幼稚園に迎えにいく
振る舞い・子供を自転車で幼稚園まで送る・子供見送りそのまま自転車でパートへ
・スーパーのレジ打ち
・1日分の食材を買う・散らかった状態の部屋を整える
・掃除機と洗濯物の片付け
・子供を自転車で幼稚園に迎えにいく
思考・感情・朝の準備が大変で時間がない
・慌ただしくてイライラ
・朝もう少し余裕を持ちたい
・いつもギリギリに到着して忙しない
・レジ打ちの仕事って冬は寒くて辛い
・献立を考えるのが面倒だな
・自転車なので持ち帰る量を考えながら買うのが面倒
・子供が帰ってくるまでに済ませたいから時間がない
もっと短時間でキレイになる方法はないか
・子供の笑顔が見られて元気が出る
・帰ってからの子供の世話を考えるともうひと頑張り

上の例は、幼稚園児の子供を持つお母さんが子供を幼稚園に送ってから迎えるまでの行動を時系列ごとに可視化したものです。

カスタマージャーニーマップは、項目となる行動ステージを決めて横軸に置き、ステージごとの振る舞いと思考感情を縦軸に置いて、表を作成していきます。

カスタマージャーニーマップの目的は、ペルソナと同様にチームメンバーで認識を揃えることです。
ペルソナが行なっている現在の体験を始まりから終わりまで可視化することで、体験の中でどのような行動をとっていて、どんな気持ちになっているのかが一目でわかるようになり、認識を揃えることができます。

問題定義で使えるカスタマージャーニーマップについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【デザイン思考のプロが伝授】デザイン思考のフレームワーク5STEP

「問題定義」のポイント
必要がある場合は、個別のジャーニー同士を並べて組み合わせられる問題を選定することも重要です。

2章でも登場したベビーカーの例では、相関図的にお父さん、お母さん、祖父母が登場しましたが、このような場合にはジャーニー同士を複合的に検討する必要があります。
「おじいさんにお金を出してもらうなら店舗に連れていかないといけないからwebで販売するわけにはいかないよね。」など、ああでもないこうでもないとやっていくと、そもそも解かなければいけない問題は何かが見えていくはずです。

知らなかった問題が見えてくるので、問題点がより明確になります。

また、現状と理想の差を完全に埋めるのか、近くしてあげるのかなど、どこまでやるのかという点について認識をそろえることができるのも、このプロセスになります。

4.デザイン思考プロセス③:アイデア創出

問題が定義できたら、「アイデア創出」に進みます。ここでは、ユーザーが抱えている課題の解決策となるアイデアを創出していきます。

ここで重要なのは、以下の2つです。

・制限を設けることなく、できるだけ多くのアイデアを出すこと
・出されたアイデアを肯定的な姿勢で受け止めること

制限を設けることなくアイデアを出し合うことには、次のメリットがあります。

・見聞きしたことがないような問題の解き方が出てくる
・他社と差別化できる製品やサービスが見つかる可能性が上がる

見聞きしたことがない解き方は、商標で権利が守りやすく、自社に大きな利益を生む可能性が上がるので、実践では制限なくできるだけ多くのアイデアを出せる環境を整えることが重要です。

これらを実践するためには、ブレインストーミングやKJ法を活用すると良いでしょう。

ブレインストーミングについてご紹介すると、ブレインストーミングとは会議法の一種で、以下のような目的があります。

・複数のメンバーが自由に意見を出し合うことで、新たな発想を生み出す
・制限を設けることなく意見を出し合うことで、アイデアを昇華させる

ブレインストーミングを実施する際は、アイデアを付箋に書いてボードに貼っていくやり方が一般的ですが、その際、以下の4原則に基づいて行うといいでしょう。

1.アイデアを批判、評価しない(アイデアを出す時間と、判断する時間を明確に分ける)
2.自由にアイデアを出す
3.質よりも量を重視する
4.アイデアを結合、発展させる

この4原則に基づいてアイデアを創出することで、これまで見聞きしたことがないような新しいアイデアに出会える可能性を高めます。

ブレインストーミング法やKJ法についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【デザイン思考のプロが伝授】デザイン思考のフレームワーク5STEP

「アイデア創出」のポイント
重要なのは、案の候補を出すことです。

付箋は単なる道具なので、付箋に書くことにこだわる必要はありません。ラインやスマホのメモなど、何でも構わないので、生み出されたアイデアを文字にして目で見えるようにメモに残してください。これが実践において、本当に、大切なことです。

5.デザイン思考のプロセス④:プロトタイプ

「プロトタイプ」では、アイデアを形にしていきます。

このプロセスの目的は大きく3つあります。

・「手で考える」ため
・テストのため
・社内説明、説得
のため

これらの目的によって、プロトタイプの手段を選んでください。

共通してよくあるプロトタイプとしては、以下のようなものがあります。

・文書
・4〜6コマ漫画
・寸劇
・アプリやweb画面、モックなど物理的なモノ

プロトタイプは、実践では以下のように進めていきます。

1.プロトタイプの作成(内部でのイメージ合わせ用)
2.テスト計画立案
3.プロトタイプの作成(テスト用)

【1.プロトタイプの作成(内部のイメージ合わせ用)】

はじめに作成するプロトタイプは、内部でのイメージを合わせるために作ります。これまで何度もお伝えしていますが、デザイン思考は認識を共有して合わせることが重要だからです。イメージを合わせることが目的なので、実際の商品のように形にする必要はなく、ホワイトボードに落書きをするような、そんなイメージから始めていきます。

【2.テスト計画立案】

続いてテスト計画を立案します。どのようにテストをするかある程度計画してからプロトタイプを作らないと、テストがうまく進まないからです。複数人に同時に試してもらうなら複数個試作品を作る必要があるし、テストの日程によって試作品を作る期限が決まってきます。テスト用の試作品を作る前の段階で、テスト計画を立ててください。

【プロトタイプの作成(テスト用)】

テスト計画を立てたら、テスト用のプロトタイプを作成しますが、ここで重要なのは、完璧なクオリティを求めないことです。テストでだめなら、ポイっと捨てるからです。リアルに作ることにこだわるのではなく、できるだけ短時間で、かつ低コストで試作品を作り上げることが重要です。「とにかく一度形にしてみる」という精神で試作品を作ると、イメージのズレや問題点、新たな視点に気づけるチャンスを増やせるでしょう。

6.デザイン思考のプロセス⑤:テスト

デザイン思考のプロセスにおける「テスト」は、試作品を実際に困っている人に試してもらい、試してくれた人の声を聞いて検証する工程です。

料理でいう味見の工程をイメージするとわかりやすいかもしれません。味見して「もう少ししょっぱいほうがいい」と思ったら塩を足したり、「しょっぱすぎる」と感じたら水を足したりするように、デザイン思考においてもテストで得られた声をもとにどの方向に修正していくかを決めて、方向転換していきます。

実践でのテストの進め方は、「プロトタイプ」で立案したテスト計画と、リーンキャンバスの情報をもとに行っていきます。試作品を試してもらい、感想などの声を集めることがテストで最も重要なことです。

例えば、試作品としてベビーカーを作った場合、買ってくれそうなイメージの人を顧客と出合いそうな場所で集めてきます。例えば、ベビー用品売り場にいる新婚夫婦、などです。その人たちに実際に試してもらって、意見を聞きます。

そして、得られた意見をもとに再びプロセスの1つ目、共感に戻り、「定義したユーザーのインサイトは正しかったのか」「課題の本質的な解決につながっているのか」などを検証します。

7.重要なのは①〜⑤のデザイン思考のプロセスを何十周も回すこと

デザイン思考のプロセスを実践する際に重要なのは、5つのプロセスで構成されたデザイン思考のサイクル(共感→問題定義→アイデア創出→プロトタイプ→テスト)を、何十周もぐるぐると回すことです。

デザイン思考は、テストの結果で得られたフィードバックを踏まえて方向転換を繰り返すことで、顧客の問題を解決できる製品やサービスを生み出すからです。

ですから、共感からテストまで進めて終わりにしてしますと、それはデザイン思考のサイクルが終わっただけです。デザイン思考を使って問題解決が終わったことにはなりません。

具体的に何十周すればいいのかというと、少なくいっても30周は必要だと考えてください。

繰り返す際は、必ずしも共感に戻る必要はありません。共感→問題定義→アイディア創出→プロトタイプ→テストの順番通りにならない場合もあります。時には遠回りをしたり、寄り道をしたりしながら、粘り強く検証を繰り返すことによって、理想にたどり着けます。

また、繰り返す中で検証テーマを再検討したり、リーンキャンバスを更新したりすることで、利益を生み出す可能性を高めることがでるでしょう。

8.新規事業案の管理にはリーンキャンバスが不可欠

ビジネスモデルを可視化するためのツール「リーンキャンバス」は、デザイン思考で創出した案を管理するのに必要不可欠です。

デザイン思考を新規事業で使う際は、デザイン思考で創出して、リーンキャンバスで管理するイメージを持ってください。

リーンキャンバスとは、具体的に以下のようなものです。

▼アッシュ・マウリャ著作Running LeanよりBeth合同会社が意訳したリーンキャンバス

使うタイミングは、プロトタイプを作成した段階です。ここで以下のリーンキャンバスの0から5までの項目を埋めていきます。

0.我が社がやるべき理由
1.顧客像
2.顧客像がお金を払うほどの課題
3.その顧客像に提供する新たな体験
4.新たな体験を実現するための方法
5.顧客像とどうやって出会うのか

デザイン思考のここまでのプロセスを踏んでいれば、これらの項目はある程度埋められるはずです。1つずつちゃんと埋めていきましょう。

また、「共感」の前に準備の工程でやるべきだとお伝えした「検討テーマの整理」の段階で売上も計算しているはずなので、場合によっては6まで埋まるはずです。

デザイン思考の初期の段階でリーンキャンバスを作成すると、

・買ってくれそうな人のイメージが誰なのか
・その人たちがお金を払うほど何に困っているのか
・そのような人たちにどんな体験を提供するのか
・体験をどうやって実現するのか
・顧客とどこで出会うのか

といったような、デザイン思考でアイデアを創出して利益を生み出すために必要な情報を整理できます。

ポイント
デザイン思考を回すごとにリーンキャンバスも更新します。

デザイン思考を回していく中で、ペルソナや体験の実現方法などが少しずつ修正されていくからです。デザイン思考の方向転換をリーンキャンバスにも反映させていきましょう。

そうすることで、より新規事業を成功させる可能性を高めます。

9.【注意】デザイン思考を実践するにはプロセスを把握しただけでは不十分

ここまで読み進めてきて、「デザイン思考のプロセスを把握して、5つのプロセスをぐるぐる回せばデザイン思考を業務で使えるのではないか」と感じている人がいるのではないでしょうか。しかし、それだけではデザイン思考を使いこなせません。

デザイン思考を使いこなすためには、経験が必要不可欠だからです。

一連の流れ全体で経験が必要ではありますが、あえてピックアップすると、特に以下のような場面では経験がないと正しく前に進めません。

・検討テーマの整理
・各フレームワークの項目の粒度の決定
テストの結果を踏まえてどのように方向転換をするかの判断
・リーンキャンバスの作成

【検討テーマの整理】
検討テーマの整理はデザイン思考の準備であるとお伝えしましたが、デザイン思考を使った経験がなくて何かもよくわかっていない人に、準備ができるわけがありません。お掃除ロボットの性質をわかっていない人は、お掃除ロボットに最大限働いてもらうために何をするべきか判断できませんよね。それと同じです。また、専門家であっても、コンサルティング系の専門家ではない限り、利益を生み出すために活用するデザイン思考の準備を知りません。

【各フレームワークの項目の粒度決定】
フレームワークを活用する際にも、経験が不可欠です。各プロセスの章でフレームワークについてもお伝えしましたが、フレームワークはあくまでも項目しか決まっていません。各項目をどのくらいの粒度で埋めればいいのか、それは経験によって判断するしかないのです。そのため、経験がない人がフレームワークを知って使おうとしても、各項目をどれくらいの細かさで議論すべきなのか、粒度がわからないので事実上使えません。

【テストの結果を踏まえてどのように方向転換をするかの判断】
また、テストの結果を受けて、右に行くか左に行くかも、経験がないと判断が難しいでしょう。料理が全くわからない人は、味見をしても何を加えればいいのかわからないですよね。それと同じです。デザイン思考を正しく適切に使いこなして理想に辿り着くためには「テストで得たフィードバックを踏まえてどのように方向転換するか」がとても重要なので、未経験の人がこのプロセスを自己判断で進めると、完成した商品やサービスで利益が生み出せない可能性が大いにあります。(そして、そういう状況だからこそ、デザイン思考が使えないと言われてしまう)

【リーンキャンバスの作成】
リーンキャンバスについても同様です。8章の最後でお伝えした図表を見て、何をどのように埋めていけばいいかわからない人がほとんどではないでしょうか。埋められたとしても、それであっているか、本当に書き込むべきことなのか、確証が持てないはずです。

デザイン思考とは、説明書を読めば使えるような、そんな単純なものではありません。基礎知識を学んだだけでは実践で活かせないので、当然利益を生み出す製品やサービスを作り出せないことをよく頭に入れておいてください。

10.デザイン思考を実践して成功するためにやるべきこと3つ

デザイン思考を実践して成功するためにやるべきことは3つあります。

・デザイン思考の講座を受講して5つのプロセスの回し方を学ぶ
・実践での活用方法を専門家と一緒に練習する
・デザイン思考を実践する環境を整える

デザイン思考を活用して、利益を生み出せる製品やサービスを作りたいと考えている人は、ぜひ最後までお読みください。

10-1.デザイン思考の講座を受講して5つのプロセスの回し方を学ぶ

デザイン思考を実践で活用したいと考えているなら、まずは実践的な講座でデザイン思考の5つのプロセスの回し方を学んでください。

講座はオンラインでも対面でも構いませんが、選ぶ際は以下の点について確認して講座を選んでください。

・実践的な内容になっている
・講師がデザイン思考の専門家、かつコンサルティングの専門家である
・デザイン思考を回すことを重要視している

デザイン思考を学ぼうと考えている人の中には、インターネットの情報や書籍などで学ぼうと考えている人も多くいますが、それは間違った方法です。インターネットの中には間違った情報が多くあるため、注意が必要だからです。

また、インターネットの情報も書籍も、5つのサイクルの回し方を重視して説明しているものがほとんどありません。何度もお伝えしていますが、デザイン思考で重要なのは、「テストの結果を踏まえてどのように方向転換をするか」です。そのため、サイクルの回し方について教えてくれない書籍、講座、情報で学んだことは実践で役に立たないのです。

実践的なデザイン思考講座で有名かつ人気なのが、オンラインデザイン思考講座「実況解説 デザイン思考」です。

出典:Schoo「実況解説 デザイン思考」

Schooのデザイン思考講座の中でも圧倒的な評価を得ているこの講座は、お気に入り登録者数が他の講座の7倍以上の大人気講座です。デザイン思考のプロセスについて理解を深め、自ら業務で実践できる内容になっています。

「実況解説 デザイン思考」講座の説明は、下記からご覧いただけます。

10-2.実践での活用方法を練習する

デザイン思考を実践で活用して利益を出す製品やサービスを生み出したいと本気で思っているなら、実践での活用方法を練習してください。

デザイン思考を使いこなすためには、理論を学んだ上で、実践への適応の仕方を練習していることがすごく重要になるからです。知識として学ぶことと、それを実践に適応することは全く別になります。

実践での活用方法を学ぶ方法はいくつかあります。ワークショップに参加することや、実践での活用方法を研修で学ぶなど、さまざまな方法がありますが、一番おすすめなのは専門家に伴走してもらいながら学ぶことです。専門家の伴走支援を受ければ、必要な時に必要な情報を知って、分かって、できるようになります。

検討テーマの整理やリーンキャンバスの作成、フレームワークの粒度やテスト結果を受けての判断についても含め、デザイン思考の活用についてアドバイスをもらいつつ学びながら練習できるので、最終的に自分たちで自立してデザイン思考を実践できるようになります。

伴走支援を依頼する際は、コンサルティング系のデザイン思考専門家に依頼してください。コンサルティング系の専門家以外は、先ほどお伝えした粒度の決定などはできません。

伴走支援を依頼して実践での活用方法を練習する場合は、最低でもデザイン思考のサイクル5周目くらいまでは支援を受けましょう。

10-3.デザイン思考を実践する環境を整える

デザイン思考を実践で活用したい場合は、環境を整える必要があります。

デザイン思考は問題を解決するための道具なので、環境が整っていないと道具が力を発揮できないからです。

環境を整えるとは、具体的に以下のようなことを言います。

・チームがデザイン思考について理解している
・チーム全体がペルソナの価値観でアイディアを評価する
・マネジメント層に時間がかかることを理解してもらう
・業務をデザイン思考風に変える

デザイン思考を実践で活用する際は、チームで使うことになるので、まずはチーム全員がデザイン思考について理解している必要があります。そうでないと、共通の認識を持つことや、同じ判断基準で評価することが難しくなるからです。

また、デザイン思考はすぐに成果を出せるような思考法ではないため、マネジメント層の理解も必要だと言えるでしょう。マネジメント層が理解してくれていないと、早く結果を出すことが求められ、妥協が生まれる可能性が高くなります。

チームで研修を受けたり、伴走支援を受けたりすると、環境も整えやすくなるのでおすすめです。

11.Beth合同会社のコーチングならデザイン思考を実践して成功できる

デザイン思考を実践で活用して利益を上げたいと本気で考えているなら、Beth合同会社のコーチングがおすすめです。

Beth合同会社のコーチングでは、家庭教師的にデザイン思考を使いこなせるようになるために、デザイン思考のサイクルを回す過程とその周辺知識(検討テーマの整理やリーンキャンバスの作成)を伴走し、理想のゴールを目指します。

自分たちでデザイン思考のサイクルを回せるようになることを目標とするので、物事を判断したり、考えた結果を文章でまとめてもらったりします。そのために、前提となるような物事を教えたり、いろんな考える観点を提供したりします。

「こんな視点で眺めるとこんな結果になるけど、別の視点から眺めると同じ問題であっても違う解き方ができるよね」といったような、観点とその結果をいくつか見せながら、それぞれの選択肢を依頼した担当者自身に選択してもらいます

このようにして、担当者の自分ごととして着実に前に進んでいくように導くのが、Beth合同会社のコーチングです。

<デザイン思考の活用や新規事業についてのお悩みはBeth合同会社にお任せください>

ご相談はこちらから

12.まとめ

本記事では、デザイン思考のプロセスについて、実践での進め方も踏まえて詳しくお伝えしました。

この記事を最後まで読んだあなたは、以下のことについて理解していただけたのではないでしょうか。

・デザイン思考の5つのプロセスの概要
・デザイン思考で重要なのは、サイクルをぐるぐる何十周も回すこと

・デザイン思考を使いこなすためには、検討テーマの整理やリーンキャンバスなど、周辺知識も重要
・デザイン思考のプロセスを学んでもデザイン思考を使いこなせない
・デザイン思考はインターネットで検索して情報を得ることで使いこなせるほど甘いものではない
・デザイン思考を使いこなして成功したいなら専門家に相談するべき

デザイン思考を使いこなしたいけどどうすればいいからない時は、まず我々Beth合同会社にご相談ください。

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Beth合同会社はDXや新規事業案の創出、デザイン思考の導入支援などを行っています。
「新しい取り組みを前に進めたい」という意思を持っている企業に寄り添い、変革を最短距離で走り切ることで、これまで大手~中小企業など様々な企業の挑戦で成功を収めています。全体の構造を明らかにして現在地とゴールをはっきりさせ、最小限の行動で小さく現実からフィードバックをもらうBethのアプローチは、DX推進の強力なバックアップになるはずです。

インタビューやアイディア出し、プロトタイプ作成、ビジネスモデルやシステム/アプリの設計まで支援し、最終的には自社のみで自走できる状態を作ります。ぜひ一度お問合せください。