【完全ガイド】DXとは?事例や要素をわかりやすく解説!

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私が書きました 河上 泰之

「DXって何?」
「DXってやったらどうなるの?」

このような疑問をお持ちではありませんか?

DXという言葉に聞き馴染みはあるものの、本質を理解できていない人は意外と多くいます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の目的は、「会社が競合他社と比べて生き残る日にちを1日でも長くすること」です。そのための手段として、デジタルを使うことを前提として、今の仕事を作り直します。これがDXです。

ですから、「競合他社より1日でも長く生き残る」もしくは「競合他社より大儲けしてはるかに長い間ビジネスを継続する」ことに興味がない場合は、ここから先は読む必要はありません。DXとは、「競合に勝って儲け続ける」や「競合よりも1日でも長くビジネスを継続する」ための1つの手段でしかないので、そういった目的に興味がないのであれば、DXをやる必要はありません。

ここまで強く言い切れるのは、筆者である私が、これまで大手上場企業や行政をはじめ、DX支援を行なってきた経験があるDXの専門家だからです。

もし、あなたが「競合他社に勝って1日でも長く生き残りたい」や「競合他社より儲けたい」と考えているなら、この記事を最後まで読んでください。経済産業省の定義をわかりやすく読み解くことから始めて、デジタル化やIT化との違いや、業務効率化との違いも、詳しく解説しています。

本記事でわかること
・DXとは?経済産業省が提示している「DXの定義」の本質
DXで企業が取り組むべき4つのテーマ
・優秀なDXの成功事例
・今、企業にDXが求められる理由
・DXをやるべき企業、やらなくてもいい企業

本記事では、「DXとは何?」の疑問を解消し、尚且つあなたにとってDXが必要かどうかまでお答えしていきます。

1.DXとは?経済産業省が提示している「DXの定義」の本質

はじめに、DXの本質を正しく理解するために、以下のことについてお伝えしていきます。

・経済産業省が提示している「DXの定義」の本質
・「DX」と「デジタル化」「IT化」は違う
・「DX」の目的は「業務効率化」ではない

どの記事よりも、わかりやすくお伝えしています。DXの基礎的な知識を身につけていきましょう。

1-1.経済産業省が提示している「DXの定義」の本質

経済産業省が定めるDXの定義は、以下の通りです。

経済産業省が定めるDXの定義
企業がビジネス環境の激しい変化に対応して、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位を確立すること

出典:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0

経済産業省が定める定義を、「目的」「手段」「やるべきこと」に分解して読み解くと、以下のようにわかりやすく意訳できます。

【経済産業省のDXの定義を分解して読み解く】

「経済産業省の定義」本文意訳
<目的>
企業がビジネス環境の激しい変化に対応して、
競争上の優位性を確立すること
他社との競争に勝つために
<手段>
顧客や社会のニーズを基に、
製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに
売るもの、売り方を
お客様が買うものに変える
<やるべきこと>
データとデジタル技術を活用して、業務そのものや
組織、プロセス、企業文化・風土を変革する
売るもの、売り方を変えるから、
当然業務のやり方も変えましょう。
もちろんITを使って。

要するに、経済産業省の定義は、以下のように言っています。

DXは「他社との競争に勝ち続けること」を目的として進めてください。その目的を達成するために、売るもの、売り方を変え、それに伴って、業務のやり方も変えましょう。このご時世なので、当然ITを使ってください。

さらにわかりやすく解釈すると、以下のように読み取ることもできます。

激しい変化に対応しながら、他社との競争に勝つという目的を達成する手段として、DXを推進しましょう。

以上が、経済産業省が定めるDXの定義の本質で、競合という「誰と戦うのか」を明確にした上で、その人たちに勝つことを目的として推進するのが、DXです。

1-2.「DX」と「デジタル化、IT化」は違う

よくある間違いとして、「DXはデジタル化すること」「IT化を進めればDXを推進できる」のようなものがありますが、「DX」と「デジタル化、IT化」は全く別のものです。

具体的には、以下の3つの点が大きく異なります。

・目的
・利益の増やし方
・変化の仕方

この3点の違いを抑えれば、「DX」と「デジタル化、IT化」が全く違うものだということが理解できます。

1-2-1.「DX」と「デジタル化、IT化」の違い1:目的

まず、「DX」と「デジタル化、IT化」は、目的が違います。それぞれの目的をまとめると、以下のようになります。

【「DX」と「デジタル化、IT化」の目的の違い】

DXの目的デジタル化・IT化の目的
他社との競争に勝つこと

業務を効率化すること

1-1でもお伝えしましたが、「DX」の目的は、他社との競争に勝つことです。

「競合他社より1日でも長く生き残る」
「競合他社より大儲けしてはるかに長い間ビジネスを継続する」

これが「DX」の目的です。

一方、「デジタル化、IT化」の目的は、業務を効率化することです。人力に頼っていた業務をITシステムに置き換えることで、業務の効率性や信頼性の向上を図ります。

以上のように、「DX」と「デジタル化、IT化」は、目的が全く異なります。

1-2-2.「DX」と「デジタル化、IT化」の違い2:利益の増やし方

「DX」と「デジタル化、IT化」では、利益の増やし方が異なります。

【「DX」と「デジタル化、IT化」の利益の増やし方の違い】

DXの利益の増やし方デジタル化・IT化の利益の増やし方
商品単価を上げる
売上を上げる

コストを削減する
(売上は上がらない)

「DX」は、商品単価を上げたり、売上を上げたりすることで利益を増やすことができ、それが競合との競争に勝って生き残ることにつながります。

一方、「デジタル化、IT化」は単なる業務効率化なので、進めても売上は上がりません。ただし、人件費削減や業務の効率性を上げてコストをカットすることで、利益が増えることはあります。しかし、売上が上がることはないので、基本的に「デジタル化、IT化」は、利益を大きく底上げするものではありません。

つまりどういうことかというと、「デジタル化、IT化」を進めても、競合との競争に勝つことはできないし、売上を増やすこともできないということです。

1-2-3.「DX」と「デジタル化、IT化」の違い3:変化の仕方

「DX」と「デジタル化、IT化」は、変化の仕方が違います。

【「DX」と「デジタル化、IT化」の変化の仕方の違い】

DXの変化デジタル化、IT化の変化
構造が大きく変化する

業務の一部が変化する

「DX」は、創業し直すくらい大きく変革することです。DXのXはtransformationの略で、生物学用語で「変態」を意味します。「変態」とは、毛虫が蝶に変わることです。つまり、DXではそのくらい変化して、仕事を作り直すことが求められています。そのため、DXでは創業しなおすくらいの覚悟が必要です。創業し直すくらいの覚悟を持って取り組み、企業の構造そのものを大きく変革するのが「DX」です。

一方「デジタル化、IT化」は、業務の一部が変化するだけです。手書きだったものをパソコン入力に変えたり、郵便で発送していた請求書を電子に変えたりするのがそれにあたります。なので「デジタル化、IT化」を進めても、売るものや売り方は変わらないし、仕事の構造も変わりません。

【デジタル化とIT化はほとんど同じものと捉えて問題ない】

「デジタル化とIT化って同じなの?」と思う人がいるかもしれませんが、デジタル化とIT化はほとんど同じものとして捉えて問題ありません。経済産業省「ミラサポプラス」には、「デジタル化とIT化は、ほとんど同じ意味と考えて良い」という記載があります。 

1-3.「DX」の目的は「業務効率化」ではない

DXについて正しく理解できていない人によくあるのが、「DX」の目的を「業務効率化」だと勘違いしている場合です。ここまで読み進めてきてわかる通り、「DX」は「業務効率化」をすることではありません。

このことは、経済産業省が発表している「DXレポート2.2」の中で明示していて、DXの目的は業務効率化ではないと訴えています。

出典:経済産業省「DXレポート2.2

このレポートによると、既存事業の維持、運営のためにデジタル投資している企業が約8割を占めていて、DX推進のために正しいデジタル投資をしている企業がほとんどないとしています。つまり 経済産業省は、以下のようなことを指摘しているのです。

DX推進において、業務効率化をしても意味がないのに、ほとんどの企業がそれに気づかずに間違ったデジタル投資をして業務効率化を進めている。

以上のように、DX推進において、単にデジタル化やIT化を進めて既存の業務効率化を図ることは求められていません。

続いてみていきましょう。

出典:経済産業省「DXレポート2.2

上のレポートは、DXを推進できている企業は「デジタル化、IT化」で既存ビジネスの付加価値の向上や強みの明確化、再定義をして利益を上げている現実を伝えています。

一方「デジタル化、IT化」で、業務の効率化や省力化をしている企業は、コストを削減しているだけで、利益を向上できていないことも伝えています。

つまり「業務効率化」は、コスト削減はできるけど利益を向上させることはできず、全社的な収益向上を目指すDXとは全く異なるということを経済産業省も指摘しているのです。

2.DXで企業が取り組むべき4つのテーマ

DXの本質を理解したところで、ここからは実際にDXではどのようなことが求められるのかについて見ていきましょう。

DXを推進する上で欠かせない4つのテーマがあります。 

この4つのテーマ、「新規事業」「業務改革」「デジタル、IT」「デザイン(役に立つもの)」がDXに欠かせない理由は、1-1でお伝えした経済産業省のDXの定義の中にあります。経済産業省の定義の要約として、

DXは「他社との競争に勝ち続けること」を目的として進めてください。その目的を達成するために、売るもの、売り方を変え、それに伴って、業務のやり方も変えましょう。このご時世なので、当然ITを使ってください。

とお伝えしましたが、さらに意訳すると、以下のように言えます。

「競争に勝って生き残るために、新規事業を始めるとともに、業務改革や組織改革を進め、人に役立つデザインを常に意識しながら、デジタルやITを活用しましょう。」

DXとは、この4つのキーワードが複雑に絡み合い全部繋がっているもので、どれか1つが欠けると成功しません。

この章では、DXに欠かせない4つのテーマについて、それぞれ詳しくお伝えしていきます。この章を読むことで、DXで何をするべきなのかがより明確になります。

2-1.新規事業

DXを推進する際に、新規事業は絶対に必要です。

なぜなら、ビジネスには、賞味期限や消費期限があるからです。

例えば、コロナ禍において経済産業省が補助金を出してまでマスク工場を作る取り組みをしていましたが、あっという間にいらないビジネスになりました。これがまさにビジネスの期限切れです。

自覚しているしていないは別として、ビジネスには必ず賞味期限、消費期限があります。このようなことを意識すると、ビジネスは期限が来ると稼げなくなるので、競合に勝って生き残るためには、期限切れ前に事業売却などをするとともに、新しいビジネス、新規事業を始めることが必要だとわかります。

【新規事業成功の鍵は余剰人員の確保】

新しいビジネスを構築するためには、余剰人員、つまり新規事業に専念できる人の確保が必要です。

なぜかというと、新規事業は従来の業務と兼務してうまくいくほど甘くないからです。今やっている業務と掛け持ちで新規事業を進めても、今の業務だけで手一杯になってしまうのが目に見えています。

しかし実際には、従来の業務と兼務させて新規事業を立ち上げようとするふざけた企業が多くあります。

兼務となると、「新規事業は兼務でやる程度で構わないどうでもいい仕事」として社員は受け取るので、当然、真剣になるわけがありません。

この当たり前のロジックを理解できるなら、新規事業をやる際は、専任の新規事業担当者をつけてください。そのための人員は、2-2、2-3、でお伝えする業務改革やデジタル化、IT化で確保しましょう。

2-2.業務改革

新規事業をやるためには、業務改革が必要です。

2-1の最後でお伝えしたとおり、新規事業ではそれに専念する余剰人員が必要だからです。

専任の新規事業担当者を捻出するために、業務改革として、まず業務でやっていることでそもそもいらないことを消していきます。やったほうがいいけどやらなくてもいいことを全部消していくのです。例えば、報告だけの打ち合わせなら、報告資料を添付してメールで展開するでだけにします。それだけで、打ち合わせ時間が大幅に削減できます。

このようなことをやっていきながら、業務改革をして、新規事業専任担当者を捻出します。

2-3.デジタル、IT

デジタルやITは、業務改革に欠かせません。

情報処理をITやデジタルに置き換えると、多くの人が必要なくなり、業務改革としては一番早いからです。

例えば、経費を現金で払うのをやめて、クレジットカード払いにしたり、口座からの振り込みにしたりすると、多くの業務が削減されます。経費を払うための現金を会社で管理する必要がなくなるし、誰がいつ何に払ったかという情報をいちいち記録する手間が省けます。究極的に言えば、会計担当が必要なくなります。

我々がビジネスをしていく上で、情報はとても大切ですが、そういったところを全部デジタル化、IT化していくことがとても大事です。そうすると、余剰人員が確保できて、新規事業に専念して取り組める人員を確保できます。

2-4.デザイン(人の役に立つもの)

新規事業をやる際は、デザイン、すなわち人の問題を解いて役に立つものを作ることが大前提になります。

なぜなら人は、役に立たないものにお金を払わないからです。そのため、新規事業をやる上で、人の役に立つものを作ることがとても重要になります。

例えば、コンビニのコーヒーマシンで良く見かけるのが、ボタンの説明を手書きで補足しているものです。「アイスコーヒーはこちら」や「カフェラテはこのマシーンでは使用できません」など、ポップがつけられているのを見かけますが、あれはコーヒーマシーンが使いにくくて役に立っていない、つまりデザインが悪いからです。本来は、ポップの補足などなくてもスムーズに使えるべきで、それでこそ、デザインがいいと言えます。

人の役に立たないと、人はものを買ってくれません。自分の問題を解決してくれるものに、お金を払うのです。そのために、新規事業では、「誰の」「どんな問題を」「どうやって解くのか」をデザインすることが欠かせません。

3.優秀なDXの成功事例

DXで成功した事例というのは、まだ日本では存在しないに等しく、紹介するのは難しいのが実際のところです。そこで、優秀なDXの事例として、以下の2つの事例をお伝えします。

・株式会社ローソン(完全キャッシュレス化した事例)
・トヨタ自動車株式会社(本業を守りながら他のことも進めている事例)

事例を把握することで、DX推進がどういうことか、具体的にイメージしていきましょう。

3-1.株式会社ローソン(完全キャッシュレス化した事例)

まず、完全キャッシュレス化をした優秀な事例として、株式会社ローソンの事例をご紹介します。

株式会社ローソンは、ウォークスルー決済導入店舗「Lawson Go」を開発し、実店舗を2022年10月にオープンしました。

ウォークスルー決済導入店舗「Lawson Go」とは、登録した専用アプリでQRコードをかざして入店し、商品を手に持って店外に出ると、事前に設定した決済方法でレジを通すことなく自動的に決済できる技術です。店内には複数のカメラが設置されていて、そのカメラで顧客の動きを確認します。商品が置かれた棚には重量センサーがあり、カメラとセンサーが捉えた情報を合わせることで、顧客がどの商品を取ったのかをAIが判別します。そして、判別した情報を基に、店舗を出ると自動的に決済されるシステムです。

顧客が商品を手に取るだけで、買い物を済ませることを可能にした「Lawson Go」は、できるだけ早く買い物を済ませたいという利便性を求める顧客に向けて開発されたサービスで、特にオフィス街での利便性向上が期待されています。

また、レジ業務を行う人員が不要になったことで、人手不足解消にも効果が期待できます。

このローソンの取り組みは、ITを使って売り方を変えることを通して業務のやり方を変えたDX事例といえます。

3-2.トヨタ自動車株式会社(本業を守りながら他のことも進めている事例)

業務改革やデザイン、新規事業でうまくいっている事例として、トヨタ自動車株式会社の事例があります。

IR情報を見るとわかりますが、コロナが騒がれていた期間中に、順調に利益を出せる体質に変わりました。

守秘義務があるため具体的にはお伝えできませんが、例えば車を作る工程をガラッと変えました。工程を減らすと、人員や部品の発注の手間などを削減することができます。

また、2026年には部品点数を大幅に削減できる生産技術「ギガキャスト」を導入する方針が発表されています。「ギガキャスト」を導入することで、86部品33工程必要だった車後部の部品生産を、1部品1工程に削減できます。トヨタ自動車株式会社は、「部品点数が大きく削減され、工程がなくなるため、工場の土地を有効活用できる」とコスト圧縮効果を説明しています。

またトヨタ自動車は、本業を守りながら、他の分野にも投資して実績を上げて成功しています。

例えば、「ウーブン・シティ」という実験都市の開発では、東京ドーム約15個分の土地に、約2,000人が住む新しい街を開発しています。

「ウーブン・シティ」の目的は、ロボット、AI、自動運転、MaaS、パーソナルモビリティ、スマートホームなどの先端技術を、人々のリアルな生活環境の中に導入して検証することです。パートナー企業や研究者と連携しながら、技術やサービスの開発、実証をして、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスが情報で繋がることで生まれる、新たな価値やビジネスモデルを見出しています。

「DXは創業し直す覚悟が必要」ということや、「DXでは毛虫が蝶になるほどの変化が求められる」とお伝えしてきましたが、トヨタ自動車は変革について、以下のように「ウーブン・シティ」のホームページ上で綴っています。

世の中に移動の自由という「幸せの量産」を届けるために、トヨタは自動車会社から、モビリティカンパニーへの変革を目指しています。
そのためには、単なる乗り物としての「移動(Move)」だけではなく、ヒト・モノ・情報・エネルギーのモビリティを通じて「心までも動かす(Move)」必要があります。Woven Cityは、モビリティを試す「街」の形をしたトヨタの新しいテストコース。
道のみならず、広場・店舗・オフィス・住居など、ヒトの生活にまつわる全てが実証実験の場です。
このテストコースを使うのは、「自分以外の誰かのため」という信念を持つ発明家=インベンター。

Woven Cityは、インベンターの開発を加速させるさまざまなしくみを提供し、「未来の当たり前」となるような技術やサービスを社会に届け、「幸せの量産」を目指します。

出典:TOYOTA WOVEN CITY

このような変革する意識こそ、DX推進に求められるものであり、成功に必要なものだと言えるでしょう。

4.今、企業にDXが求められる理由

DXが求められる理由は、売るものを変えないと稼げないからです。

1章でお伝えした経済産業省の姿勢を見ればわかるとおり、経済産業省からは、日本の企業には稼ぐ力がないように見えています。だからこそ、経済産業省はDXを推進しています。

ただし、日本の企業に稼ぐ力がないのは、会社が悪いのではなくて、やっているビジネスが悪いというだけです。ビジネスが悪いだけだから、今売っているものが売れないなら、売れるものを考えて売りましょう。売り方を変えていきましょう。ということです。

例えば、一時期タピオカが大流行して店舗が大幅に増えましたが、下火になって売れなくなった今でも、明らかに売上が下がっているのに続けている店舗があります。このような店舗に対して「いつまで売り続けるの?」と思うのと同じような話です。「全然売れないのであれば、売るものを変えましょう。そうしないと、稼げなくて話にならないよね。」ということです。

3章でお伝えした事例を見ても、お分かりいただけると思いますが、利益を上げ続けている企業は、生き残るために売るものを変えたり、売り方を変えたりして変革するからこそ、利益を伸ばし続けられます。

でも、法人格として潰れるつもりなら、DXなんてやる必要はありません。

逆に潰れずに法人格を残したいなら、DXは必須です。

Amazonが街の書店を潰したという声がありますが、今度は2025年にふるさと納税に参入を予定しています。そうすると、ふるさと納税をやっているベンチャーのような企業は、Amazonと真正面から戦えるわけがありません。Amazonとは持っている資金が全然違うからです。

このような状況において、競合であるAmazonと真正面から戦っても勝てないので、生き残るためにはちょっとズレたところで戦うしかありません。Amazonとはちょっとズレた価値提供をして、ちょっとズレた立ち位置として生き残っていくしかないのです。

そのためには、ひたすら効率化して、なるべくデジタルを使って、やり切っていくしかありません。やり切れば、圧倒的な低コストも実現できるし、人を雇う必要がないから不動産も確保しないで済みます。

これが、DXが求められる理由です。ビジネスで生き残りたいのであれば、DXをやらざるを得ないのです。

5.DXをやるべき企業、やらなくてもいい企業

生き残りたいならDXをやるしかないということをお伝えしてきましたが、結論として、DXをやるべき企業とやらなくてもいい企業は、以下の通りです。

【DXをやるべき企業、やらなくてもいい企業まとめ】

DXをやるべき企業DXをやらなくてもいい企業
法人を残したい企業

法人を残さなくてもいい企業

今、DXをやったほうがいいのか迷っている場合は、法人を残したいか、潰してもいいかで判断してください。

ただし、残したいか潰したいかと言われても、うまく判断できない人もいると思います。その場合は、「DXをやるとどうなるのか」「やらないとどうなるのか」を参考にしてください。

【DXをやるとどうなるか、やらないとどうなるか】

DXをやると待っている未来DXをやらなかった場合待っている未来
競合に勝てる可能性がある。
ただし、競合と同じようなレベルでやっても
勝てないので、やるだけ時間の無駄。

やらなくてもビジネスは継続できる。
ただし、儲からなくなっていく。
また、人手が足りなくなる。

生き残りたいなら、DXをやらないという選択肢はありません。ただし、やるといっても低いレベルでやっても競合に勝てないので意味がなくて、やるからには競合に勝てるように、競合よりもレベルが高いことをやらないと意味がありません。

逆に、法人を残さなくてもいい、潰れてもいいのならやる必要はありません。普通にしていても儲からなくなっていくところに加えて、人手が確保できず、さらに儲けることが難しくなっていき、潰れるしかなくなる流れです。

それを良しとしないのであれば基本、DXはやらなければいけないものだと考えてください。ただし、やり方が重要です。以下の記事を参考にしてください。

DXの流れについては、こちらの記事をご覧ください。
DXの流れ|本気で競争優位を確立するための6つのステップ

DX支援については、こちらの記事をご覧ください。
DX支援サービス|利用基準・支援の流れ・支援サービスの選定方法を解説

6.DXに関するご相談はBeth合同会社まで

DXを推進するとき、よくある失敗として、悪質なベンダーに騙されて、変な買い物をする、というのがあります。

東京商工会議所にもこのような声が嵐の如く寄せられたため、私、河上は、東京商工会議所でDXについて講演しました。

「騙される前に、そもそもどうすればいいの?」という方は、騙されないためにはどうすればいいのか、すでに他の記事で紹介しているので、ぜひこちらの記事を読んでください。

参考記事:DXコンサルティングを徹底解説|メリットデメリット、事例も紹介

「記事を読んでみたけどわからない」
「すでに変なベンダーに騙されてしまった」

という方は、いつでも相談に乗ります。お気軽にご相談ください。

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7.まとめ

本記事では、DXの基本的な情報について、詳しくお伝えしました。改めて、DXとはの基本である経済産業省のDXの定義と、その要約を掲載します。

経済産業省が定めるDXの定義
企業がビジネス環境の激しい変化に対応して、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位を確立すること

出典:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0

要するに、経済産業省の定義は、以下のように言っています。

DXは「他社との競争に勝ち続けること」を目的として進めてください。その目的を達成するために、売るもの、売り方を変え、それに伴って、業務のやり方も変えましょう。このご時世なので、当然ITを使ってください。

会社を残したくない場合を除き、DXは必須です。なかなか一歩を踏み出せずにいる人や、何から手をつけていいかわからない人など、DXに関するお悩みはBeth合同会社にお任せください。

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