DXにデザイン思考は必須!DXを成功に導くデザイン思考実践ガイド

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私が書きました 河上 泰之

「デザイン思考はDXにおいて役立つと聞いたけど、本当に効果的な手法なの?」
「デザイン思考はDXでは具体的にどのように活用できるのだろう?」

このような疑問をお持ちではないでしょうか?

結論から申し上げると、デザイン思考は、DXを推進する上で必須の思考法です。

なぜこのように言い切れるかというと、デザイン思考は、ヒトが抱える問題を解くために最も優れた思考方法だからです。

そのため、デザイン思考はDXの以下のような場面で活用できます。

・新規事業開発
・社員の気持ちを踏まえた上で行う業務改革
・既存業務をデジタル化していく業務改革

など

上記の中でも、特に新規事業開発において、デザイン思考は絶対に必要です。新規事業では、「誰かがお金を払ってでも欲しいと思うもの」を作らなければならないため、人が抱える問題を解くデザイン思考を活用し、アイデアを生み出すことが不可欠だからです。

実際に、新規事業はDXを成功させるためにやるべきことと定められており、経済産業省が発表している「DXレポート2.2」でもその重要性は強調されています。

出典:経済産業省「DXレポート2.2

このレポートは、言ってみれば「もし今あなたが新規事業開発をすることなくDXを推進しているとしたら、そのDXは失敗するのでやめた方いいでしょう。」ということを伝えています。

つまり何が言いたいかをまとめると、

・DXを成功させるためには新規事業開発は避けて通れない
・この新規事業開発においてデザイン思考は必須となる思考法である

ということから、デザイン思考は、DXを推進する上で必須の思考法だと私は言い切っています。

そこで本記事では、DX推進の中でも特にデザイン思考と関わりが深い新規事業開発に焦点を当てて、デザイン思考の必要性についてお伝えしていきます。

<本記事でわかること>
・デザイン思考はDXで新規事業開発をする際に必須となる思考法
・DXを成功させるためのデザイン思考の活用法
・DX(新規事業開発)においてデザイン思考を活用した好事例
・デザイン思考を使ってDXを進めるための大前提とは
・DXとデザイン思考の専門家「Beth合同会社」のコーチング型デザイン思考なら成功できる

DX推進のなかでも、特に新規事業開発においてデザイン思考をどのように活用すればいいのか把握して、デザイン思考についてより深く学ぶためのステップを進めていきましょう。

1.デザイン思考はDXで新規事業開発をする際に必須となる思考法

「DXを推進する上でデザイン思考は必須の思考法である」

この主張は、以下の2つのことを正確に理解すると納得できるかと思います。

・DXを成功させるためには新規事業開発は避けて通れない
・この新規事業開発においてはデザイン思考が必須となる思考法である

それぞれについて理解できると、「DXにはデザイン思考は必須である」という結論が腹落ちできるでしょう。

1-1.【前提】DXを成功させるためには新規事業開発は避けて通れない

DXを成功させるためにやるべきことは「新規デジタルビジネスの創出」、つまり「新規事業開発」です。

この事実は、経済産業省が発表している以下の「DXレポート2.2」にも明記されています。

出典:経済産業省「DXレポート2.2

しかし実際には、DXの推進を通じて新規事業開発に注力する企業は少なく、多くの企業が既存ビジネスの効率化に主眼を置いているのが現状です。あなたがデザイン思考はDXに活用できるのかと期待している場合、まず最初に、この目的の時点でズレていないかはぜひ確認してください。

出典:経済産業省「DXレポート2.2

DXにおいてデザイン思考が本当に必要なのか疑問に思っている人の中には、そもそも現時点で以下のような誤解をしていないでしょうか?

・デジタル化することがDXである
・業務効率化を図ることがDXである

DXの目的は、競争相手に勝つことです。DXとは既存ビジネスの効率化を図ることではなく、新規事業を開発することである」と、経済産業省も訴えています。

DXを成功させたいなら、まず「DX推進では新規事業開発が必須である」ことを念頭において、その上でデザイン思考がどのように活用されるのかを探っていくことをおすすめします。

DXについてさらに詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。
【これで完璧】DXとデジタル化の本当の違いを事例とレポートで解説

1-2.新規事業開発においてはデザイン思考は必須となる思考法である

DXを成功させるためには必ず新規事業開発はやるべきであるとお伝えしましたが、この新規事業開発において必須なのが、デザイン思考です。

新規事業開発は、

・誰かがお金を払ってでも欲しいものを作る
・自分が作りたいものを作る

究極的には、この2択です。

デザイン思考はヒトが抱える問題を解くための最も優れた思考法なので、2択の1つである「誰かがお金を払ってでも欲しいもの」を作ることができます。

さらに言うと、人の役に立つ新規事業を開発するためには、デザイン思考を使う以外に方法はないと言っても過言ではありません。

例えば「ある医療機器の操作が複雑で不親切」という問題に対してデザイン思考を使うと、医師や医療スタッフの声をインタビューなどで集め、なにが問題なのか定義し、実際の使用場面での効果を仮説検証することで、より使いやすい医療機器を開発することができます。そうすると、医師や医療スタッフに選んでもらえる商品を作れるので、利益を上げることができます。

しかしここまで読んで、「デザイン思考を使わずに人の役に立つものを作る方法ってあるのでは?」と思った人がいるかも知れません。

確かに、世の中にはさまざまな思考法やツールがありますが、現代社会において新規事業開発をするなら、基本的に活用するべきなのはデザイン思考です。

なぜなら、高水準の商品が市場に溢れる中、他社と差をつけるためには表面的な問題の解決のみならず、ユーザーの潜在的な問題を発見して解決する必要があるからです。これができるのはデザイン思考だけなので、新規事業開発にはデザイン思考が必須だと私は言い切っています。

デザイン思考が必要とされる理由についてさらに詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

【人気講師が解説!】デザイン思考とは?考え方、活用方法、ポイント

2.DXを成功させるためのデザイン思考の活用法

DXを成功させるためには、デザイン思考を活用して新規事業開発をする必要があるということが、おわかりいただけたかと思います。

では実際にDXにおける新規事業開発ではどのようにデザイン思考を活用すればいいのでしょうか。

DXにおける特に新規事業開発でのデザイン思考の活用方法は、一般的なデザイン思考の活用方法と同じなので、まずはデザイン思考について基本的なことを理解できれば大丈夫です。

そこでこの章では、以下のことについて基本となることをお伝えしてきます。

・デザイン思考には5つのプロセスがある
・重要なのは5つのプロセスをぐるぐる何十周も回すこと

DXでデザイン思考を活用するために、デザイン思考の基本的な知識を押さえていきましょう。

2-1.デザイン思考には5つのプロセスがある

デザイン思考とは、ヒトの体験に焦点を当てた問題解決の方法です。さまざまな問題を解くための道具の1つとして存在しています。デザイン思考のプロセスでは、人の声を反映させることが重要なので、人の声を聞けない事象、問題は解決できないのです。

デザイン思考を実践する際は、以下の5つのプロセスを踏んでいきます。

<デザイン思考の5つのプロセス>

5つのプロセスをもう少し詳しくお伝えすると、以下のようにまとめられます。

共感・インタビューなどで対象者の情報をたくさん集める
・対象者の価値観を把握する
・何を問題だと感じる傾向にあるかを理解して、問題を定義するために必要な情報を収集する
問題定義・共感で得た情報をもとに、解くべき問題は何かを定めていく
・「ユーザーが本質的に何を求めているのか」「潜在的な課題は何なのか」について、具体的に定めていく
アイデア創出ユーザーが抱えている課題の解決策となるアイディアを創出していく
プロトタイプ・プロトタイプ(試作品)を作り、商品やサービスを形にする
テスト・試作品を実際に困っている人に試してもらう

先ほど「ある医療機器の操作が複雑で不親切」という問題に対してデザイン思考を使うと、「医師や医療スタッフの声をインタビューなどで集め、なにが問題なのか定義し、実際の使用場面での効果を仮説検証することで、より使いやすい医療機器を開発することができる」と言う例をお伝えしましたが、この例を5つのプロセスに当てはめると以下のようになります。

共感:医師や医療スタッフの声をインタビューなどで集める
問題定義:インタビューをもとになにが問題なのか定義する
アイデア創出:問題解決を解決するアイデアを出す
プロトタイプ:文字を現実世界で形にする。文字通り、具現化する
テスト:実際の使用場面での効果を仮説検証する

このように5つのプロセスを踏むことで、より使いやすい医療機器を開発することができ、医師や医療スタッフに選んでもらえる商品を作ることができます。このようにデザイン思考を活用することで、売れる商品を作れるのです。

2-2.重要なのは5つのプロセスをぐるぐる何十周も回すこと

デザイン思考の5つのプロセスは、共感からテストまでを1度やり切ればそれで終わりというものではありません。デザイン思考を活用して新規事業開発に成功したい、ひいてはDXを推進したいと思っている人が必ず押さえておきたいのは、

「デザイン思考で最も重要なのは5つのプロセスを何十周もぐるぐる回すこと」

ということです。

<デザイン思考の5つのプロセス>

5つのステップでは共感し、問題を定義してアイデアを創出し、試作品を実際に困っている人に試してもらいますが、試してもらった結果得られた意見をもとに、再びプロセスの1つ目である共感に戻り、

・定義したユーザーがまだ気づいていないような欲求は正しかったのか
・課題の本質的な解決につながっているのか

などを検証します。これを何度も繰り返すのがデザイン思考を使いこなすためのポイントです。

必要なプロセスをぐるぐる何十周も繰り返し、本当に人に役に立つもの、お金を出してでも欲しいと思ってもらえるものを追求することで、利益を出せる新規事業を開発することができるのです。

3.DX(新規事業開発)においてデザイン思考を活用した好事例

DXにおいてデザイン思考を活用した成功例をご紹介したいところではありますが、実は日本国内において「DXで成功した」と言える事例は1つもありません。他のWebサイトでよく「国内のDX成功事例」といったものを見かけますが、それらは誤った情報です。

一方で、デザインの力を使って面白いことをやり始めている人たちや、これまでにはない新しいものを生み出して成功している人たちはたくさんいます。

そこでここでは、デザイン思考を活用してDX(特に新規事業開発)に成功した事例をご紹介します。この章に掲載するにふさわしい参考になる事例ですよ。

デザインの力を使って成功した事例としてお伝えしたいのが、Panasonicのシャーバー「ラムダッシュ・パームイン」です。

出典:Panasonic「ラムダッシュ・パームイン

2023年9月に発売された「ラムダッシュ・パームイン」は、一見シェーバーに見えないスタイリッシュな外見が特徴の商品です。

このような外見になったのは、デザイン起点で商品開発されたことが理由です。既存のシェーバーと全く違うデザイン、見た目であるこのシェーバーは、ユーザーや社内の声を集めて共感するところから開発が始まりました。

Panasonic社内外で調査をした結果、以下のような潜在ニーズを把握していたそうです。

「多様な生活シーンになじむシェーバーが欲しい」

これを受けて、20代から40代のメンバーが集まり、デザイン起点で新しい体験価値を提供するシェーバーを作ろうと試作、テストを繰り返した結果、ラムダッシュ・パームインが誕生しました。

これまでシェーバーといえば、以下のような性能面について競い合ってきたのではないでしょうか。

・いかに速く剃れるか
・いかに深く剃れるか
・いかに優しく剃れるか

しかし、現代社会ではある程度の価格帯ではどのシェーバーも一定以上の性能・機能を兼ね備えているので、性能面で差別化することが難しくなってしまいました。

つまりどういうことかというと、性能面プラスアルファで差別化しないと商品が売れない時代になってしまったのです。

そこで「ラムダッシュ・パームイン」は、性能面だけでなく、「自分のライフスタイルに合っているかどうか」「洗面所においておきたい見た目か」というニーズを踏まえた観点から、デザイン性で差別化を図ったのです。

また、シェーバーをただ単に髭を剃るための道具と捉えず、「肌をいたわるように使うことで気分を上げたい」「髭剃りで日々の暮らしを豊かにしたい」といった、髭剃りの新しい体験価値を提供することも想定されて開発されました。もちろん、そのようなニーズに応える形で、です。

顧客のニーズを把握して、共感し、アイデアを創出して試作、テストと仮説検証を何度も繰り返すことで生まれた「ラムダッシュ・パームイン」。

デザイン思考をちゃんと活用して新しい体験価値を生み出し、性能以外の面で差別化して成功を収めたDX(特に新規事業開発)のお手本のような事例といっていいでしょう。

4.デザイン思考を使ってDXを進めるための大前提とは

デザイン思考を使いこなしたいとき、DXを推進したいとき、そのほかビジネスにおける多くの場面で共通して言える重要なことがあります。

それは、「考える」という言葉の意味を正しく捉えることです。

あなたは、考えるとはどういうことなのかを、考えるという言葉を使わずに説明できますか?

戸惑う人がほとんどなのではないでしょうか。

「考える」という3文字は小学校で習うので、誰もが見慣れた言葉だと思います。しかしこの言葉の意味を正しく捉えられていないがために、「新規事業アイデアを考える」や「DXで新規事業を考える」といったことで成果をあげられない人がほとんどです。

例えば、「デザイン思考を使って新規事業のアイデアを考えて」と言われた時、考えるということの説明がつかないと、「考える」って一体何をやればいいのかがわかりませんよね。
何をすることなのかが自分でわからないと、闇雲に新規事業アイデアを頭の中で一生懸命思い浮かべようとするだけになってしまいかねず、それでは「お金を出してでも欲しい」と思ってもらえるような利益になる新規事業アイデアは絶対に生まれません。

「考える」ことの意味を正しく捉えることが重要だと言われて、「なんだそんなことか」と思う人もいるかもしれませんが、これを把握しておかないことには絶対にダメです。

「考える」とは何かわかっていないと、「デザイン思考を使っているのにアイデアがうまく出てこないんですよね」みたいなことになってしまいます。このように言う人は、大抵「デザイン思考を使って新規事業アイデアを考える」の「考える」がどういうことなのかわかっていません。

「デザイン思考を使って考える」とはどのようなことを指しているのかを正しく把握して、上記のような残念な結果にならないために、一度マニュアルとしてきちんとデザイン思考を学んでください。

そうすれば、「デザイン思考を使って新規事業アイデアを考える」とは何をどうすればいいのか、明確にわかるようになります。

もしできるようになりたいのであれば、まずはこちらの記事から読んでみてください。
【デザイン思考のプロが伝授】デザイン思考のフレームワーク5STEP

記事の中で「デザイン思考を使って新規事業アイデアを考えるとはどういうことか」について、無料で学ぶことができます。

あるいは、社会人向けオンラインスクール「Schoo(スクー)」の「実況解説デザイン思考」講座なら、この記事の筆者である私の講座を月額980円で5時間受けることも可能です。それでもダメなら、いつでもご連絡ください。

出典:「Schoo

不都合なことに「考えよう」といったときに、考えるとは何かがわかっていないので、正しく考えることさえできないのが多くの人の実態です。

DXにおいてデザイン思考を活用するためにも、まずは考えるとは何か、自分の言葉で説明できるようになりましょう。

5.DXとデザイン思考の専門家「Beth合同会社」のコーチング型コンサルティングなら成功できる!

4章では、学べる記事や社会人向けオンラインスクール「Schoo(スクー)」の講座をご紹介しましたが、それでも足りないという人や、直接相談したり学んだりしたいという人は、Beth合同会社のコーチング型コンサルティングを受けてください。

Beth合同会社の代表である私、河上は、DXの専門家でありデザイン思考の専門家でもあります。DXとデザイン思考両方の専門家で尚且つ実績がある人は私だけです。なので、デザイン思考を使いこなしながらDXを推進する伴走者として成果を出せます。

<Beth合同会社 河上泰之のご紹介>

Beth合同会社
代表 河上 泰之

デザイン思考の専門家

慶應義塾大学大学院SDM研究科を優秀賞で修了
日本IBM、デロイトトーマツコンサルティングにてデザイン思考の専門家として活躍(コンサル出身)

主な経歴
・東京都中野区サービスデザイン思考導入コーチ
トヨタ自動車の新規事業推進系のマネージャークラスの育成
日本国内の大手損害保険会社(トップ3のうちの1社)にて、DX文脈における新規事業開発の事業開発プロセスにデザイン思考を導入

コーチング型コンサルティングでは、半分コーチとして相手が欲しいことを整理しながら、手の届く範囲でできることを伴走しながら一緒にやっていきます。ですから、社員の能力が上がることが期待できますし、より複雑な問題を一緒に解決することも可能です。

<デザイン思考とDX推進はBeth合同会社にお任せください>

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6.まとめ

本記事では、DXとデザイン思考の関係について詳しくお伝えしてきました。最後にここまでお伝えしてきたことをまとめて振り返りましょう。

・DXを推進する上でデザイン思考は必須である
・デザイン思考は人の役に立つ新規事業開発で欠かせない思考法である
・デザイン思考を使えば人の問題を解決できる
・デザイン思考を使いこなすポイントは、5つのサイクルを何十周も回すこと
・デザイン思考を使いこなして成功したいなら、「デザイン思考を使って新規事業アイデアを考える」の「考える」とは何か、考えるという言葉を使わずして説明できるようになるべき
・デザイン思考を使いこなしてDXを推進したいならBeth合同会社のコーチング型コンサルティングがおすすめ

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Beth合同会社はDXや新規事業案の創出、デザイン思考の導入支援などを行っています。
「新しい取り組みを前に進めたい」という意思を持っている企業に寄り添い、変革を最短距離で走り切ることで、これまで大手~中小企業など様々な企業の挑戦で成功を収めています。全体の構造を明らかにして現在地とゴールをはっきりさせ、最小限の行動で小さく現実からフィードバックをもらうBethのアプローチは、DX推進の強力なバックアップになるはずです。

インタビューやアイディア出し、プロトタイプ作成、ビジネスモデルやシステム/アプリの設計まで支援し、最終的には自社のみで自走できる状態を作ります。ぜひ一度お問合せください。

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